追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

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第一章 王子への転生と冒険者修行

第14話 ウインドドラゴン戦~商業都市ザムザ北の森

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「え!? ウインドドラゴン!?」

 黒丸さんが今そう言ったよね?
 ドラゴンがこっちに来るの!?
 やばいよ!

「に、逃げましょう!」

「アンジェロは何を言っているのだ。逃げたら修行にならない」

 いやいやいやいや!
 ルーナ先生! ドラゴンと戦うのは修行とは言わない!

 ドラゴンと戦う為に修行するのです。
 順番が逆です!

「アンジェロ少年! もう一度きちんと説明するので聞くのである! そもそもこの依頼は商業都市ザムザの商人ギルドから出ているのである。交易路を安心安全にするのが目的なのである!」

「えーと……」

「都市の近くにウインドドラゴンが出たなどと言う事になれば、商人たちが逃げてしまうのである。それはフリージア王国の経済にとって大打撃なのである!」

「はあ……」

「よって! ウインドドラゴンを討伐するのは、第三王子たるアンジェロ少年の重大責務なのある!」

「いや、でもですね……。リスクとか危険性を考えるとですね……」

 黒丸さんはやる気だが、俺はやりたくない。
 さっきワイバーンと戦ったろ?
 どこの世界にダブルヘッダーでドラゴンと戦う奴がいる!

 野球のドラゴンズじゃないぞ!
 マジモンのドラゴンだぞ!

 だが、ルーナ先生は許してくれない。
 ジト目で俺を見ている。
 圧がハンパない。

「アンジェロ! やれ!」

「……わかりました」

 また、このパターンかよ……。
 どうやら俺はルーナ先生のジト目に弱いんだな。
 今度から目を合わせないぞ!

 ウインドドラゴンが近づいてきた。
 俺の目にもハッキリと見える。

 見えるが……、何だありゃ!?

 まずデカイ!
 ジェット旅客機よりデカイ。
 あの巨体がどうして空を飛んでいる!?

 ミスター万有引力ニュートン先生でも、シャッターを閉めて廃業してしまうレベルにおかしい!
 物理学とは一体……、異世界ではリンゴは落ちてもドラゴンは落ちません!

 俺が軽くパニクっている横でルーナ先生と黒丸さんはノンビリと話している。

「ふむ。まだ若い竜に見える」

「そうであるな。ワイバーンが群れをなしていたのは、きっとヤツが元凶である。ワイバーンを引き連れて、あちこち暴れてやろうと考えていたのであるな」

「若い竜にありがちだな。軽いいたずら心にしても迷惑な話だ」

「しかし、気の毒であるな。手下のワイバーンは、アンジェロ少年がみな始末したのである」

「あれもアンジェロにやらせる。近づけないでくれ」

うけたまわったのである」

 そう言うと黒丸さんはウインドドラゴンに突進していった。

「それがしは王国の牙! 黒丸である! 推参である!」

 黒丸さんは名乗りを上げるとウインドドラゴンに大剣で斬りつけた。
 ウインドドラゴンは前足を上げ斬撃を防ぐ。


 ガギャン!


 重い金属がぶつかり合う硬質な音が響いた。
 黒丸さんが大剣を振り回し、ウインドドラゴンが棹立ちになり前足で応戦する。

「すげぇ……。ドラゴン相手に打ち負けてない……」

 黒丸さんの戦いに見とれてしまった。
 正面から大剣を振り回し、隙を見てウインドドラゴンの側面に斬りかかる。
 ウインドドラゴンは防戦一方だ。

 黒丸さんが距離を取ったその時、ウインドドラゴンが動いた。
 こちらを向いて口を大きく開けて、何か構えをとった。

「ドラゴンブレスが来る!」

「うえええ!」

「魔力障壁! 多重展開!」

 やばい! 死にたくない!
 ルーナ先生が魔法障壁をいくつも重ねて展開する。
 緑色の魔力の壁が一枚、二枚、三枚、四枚、五枚展開された。
 黒丸さんがすぐ隣に滑り込んで来る。


 ゴオゥゥゥゥゥ!


 ウインドドラゴンがブレスを吐いた!
 真っ白な魔力の息吹で視界がゼロになる。

 だが、熱や痛みを感じない。
 ルーナ先生の魔法障壁がドラゴンブレスを防いでくれている。

 ドラゴンブレスの奔流の中ルーナ先生から檄が飛ぶ。

「黒丸! 油断だぞ! ドラゴンブレスを撃たせるな!」

「クッ……。面目ないのである!」

「アンジェロ! 早く倒せ!」

 待って欲しい!
 どうやってアレを倒せと!
 過程をすっ飛ばして結果だけ求められても困るんですよ!

「ど、どうやって倒すんですか!」

「ウインドドラゴンは、ワイバーンと同じ風属性だ! 弱点も同じ! 雷魔法をサッサとぶち込め!」

「わかりました!」

 雷魔法で良いのか。
 早くそう言ってくれよ!

「遠慮なく特大だ!」

「良いんですね? じゃあ、雷魔法特盛でいきます! タメがいるので、時間を稼いで下さい」

「黒丸!」

相分あいわかったのである!」

 ウインドドラゴンのドラゴンブレスがやんだ。
 黒丸さんが飛び出して時間稼ぎの接近戦を始める。

「じゃあ、始めますよ……」

 俺は三年前を思い出す。
 女神ミネルヴァ様に雷魔法を初めて教わり、池の水を干上がらせた。

 アレなら……。
 女神ミネルヴァ様いわく、ドラゴンの鱗でも紙と同じ。

 ゆっくりと右手を前に出し意識を集中する。
 魔力を収束し電気の渦を発生させる。

 ウインドドラゴンと黒丸さんが戦う上空に電気の渦が発生した。
 ルーナ先生が驚いた声を出す。

「むっ! アンジェロ! あれは!?」

「まだです! もうちょいかかります!」

 電気の渦をもう一つ、さらに一つ……。
 縦に三つ電気の渦を並べて、さらに魔力を注ぎ込む。

 ウインドドラゴンが、気付いたらしい。
 上空を気にしている。
 だが黒丸さんが攻め立てるので、逃げる隙を見つけられないでいる。


 バチバチ! バチバチバチ!


 電気の渦が放電を始めた。

「こ! これは大丈夫なのであるか!?」

 黒丸さんが戦いながら裏返った声を出しているが、気にしていられない。
 こっちは魔法のコントロールで精一杯だ。

 渦の中央に特大の稲妻が出現した。
 だが、まだ稲妻を落とさない。

 さらに魔力を注ぐ。
 まだ……、まだ……。

 ここ!

「撃ちます!」

「黒丸! 退避だ!」

 ルーナ先生が叫ぶと、黒丸さんが全速でウインドドラゴンから離れた。
 その瞬間、俺は稲妻を落とした。


 ダーーーーーーーーーーン!


 俺の放った稲妻は、逃走しようとしたウインドドラゴンを直撃した。
 いかなドラゴンの飛翔速度をもってしても、稲妻の速度にはかなわない。
 落雷までコンマ数秒もかからなかったろう。

 ウインドドラゴンは真っ直ぐに落ちて行く。
 森の木々を押し倒し、轟音を響かせて地面に激突した。

 黒丸さんがウインドドラゴンの側に寄り様子を見て、すぐに戻って来た。

「息絶えたのである。ウインドドラゴンの討伐を確認したのである!」
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