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知れば、知られる
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ベットに座り込んでいた侑梨は慌てた。横目でしか見えなかったが、パウダールームから出てきたお客様が裸だったからだ。恐らくタオルは濡れた頭に掛けられていて、しかも何やら歩いてこちらに来ている。
お客様!タオルはそこではありません!
下を隠してください!と心の中で叫ぶ。
どうしよう!
裸なんて父のも覚えてない。
だって父とのお風呂なんて低学年の時くらいだ。
父さんのバカ!
侑梨は頓珍漢な怒りを父に向けてみたが、父の返事はない。そうだよね。そうだよね。と、グルグル考えてもどうしたらいいのか分からない。
お客様が後数歩の瞬間、侑梨はシーツの中に潜り込んだ。シーツからスモーキーでスパイシーな重厚な香りがする。テンションが上がっているせいかこの香りにクラクラする。おの女性の華やかな香りより明らかに男性の重厚な香水の香りだ。どうしよう。今すぐシーツから顔を出してお客様に謝罪しないと。そう思うのに、今の侑梨は中学生だ。
プシュと瓶ボトルから炭酸が抜ける音がする。
お客様!水分補給よりまずは着衣を整えてください!
と、心で叫ぶ。
男性がすぐ側で私の不恰好を見つめているのがわかる。
…消えたい…消えてしまいたい…なんて逃避している間に
声が降ってくる。
「いい眺めだね」
その言葉を侑梨は理解できなかった。
私を見ていると思ったのは誤りで、彼は摩天楼の輝きを見つめていたのだろうか?
少し冷静になれてきた。
声は低く落ち着いていて艶っぽい。さすが恋の火遊びを楽しむだけはある。声だけでもセクシーだ。
勇気を出して顔を出そうと思った矢先、なんとお尻を撫でられたのだ。
「きゃっ」
思わず声が出る。
触り方がゆっくり厭らしい。手が、指が長いのを嫌でもわかってしまう。
「可愛い声で鳴く。顔を隠し、お尻を突き出して誘うなんて大胆だね」
ゆっくり話す間も彼は手を緩めない。その手は太ももにも触れる。
「お、お客様、申し訳ございません!先程ご連絡させて頂いた女性ボタンの件で参りました。そのボタンも見つけましたので、失礼させて頂きたいのですが…その…着衣をお願いします…」
お願いだから一刻も早く手を離して欲しいその願いで侑梨は少し早口で答えた。
「あぁ…彼女のボタンね。彼女も気が利くね。こんなプレゼントを届けてくれるなんて」
スカートをゆっくりとたくし上げようとするのを侑梨はなんとか片手で抑える。
「お客様、申し訳ありませんがこのボタンを早急にお届けしなければなりません」
侑梨はパニックの中なんとか冷静を努めて答えた。
「バカな子だね」
苦笑と吐き捨てられた言葉に背筋が凍った。
指が下着にかかる。
もう限界だった。
「嫌!」
シーツから抜け出した侑梨は男性の腕を思い切り引っ叩いた。
自然と溢れる涙を拭うよりも目の前の人物に驚愕した。
マウロ・ジーノ。
彼だった。
お客様!タオルはそこではありません!
下を隠してください!と心の中で叫ぶ。
どうしよう!
裸なんて父のも覚えてない。
だって父とのお風呂なんて低学年の時くらいだ。
父さんのバカ!
侑梨は頓珍漢な怒りを父に向けてみたが、父の返事はない。そうだよね。そうだよね。と、グルグル考えてもどうしたらいいのか分からない。
お客様が後数歩の瞬間、侑梨はシーツの中に潜り込んだ。シーツからスモーキーでスパイシーな重厚な香りがする。テンションが上がっているせいかこの香りにクラクラする。おの女性の華やかな香りより明らかに男性の重厚な香水の香りだ。どうしよう。今すぐシーツから顔を出してお客様に謝罪しないと。そう思うのに、今の侑梨は中学生だ。
プシュと瓶ボトルから炭酸が抜ける音がする。
お客様!水分補給よりまずは着衣を整えてください!
と、心で叫ぶ。
男性がすぐ側で私の不恰好を見つめているのがわかる。
…消えたい…消えてしまいたい…なんて逃避している間に
声が降ってくる。
「いい眺めだね」
その言葉を侑梨は理解できなかった。
私を見ていると思ったのは誤りで、彼は摩天楼の輝きを見つめていたのだろうか?
少し冷静になれてきた。
声は低く落ち着いていて艶っぽい。さすが恋の火遊びを楽しむだけはある。声だけでもセクシーだ。
勇気を出して顔を出そうと思った矢先、なんとお尻を撫でられたのだ。
「きゃっ」
思わず声が出る。
触り方がゆっくり厭らしい。手が、指が長いのを嫌でもわかってしまう。
「可愛い声で鳴く。顔を隠し、お尻を突き出して誘うなんて大胆だね」
ゆっくり話す間も彼は手を緩めない。その手は太ももにも触れる。
「お、お客様、申し訳ございません!先程ご連絡させて頂いた女性ボタンの件で参りました。そのボタンも見つけましたので、失礼させて頂きたいのですが…その…着衣をお願いします…」
お願いだから一刻も早く手を離して欲しいその願いで侑梨は少し早口で答えた。
「あぁ…彼女のボタンね。彼女も気が利くね。こんなプレゼントを届けてくれるなんて」
スカートをゆっくりとたくし上げようとするのを侑梨はなんとか片手で抑える。
「お客様、申し訳ありませんがこのボタンを早急にお届けしなければなりません」
侑梨はパニックの中なんとか冷静を努めて答えた。
「バカな子だね」
苦笑と吐き捨てられた言葉に背筋が凍った。
指が下着にかかる。
もう限界だった。
「嫌!」
シーツから抜け出した侑梨は男性の腕を思い切り引っ叩いた。
自然と溢れる涙を拭うよりも目の前の人物に驚愕した。
マウロ・ジーノ。
彼だった。
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