上 下
166 / 183

第163話 試練のダンジョン 4

しおりを挟む
『クソっ!!〈ハインド王国〉の奴等と同じか?!どうなっているんだ?!
それにこいつ等は魔法使いか!!見てろよ!
神の力を見せてやるぞ!!』


今、パル達は岩山が立ち並ぶフィールドのど真ん中で獣系の魔物に囲まれていた。

『懲りない奴等ね!【ハイ・トルネード】!!』

パルが巨大な竜巻を放つと岩に隠れた魔物達を根こそぎ舞い上げて切り刻む!

『さすが師匠!!私も!!【サンドトルネード】!!!
ミルアが嬉々として魔法を放つと襲い掛かろうとした魔獣が次々と巻き上げられ岩や砂に巻き込まれて行く!!

『ふはは・・俺の出番が無いな・・』
バルガが頭を掻きながら呟く。

『早く片付けて師匠の手助けに行かないと!』
パルが問答無用で魔法を放つ!!

しかしバルガが異変に気付く。

『おい!パル殿!この魔物達・・・魔法攻撃 があまり効いて無いぞ?!』

巻き上げられて落ちて来た魔物達が落下のダメージはあるが再び襲ってくる!!

『ふん!俺の出番が回って来たな!!』
バルガがニヤリと笑い手負いの魔物達を斬り伏せて行く!!』

パルが眉を顰める。
『おかしいわ・・・さっきまでとは違うわ!
・・・成る程ね・・これが師匠が言っていた理不尽を振りかざす者のやり方ね・・・ふん!!甘いわね!こんな状況師匠はきっちり見抜いているわよ!!』

『ミルア!メル達の力を借りるわよ!!』
『はい!!アレですね!!』

2人はアイテムボックスから腕輪を取り出して両腕に装備する。そして叫ぶ!

『『【鎧魔闘衣】解放!!!』』

すると腕輪が光り輝き形を変えて身体を包み込んで行く!
そして光が晴れるとそこには、パルは赤、ミルアは青の武道家姿の2人が立っていた。


ハヤトは闘気が効かない相手、魔力が効かない相手を想定してメル達に魔道具を依頼していたのだ。それが【鎧魔闘衣】である。
これは闘気を魔力に、魔力を闘気に変換できる魔道具であり浅はかな神の考えを打ち破るものなのである。

パルは口角を上げて迫り来る魔物を見据える!
『ミルア!試運転ついでに行くわよ!!』
『はい!師匠!!行きます!!!』

『【ハイ・トルネード】!!!!』
パルが魔法を放つと見た目は魔法と一緒だが
巻き上げられた魔物達は物理的に刻まれて行く!!まさに闘気の竜巻である!!

『【サンドトルネード】!!!!】
これも巨大な砂の竜巻が魔物達を問答無用で吸い上げて闘気の刃で切り刻んで行く!!

『師匠!!凄いです!!見た目は一緒なのにダメージが完全に物理攻撃です!!』
ミルアが嬉々としている。

『さすがメル達ね!これなら問題なくぶっ飛ばせるわ!!行くわよ2人共!!』

『はい!』
『おう!』


『ば、馬鹿なぁぁぁぁ!!!あいつら魔法使いじゃあないのか?!物理攻撃の魔法なんて聞いた事無いぞ?!
クソっ!余り力を使い過ぎるとまずいが仕方がない!!
行け!〈マモル・ダンジョン改〉!!』

『ふう!粗方片付いたわね!・・・さて、親玉さんのお出ましよ!』
パルが岩山の上にいる黒い人型を指差す!
すると黒い人型がパル達に腕をかざすと空中に氷の槍が無数に現れる!!

『あっ!あいつ魔法使いなの?!じゃあこのまま行くわよ!!
ミルア!!攻撃をお願い!!バルガ!!接近でミルアと協力して攻撃!!私は防御に回るわ!!』

『了解!!』

パルは【鎧魔闘衣】を解除して装備を切り替える!!
『【鎧魔装】解放!!!】
光がパルを包み光が晴れると赤いとんがり帽子の魔法使いが現れる!
これは〈魔神王・魔〉シャルのデザインである。

『俺も行くぞ!!!【鎧武剣】!!!』
バルガが闘気の光に包まれ黒い騎士が現れる!!

『さあ!!さっさと倒して師匠の元へ行くわよ!!!』

『『了解!!!!』』

ここでも神との戦いが始まった。しかし理不尽なフィールドでの戦いに一抹の不安を抱えるのであった。
しおりを挟む

処理中です...