追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

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第十章 レッドアラート!

第252話 砂漠の夕日が、笑ってた

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 山岳鉄道、工事がスタートした。
 熊族のボイチェフに現場リーダーをお願いしたのだが、はりきって鉄道用地を切り開いている。

 今回、敷設するのは単線の軽便鉄道なので、道路を切り開くより楽らしい。
 道路と並行出来る箇所もあるので、かなり早く開通しそうだ。

 工事の調整はボイチェフ、シメイ伯爵、ホレック工房から派遣された技師に任せて、俺はキャランフィールドに帰ってきた。

 数日、いつものように仕事をしていたのだが、じいが渋い表情をして執務室に入ってきた。

「じい、どうした?」

 じいは、俺の向かいに座ると、深くため息をついた。

「ハアー……。こちらの報告書をご覧ください」

 じいが差し出した報告書を開く。

 外交報告書だな。
 ミスル王国に派遣している我が国の大使からだ。

 ミスル王国内に共産主義革命の気配がある。
 そのことを、大使はミスル王に伝えてくれたそうだ。

 もっとも共産主義革命といっても、理解してもらえそうもないので、『ミスリル鉱山で反乱が起きそうだ』と伝えてもらった。

 それに対するミスル王の反応は……。

「やる気なしか!」

「頭の痛いことですじゃ……」

 ミスル王……。
 危機感がなさ過ぎるだろう!

 そもそも、オマエが国をちゃんと統治しないから、我が国は、とばっちりを受けているのだ。
 馬賊が出たり、共産主義者が奴隷狩りをしたり……。

 まったく迷惑なことだ!

 報告書の最後の方に、ミスルの大臣が『鎮圧部隊を送る』と書いてあるのが救いだ。

「まあ、鎮圧部隊は送るようだが……」

「いや、アンジェロ様! 組織化されていたら――」

「組織化はされているよ」

 今度ミスルに現れた異世界人は、政府転覆活動に手慣れたヤツだ。
 少人数でゲリラ的に奴隷狩りをさせ、活動資金を稼ぐ。

 捕まえた連中は、ガッツリ共産主義思想がたたき込まれていた。
 思想教育も行っているのだろう。

 組織化していないと、こうはいかない。

 組織化されているとなると、アジトの鉱山は拠点の一つと見た方が良い。
 おそらくはミスル王国内に、目立たず、ひっそりと多数の拠点を構えているはずだ。

「鉱山の拠点を潰しても、他に拠点があるだろう」

「組織は、生き残りますじゃ」

「面倒だな……」

 ミスル王国は、地域大国なのだ。
 ぜひとも安定してもらいたい。

 安定した商売相手であって欲しいのだ。

 それが、こうも問題続出すると頭が痛い。

「共産主義革命組織に、情報部員は潜入したか?」

「そろそろ潜入したころかと」

「目を離すな!」

「はっ!」


 *


 じいことコーゼン伯爵が手配したグンマー連合王国情報部員の潜入は、失敗に終わった。
 情報部員が隊商に紛れてミスリル鉱山に到着すると、ミスリル鉱山はもぬけの殻だった。

「チクショウ! どこへいった!」

 情報部員のエルキュール族の若い男は、悔しがり地面を蹴飛ばした。
 砂漠に落ちる夕日が、エルキュール族の男をあざ笑った


 *


 その頃、革命予備軍と名称を変えた転生者サロットたちは、ミスル第二の都市ザギにいた。
 街中のアジトや宿屋に分散し、追っ手を逃れていた。

 ミスル王国がミスリル鉱山を急襲するであろうことを、察知していたのだ。
 情報元は、サーベルタイガー・テイマーのイネスだ。

 イネスはミスリル鉱山を訪ねると、共産主義革命組織リーダーにして転生者のサロットに、南メロビクス王国で仲間が捕らわれたことを告げた。

「良い情報をありがとう。このアジトは捨てよう」

 サロットは、ミスリル鉱山をアッサリと放棄した。
 既にかなりの量のミスリル鉱石を、別のアジトに隠し持っていたからだ。


 イネスは、サロットたちの仲間になった。
 そして、故郷の独立運動を支援してもらえることになったのだ。

 イネスは、宿屋で一人つぶやいた。

「うさんくさい連中だけど……。使えるモノは、使わなくちゃねえ……」
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