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過去 ー SS短編そのまま読めます ー
週二日のルーティン ⑵ -継母の場合 -
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思い返せばシュワット公爵家へ来た当初に遡る
この部屋は公爵が私の部屋だと与えてくれたけれど、当時5歳の私にはベッドが大人の男性三人寝転んでも余裕を持て余すほど大きなベッドなことや、こんなにも大きなベッドが置いてあるにも関わらず狭く感じさせない程に広いお部屋
今まで私の身体には充分な場所で過ごしてきたのにその広さに落ち着かず、不安が多少なりともある状態に加えて、まだここへ来て数日しか経っておらず慣れない部屋で真っ暗な中、唯一落ち着ける存在でもある、くまのアートンを抱きしめてベッドの隅っこでカーテンを開けてもらったまま月の光に包まれて眠りについている状態が続いていた、
清々しい程に昼間は晴れていたのに、夕方からポツポツ降り出した雨が激しさを増して寝る前には雨風が窓を叩き、嵐の晩となったある晩
外の荒々しさにカーテンを閉めてもらい、アートンと一緒に布団の中にくるまる。
あぁ、そう言えば、ランプはどこにあるのか分からないし、つけていいのかも分からない。
聞けばいいのだろうけど声をかけきれず、業務を終えたメイドが出ていくのを静かに見つめるしか無かった。
中々寝つけれずにいたけれど、やっと瞼がとじ掛けていたのに、ピカッと照明よりも明るく感じる光が一瞬顔を照らしたかと思えば、その光を追いかけるかのように大きな音を立て電気音の衝突が鳴り響いて体がビクッとその音に驚き現実世界へ引き戻される。
いくら恵みの雨だと身体をキレイに洗ってた過去があったとしてもカミナリだけは恐怖の対象でしかない。
今まで住んでいた屋根裏部屋のような小窓から見る景色ではなく、この目の前の大きな壁一面の窓から見る景色は現在絶望的で、カミナリがじわじわと予測のつかない角度から迫り来るかのような迫力に一層の恐怖心が増して、アートンをこれでもかってくらいギュッと抱きしめる。もちろん抱き締め返してくれるはずも無いけど。
大きすぎるベッドの上でいくつもある大きな枕をかき集めて布を引っ張ってきてその中にくるまって、カミナリに見つから無いように息を潜める
『はやく過ぎ去って!!』
半泣き状態で止まらない震えを何とか堪えながら、過ぎ去ることを待つばかりの私にはドアが開いた音もこちらに一直線に歩いてきた規則正しい足音に気づく余裕なんてひとつも無かった。
急にベッドがギシッと沈んだかと思えば
「もう大丈夫よ」
優しく落ち着いた声が頭の上から聞こえてきた。
この声は、知ってる。
ふわっと優しく包むように布越しに抱きしめられて、止めなきゃと耐えていた涙が頬を伝い溢れ出る。
いくつも寄せ集めた枕を退けられ
頭の上からすっぽり被っていた布も体から退けられ
カミナリの光で映し出されたのは、優しく微笑むエッダだった。
目尻を優しく親指でなぞり涙を拭き、優しく抱き寄せて背中をさすりながら、「大丈夫、大丈夫よ」と私が落ち着くまで抱きしめてくれてた。
あんなにも怖かったカミナリの音がエッダのおかげで半減して、なんだか胸の当たりがポカポカした。
ネグリジェ姿では無く、ちゃんとした貴婦人の姿のまま私を抱きしめて寝付くまで背中をさすってくれていた。
そして朝、起きたら優しい瞳が私を見つめながら頭を撫でてくれていたエッダ
こんなにちゃんと私を見てくれてる人に出会えたのは初めてのように感じたし、エッダといい関係を築けるんじゃないかと思ったわ。
それなのに、そのまま美しい思い出で
なぜ終わらせてくれないのかしら。
あの日以来、エッダはちょくちょく私の部屋へ夜な夜な訪れ一緒に眠るようになった。
あの教会で出会った時と変わらず、性別の判断がつきにくい中性的な整った顔に、公爵家へ来てからは首を覆い隠すような上品なドレスを着こなしており長い髪の毛をひとつに束ねて左肩側から前に垂らしている。そんなエッダはいつも優しく微笑み私を見てくれた。正直、母親像なんて過去も現在も理解し難いけれどエッダを母だと思っていいんじゃないかと思いだした。
いつか子どもを産んだ時にエッダのような母親になりたいと憧れを持ち出していた時期もあったのに、歳を重ねる間に、憧れを何処に落としたのか今はもう見当たらない。
エッダだけは私に対して誠実であってほしいと願ったけれどそれをぶち壊され、落ち着ける唯一すらも無くなったあの日
それは私が、12歳になり王家の婚約者候補を決める見定めパーティに参加した夜
参加もしたくないパーティーに参加を余儀なくさせられ、皇子の婚約者願望欲の塊にもまれて、初めての社交場がこんな戦場だなんてと精神的疲れにエネルギーなんて持たず、いつもは家族への挨拶のあと軽く会話をしながら食事をするところだけど、食事をさっさと済ませて家族との会話もろくに、疲れたことだけ伝えて湯汲みを済ませて、寝て回復するのみだと思いベッドに横になった。
どっと疲れてたのか
夢の中へ意識を手放すのも数秒だった。
寝返りを打とうとしたのに身体が動かない。
まだ目を開けたくないのに、なんだか体を自由に動かせず温もりを感じその息苦しさに目を閉じたまましかめっ面になったのは仕方ない。
嫌々、状況確認するために重たい瞼をあげてボヤけまなこで目の前を確認すれば、月の光に照らされた肌色
『え?だれなの?』
この状況を理解できず、そろりと顔を上にあげてみればエッダの眠り顔
『なぜ、エッダがここにいるの?』
ただいつもは首元まで隠れるような作りのドレスを着ており、たまに一緒に寝る時でさえ肌の露出の少ないネグリジェを好み、エッダの肌の露出など今まで見たことなんてなかった。
パッチリ開いた目で、まじまじとエッダの体を見える範囲で上からゆっくり見下ろしていく
『エッダって喉仏がお父様みたいに出ているのね…肩のラインもしっかりとしているし、なんだか男性みたい』
『胸は、、あれ?なんで服を着ていないの? というか、胸が無いわ。服の上から小ぶりではあるけどしっかりあったはずなのに何処に行ったのかしら・・・
ただ、しっかりと胸からおへそに向かったラインがあるし、これはどう考えても筋肉よね』
ゆっくり顔を下に向ける。
『…下は履いているわよね。とか思った私が馬鹿だったわ。なんで下も履いていないのよ。ここでウブな少女なら、大声で叫ぶものかしら。』
この歳にしてこの家族の陰部確認をコンプリートする日が来るとはね、全くもって嬉しくない。
「イザベル」
『あら、どうしたものかしら』という一瞬固まっていた上に過去世の記憶のおかげもあって叫ぶタイミングすら逃してしまったわ
『純粋無垢な女の子ならこういう時どう言う反応をするのかしらね。』
返信しないままでやり過ごせそうな雰囲気では無く
「おはようございます、お母様」
顔を上げて無心でエッダを見る。
『そうよ、私の目にはみんなには見えない布が見えてるの。』
「おはよう、」
『そう言って甘いマスクで私の頬を撫でてくるこの男は誰なのかしら、私の知ってるエッダじゃないわ。』
「お母様、、?」
「どうしたの、イザベル」
「双子「では無いよ」」
『双子だと言ってくれていいのに。』
最後まで質問を聞かないで駆け足な返答だけど怯んでられない。
「なぜ、裸なの」
聞くか迷ったけど、大事なことだと質問する。
「ふふ、可愛い天使を少しでも肌で感じたくてね。暑いならイザベラも脱「大丈夫、暑く無いわ」」
エッダの身に纏う雰囲気と瞳に何されるかわからない恐怖を一瞬で感じた。
『安全だと思ってたのに…やっぱり自分の身を守るのは自分自身だけなのね。』
「そう、残念だ」
『残念そうでは無いように見えるのは気のせいかしら』
「ねぇ、どうしてお母様はここにいるの?」
「それはね、イザベルと一緒に寝たかったからだよ」
『わざわざ裸になる必要性はないわよね』
エッダのその言葉は本心だと、眠ってる幼女に手を出す程落ちぶれてない人だと信じたい。
「そう、今は何時なのかな」
「今はまだ2時を回った頃じゃないかな」
少し遠くを見つめながら時刻を教えてくれるエッダは適当を言った様子はなく、それ以上聞くことはせずに何も無いことを願いまた夢の中へ戻ることにした。
「そう、お母様おやすみなさい」
「えぇ、いい夢を」
おでこにちゅっとキスをされて優しい手つきで髪を撫でられる。
そのまま、これが夢だったと思いたい気持ちも込めて明日朝、目が覚めたら何もなかったことを願い瞼を閉じた。
まぁ、結局夢にはならず現実で私が騒ぎ立てなかったことをいいことにエッダは二人だけの時には羽目を少しずつ外す始末。
あの時、この世の終わりかのような騒ぎ立てをしていれば何か変わったはず。そう思うと悔やまれないわ
唯一救いがあるとするなら変態兄さんよりもまだ襲われる可能性が少ないといった点ね、この屋敷で襲ってきそうな順位最下位であることがまだ安心できるところよ
ただ、そう言えど
いつ順位の変動が起こるかわからない
何より言わせて欲しいのだけど、今世ではまだピチピチの少女なのよ、それがどれほど希少価値があることかってことよ。
歳を食うごとにこの若さは保てやしないのよ
、失敗を何度もできるのは若いうちと言うけどそれにもリミットはあるものよ。
過去世を思い返した結果も含め、初めては、やはり大切にしたいから、惚れた人と決めているのだけど残念ながらこの屋敷にはいない。
ということは、惚れた人と会えるまでは守ってもらうなんて出来やしないから、やっぱり自分の身は自分で守らないといけないのね。
これから好きでもない皇子様に見初められ惚れた腫れたの演技をしなきゃならないことを過去の記憶を眠るたんびに見て、前世プラス色々望んでもいないのに思い出す羽目になり、その状況消化がまともにできてもいないのに…
その上、家庭事情まで放り込んでくるとは、今世だけでも幸せになりたいと願った私に対する嫌がらせの限度を超えた精神的暴力がすごいわよね、神様自覚あるのかしら、ホント。
そんな状況で好きな人に操を…なんて、そんな至難の業、こんなおかしな家族を持った上にイベントだらけの学園生活で私にできるのかしらね。
睡眠時間でさえやすまらない、
この日々に終止符が早くきてくれと願い
目の前の現実はある程度横流しにして、ある計画を練りながら、今日も疲れを回復するために夢の中へと意識を手放す。
END
この部屋は公爵が私の部屋だと与えてくれたけれど、当時5歳の私にはベッドが大人の男性三人寝転んでも余裕を持て余すほど大きなベッドなことや、こんなにも大きなベッドが置いてあるにも関わらず狭く感じさせない程に広いお部屋
今まで私の身体には充分な場所で過ごしてきたのにその広さに落ち着かず、不安が多少なりともある状態に加えて、まだここへ来て数日しか経っておらず慣れない部屋で真っ暗な中、唯一落ち着ける存在でもある、くまのアートンを抱きしめてベッドの隅っこでカーテンを開けてもらったまま月の光に包まれて眠りについている状態が続いていた、
清々しい程に昼間は晴れていたのに、夕方からポツポツ降り出した雨が激しさを増して寝る前には雨風が窓を叩き、嵐の晩となったある晩
外の荒々しさにカーテンを閉めてもらい、アートンと一緒に布団の中にくるまる。
あぁ、そう言えば、ランプはどこにあるのか分からないし、つけていいのかも分からない。
聞けばいいのだろうけど声をかけきれず、業務を終えたメイドが出ていくのを静かに見つめるしか無かった。
中々寝つけれずにいたけれど、やっと瞼がとじ掛けていたのに、ピカッと照明よりも明るく感じる光が一瞬顔を照らしたかと思えば、その光を追いかけるかのように大きな音を立て電気音の衝突が鳴り響いて体がビクッとその音に驚き現実世界へ引き戻される。
いくら恵みの雨だと身体をキレイに洗ってた過去があったとしてもカミナリだけは恐怖の対象でしかない。
今まで住んでいた屋根裏部屋のような小窓から見る景色ではなく、この目の前の大きな壁一面の窓から見る景色は現在絶望的で、カミナリがじわじわと予測のつかない角度から迫り来るかのような迫力に一層の恐怖心が増して、アートンをこれでもかってくらいギュッと抱きしめる。もちろん抱き締め返してくれるはずも無いけど。
大きすぎるベッドの上でいくつもある大きな枕をかき集めて布を引っ張ってきてその中にくるまって、カミナリに見つから無いように息を潜める
『はやく過ぎ去って!!』
半泣き状態で止まらない震えを何とか堪えながら、過ぎ去ることを待つばかりの私にはドアが開いた音もこちらに一直線に歩いてきた規則正しい足音に気づく余裕なんてひとつも無かった。
急にベッドがギシッと沈んだかと思えば
「もう大丈夫よ」
優しく落ち着いた声が頭の上から聞こえてきた。
この声は、知ってる。
ふわっと優しく包むように布越しに抱きしめられて、止めなきゃと耐えていた涙が頬を伝い溢れ出る。
いくつも寄せ集めた枕を退けられ
頭の上からすっぽり被っていた布も体から退けられ
カミナリの光で映し出されたのは、優しく微笑むエッダだった。
目尻を優しく親指でなぞり涙を拭き、優しく抱き寄せて背中をさすりながら、「大丈夫、大丈夫よ」と私が落ち着くまで抱きしめてくれてた。
あんなにも怖かったカミナリの音がエッダのおかげで半減して、なんだか胸の当たりがポカポカした。
ネグリジェ姿では無く、ちゃんとした貴婦人の姿のまま私を抱きしめて寝付くまで背中をさすってくれていた。
そして朝、起きたら優しい瞳が私を見つめながら頭を撫でてくれていたエッダ
こんなにちゃんと私を見てくれてる人に出会えたのは初めてのように感じたし、エッダといい関係を築けるんじゃないかと思ったわ。
それなのに、そのまま美しい思い出で
なぜ終わらせてくれないのかしら。
あの日以来、エッダはちょくちょく私の部屋へ夜な夜な訪れ一緒に眠るようになった。
あの教会で出会った時と変わらず、性別の判断がつきにくい中性的な整った顔に、公爵家へ来てからは首を覆い隠すような上品なドレスを着こなしており長い髪の毛をひとつに束ねて左肩側から前に垂らしている。そんなエッダはいつも優しく微笑み私を見てくれた。正直、母親像なんて過去も現在も理解し難いけれどエッダを母だと思っていいんじゃないかと思いだした。
いつか子どもを産んだ時にエッダのような母親になりたいと憧れを持ち出していた時期もあったのに、歳を重ねる間に、憧れを何処に落としたのか今はもう見当たらない。
エッダだけは私に対して誠実であってほしいと願ったけれどそれをぶち壊され、落ち着ける唯一すらも無くなったあの日
それは私が、12歳になり王家の婚約者候補を決める見定めパーティに参加した夜
参加もしたくないパーティーに参加を余儀なくさせられ、皇子の婚約者願望欲の塊にもまれて、初めての社交場がこんな戦場だなんてと精神的疲れにエネルギーなんて持たず、いつもは家族への挨拶のあと軽く会話をしながら食事をするところだけど、食事をさっさと済ませて家族との会話もろくに、疲れたことだけ伝えて湯汲みを済ませて、寝て回復するのみだと思いベッドに横になった。
どっと疲れてたのか
夢の中へ意識を手放すのも数秒だった。
寝返りを打とうとしたのに身体が動かない。
まだ目を開けたくないのに、なんだか体を自由に動かせず温もりを感じその息苦しさに目を閉じたまましかめっ面になったのは仕方ない。
嫌々、状況確認するために重たい瞼をあげてボヤけまなこで目の前を確認すれば、月の光に照らされた肌色
『え?だれなの?』
この状況を理解できず、そろりと顔を上にあげてみればエッダの眠り顔
『なぜ、エッダがここにいるの?』
ただいつもは首元まで隠れるような作りのドレスを着ており、たまに一緒に寝る時でさえ肌の露出の少ないネグリジェを好み、エッダの肌の露出など今まで見たことなんてなかった。
パッチリ開いた目で、まじまじとエッダの体を見える範囲で上からゆっくり見下ろしていく
『エッダって喉仏がお父様みたいに出ているのね…肩のラインもしっかりとしているし、なんだか男性みたい』
『胸は、、あれ?なんで服を着ていないの? というか、胸が無いわ。服の上から小ぶりではあるけどしっかりあったはずなのに何処に行ったのかしら・・・
ただ、しっかりと胸からおへそに向かったラインがあるし、これはどう考えても筋肉よね』
ゆっくり顔を下に向ける。
『…下は履いているわよね。とか思った私が馬鹿だったわ。なんで下も履いていないのよ。ここでウブな少女なら、大声で叫ぶものかしら。』
この歳にしてこの家族の陰部確認をコンプリートする日が来るとはね、全くもって嬉しくない。
「イザベル」
『あら、どうしたものかしら』という一瞬固まっていた上に過去世の記憶のおかげもあって叫ぶタイミングすら逃してしまったわ
『純粋無垢な女の子ならこういう時どう言う反応をするのかしらね。』
返信しないままでやり過ごせそうな雰囲気では無く
「おはようございます、お母様」
顔を上げて無心でエッダを見る。
『そうよ、私の目にはみんなには見えない布が見えてるの。』
「おはよう、」
『そう言って甘いマスクで私の頬を撫でてくるこの男は誰なのかしら、私の知ってるエッダじゃないわ。』
「お母様、、?」
「どうしたの、イザベル」
「双子「では無いよ」」
『双子だと言ってくれていいのに。』
最後まで質問を聞かないで駆け足な返答だけど怯んでられない。
「なぜ、裸なの」
聞くか迷ったけど、大事なことだと質問する。
「ふふ、可愛い天使を少しでも肌で感じたくてね。暑いならイザベラも脱「大丈夫、暑く無いわ」」
エッダの身に纏う雰囲気と瞳に何されるかわからない恐怖を一瞬で感じた。
『安全だと思ってたのに…やっぱり自分の身を守るのは自分自身だけなのね。』
「そう、残念だ」
『残念そうでは無いように見えるのは気のせいかしら』
「ねぇ、どうしてお母様はここにいるの?」
「それはね、イザベルと一緒に寝たかったからだよ」
『わざわざ裸になる必要性はないわよね』
エッダのその言葉は本心だと、眠ってる幼女に手を出す程落ちぶれてない人だと信じたい。
「そう、今は何時なのかな」
「今はまだ2時を回った頃じゃないかな」
少し遠くを見つめながら時刻を教えてくれるエッダは適当を言った様子はなく、それ以上聞くことはせずに何も無いことを願いまた夢の中へ戻ることにした。
「そう、お母様おやすみなさい」
「えぇ、いい夢を」
おでこにちゅっとキスをされて優しい手つきで髪を撫でられる。
そのまま、これが夢だったと思いたい気持ちも込めて明日朝、目が覚めたら何もなかったことを願い瞼を閉じた。
まぁ、結局夢にはならず現実で私が騒ぎ立てなかったことをいいことにエッダは二人だけの時には羽目を少しずつ外す始末。
あの時、この世の終わりかのような騒ぎ立てをしていれば何か変わったはず。そう思うと悔やまれないわ
唯一救いがあるとするなら変態兄さんよりもまだ襲われる可能性が少ないといった点ね、この屋敷で襲ってきそうな順位最下位であることがまだ安心できるところよ
ただ、そう言えど
いつ順位の変動が起こるかわからない
何より言わせて欲しいのだけど、今世ではまだピチピチの少女なのよ、それがどれほど希少価値があることかってことよ。
歳を食うごとにこの若さは保てやしないのよ
、失敗を何度もできるのは若いうちと言うけどそれにもリミットはあるものよ。
過去世を思い返した結果も含め、初めては、やはり大切にしたいから、惚れた人と決めているのだけど残念ながらこの屋敷にはいない。
ということは、惚れた人と会えるまでは守ってもらうなんて出来やしないから、やっぱり自分の身は自分で守らないといけないのね。
これから好きでもない皇子様に見初められ惚れた腫れたの演技をしなきゃならないことを過去の記憶を眠るたんびに見て、前世プラス色々望んでもいないのに思い出す羽目になり、その状況消化がまともにできてもいないのに…
その上、家庭事情まで放り込んでくるとは、今世だけでも幸せになりたいと願った私に対する嫌がらせの限度を超えた精神的暴力がすごいわよね、神様自覚あるのかしら、ホント。
そんな状況で好きな人に操を…なんて、そんな至難の業、こんなおかしな家族を持った上にイベントだらけの学園生活で私にできるのかしらね。
睡眠時間でさえやすまらない、
この日々に終止符が早くきてくれと願い
目の前の現実はある程度横流しにして、ある計画を練りながら、今日も疲れを回復するために夢の中へと意識を手放す。
END
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