追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

文字の大きさ
219 / 358
第九章 グンマー連合王国

第219話 静けさや 遠くに響く グンマーストリームアタック

しおりを挟む
 ――夜になった。

「それでは、行ってくるのである」

「任せて」

「「「「グアアア!」」」」

 俺たちは馬賊のアジトを上空から偵察したが、予想よりも馬賊の数が多かった。
 そこで、まず、捕虜を取ることになった。
 すると、黒丸師匠とルーナ先生が任せろと言う。

 なんでも――。

『アンジェロ少年は、国王にして総長なのである。後ろで、でーんと構えているのである』

『そうそう。私たちに任せる』

 ――と黒丸師匠とルーナ先生がおっしゃる。

 怪しい……。
 なーにか、怪しい……。

 けれど、まあ、二人なら馬賊ごときにおくれを取ることもないので、お任せすることにした。

 ゲートを馬賊のアジト近くにつなぐと、黒丸師匠とルーナ先生がグンマークロコダイル四匹を連れて馬賊のアジトに抜き足差し足で忍び込んでいった。

 俺は馬賊のアジトから、かなり離れた地点で待機している。
 じいとウーラの町から来た三番隊が一緒だ。
 二台のケッテンクラートと一緒に待機する。

 三番隊のブンゴ隊長がケッテンクラートに寄りかかりながら、話しかけてきた。

「アンジェロ陛下。なんで、こんな遠くで待機なんスか?」

「見張りに見つかると面倒だから。ここは平原で遮蔽物がないからね。かなり距離を取らないと」

「おー! さすがッス!」

 昼間なら彼方に地平線が見え、そのあたりに馬賊のアジトがある。
 だが、今は夜なので、星がまたたく夜空と暗い地面の境は判然としない。

 すると狐族の族長が、耳をピクリとさせた。
 俺が名付けしたオシャマンベ族長だ。

「何か聞こえる……」

 獣人の耳には聞こえるらしいが、俺やブンゴ隊長ら人族の耳には何も聞こえない。

「オシャマンベ族長。何の音が聞こえますか?」

「音ではなく、先ほどのエルフ女性の叫び声ですね……」

 叫び声とは穏やかではない。
 ルーナ先生……まさか、しくじったか!?

 オシャマンベ族長は、耳に手を当て集中している。

「何が聞こえますか?」

「えーと……。グンマー……ストリーム……アタック……? いったい何のことでしょう?」

「あっ……」

 俺は天を仰いだ。
 ルーナ先生が、イセサッキに乗ってグンマーストリームアタックをかけたのだろう。

 馬賊と戦闘になったのか?

 オシャマンベ族長が、実況を続ける。

「待ってください……。剣を合わせる音も聞こえます……」

 どうやら戦闘が始まったらしい。
 馬賊に見つかったのか?

 次の瞬間、俺たちにも大きな音が聞こえた。
 何かが地面に落ちたドーンという音だ。

「あ! 火が見えるッス!」

 ブンゴ隊長が指さす先、はるか遠くに火の手が上がった。
 視界確保の為に、ルーナ先生が火魔法を発動したのだろう。

 仕方ない。
 作戦変更だ。

 俺はブンゴ隊長たち三番隊の面々に指示を出す。

「えっと……。隠密行動は失敗したと思われる。どうやら戦闘に突入したらしい。我々も転移魔法で移動して、参戦するぞ!」

「了解ッス!」

「「「「「了解!」」」」」

 俺はゲートを馬賊のアジトにつないで、ケッテンクラートごと転移した。
しおりを挟む
感想 129

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!

yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。 しかしそれは神のミスによるものだった。 神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。 そして橘 涼太に提案をする。 『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。 橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。 しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。 さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。 これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...