天才中学生高過ぎる知力で理不尽をぶっ飛ばす！

第72話 大会の裏で

『おい！ベラント！一体どうなったのだ？！訳が分からん！！』
皇帝が首を捻る。

『はっ！恐らく魔獣は目の前の人間が自分より遥かに強い者だと認識したのです。
ですので戦う意思がない事を示して媚を売ったのです。』
ベラントは無表情で説明する。

『ば、馬鹿な！あんなガキの何処にそんな要素があるのだ！！
・・・だがファイデルの奴らか・・・』

エルが納得してない顔で戻ってくる。
『エル！よくやったぞ！』
エルの頭を撫でる。
『うーん。何もしてないのに・・・』
エルが呟く。
『魔獣がエルの強さに気付いたんだよ！相手が弱くて戦いにもならなかったんだ。』
『そっか！まぁ、勝ったんだからいいか！』
エルに笑顔が戻る。

『さて！俺はデンバーとやる事があるから暫く離れる。
皆んな、後は頼んだぞ！』

『はい！！！！！』

俺は特別席で踏ん反り返る37人の貴族共を見据える。

俺はベラントを呼ぶ。
ベラントは跪く。
『何なりと申し付けてください。』

『帝国内の貴族はあれで全部か！？』
『はい。男爵、子爵の貴族達です。』

『あの中で奴隷を使っていない奴はいるのか？』
『はい、1人だけおります。ソシアナ・ライナードです。
公にはしておりませんが、人は自分の人徳によって従わせるのだと周りには話している様です。』

中には筋の通った奴もいるのか。
全てがクズではないか・・。人が集まれば十人十色・・・。これは面白くなって来た。

『よし、休憩を取る時に貴族共を1カ所に集めろ！』

『はっ！かしこまりました。』

腐った帝国貴族の大掃除だ。俺達に手を出した事を死ぬ程後悔させてやる。

騎士団参謀リゲルが号令を掛ける。
『この大会では絶対に負ける事は許されん！ゲランド皇帝からはどんな手を使ってでも勝てと言われている。
試合前にありとあらゆる身体向上魔法をかける！そして訓練で使う罠を設置する。
次の試合はファイデルだ、さらに奥の手を用意する。
必ず勝て！！勝ったら何でも奢ってやる！分かったな？！』

『おう！！！』

ベラントが跪く。
『ハヤト様、貴族達を集めました。』
仕事が早いな・・・。
『分かった。デンバー、行こうか！大掃除へ。』

『おう！とことん付き合うぞ！！』

部屋に入ると貴族達が紅茶を飲んで談笑していたが静かになり、俺達に視線を向ける。

俺達は長いテーブルの先端まで行き全員の顔が見渡せる所に立つ。

『皆様、お初にお目にかかります。
俺はファイデル王国のアマクサ・ハヤトです。』
俺が自己紹介をすると貴族達がざわつき出す。

『皇帝がご執心のあの英雄ハヤトか？！』
『スタンビートを止めた立役者だよな？！』
『何故ここへ？！』

俺は続けて話す。
『俺がここへ来た理由は、再三帝国から俺達へ刺客が送られて来たんだ！！だから帝国の誘いを受けてお前らを潰しに来たんだよ！！
大貴族共もほとんど掌握した！
後はお前らだけだ！
人の自由をもて遊ぶクズ共！覚悟しろ！！』

『ふん！生意気なガキだ！お前に何が出来る？！』

俺はニヤリと笑いデンバーに合図すると男がデンバーの前に跪いた。
貴族達が目を見開いて固まる。

『こんな事が出来るぞ！
お前らは奴隷が好きなんだろ？自ら奴隷の気分を未来永劫味わえ！！
今まで踏み躙って来た人の人生の数だけ後悔しろ！！！』

『やめろぉぉ！！そんな権利お前にはないだろぉぉぉ！！』

『そうよ！この国では奴隷は合法なのよ！！何が悪いの？！』

俺は勝手な口を叩く貴族共にブチ切れた。

『黙れぇぇぇぇぇ！！！！無理矢理攫って来て奴隷にするのが合法なのかぁぁぁぁ！？
貴様らにその権利があるのかぁぁぁぁ？！
人の人生なんだと思ってやがる！！！！
もう決定だ！！デンバー！やれ！』

デンバーが手をかざすと
ソシアナ・ライナード以外が跪く。

『えっ？！何故？』
ソシアナ・ライナードが困惑する。

俺は口調を和らげる
『奴隷を使ってない奴まで罰を受けさせる訳にはいかないからな。
あんたにはこの帝国を変える立役者になってもらうよ！じゃあまたな！』

いきなりの事で呆然としているソシアナ・ライナードを残して部屋を後にした。