追放王子の異世界開拓!~魔法と魔道具で、辺境領地でシコシコ内政します

武蔵野純平

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第十一章 文明開化

第320話 女神ズの突撃

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 俺は連合王都キャランフィールドにある館の執務室で書類と格闘していた。
 グンマー連合王国の総長は、非常に多忙なのだ。

 俺、アンジェロ・フリージアは、十四才になった。
 今は六月で、誕生日を二月も過ぎているが、誕生日祝いはない。
 忙しさの中で、みんな俺の誕生日を忘れているのだ。

 普通は国王誕生日とか、総長誕生日とか、国を挙げて祝うだろう。
 だが、グンマー連合王国は、あまりにも色々なことが起きすぎて、俺の誕生日はスルーされているのだ。

 国王とは……、総長とは……。
 最近、自分の立場に疑問を感じる今日この頃だ。

 コツコツ!

 何か音がするな……。

 コツコツ!

 うるさいな……、こっちは忙しいのに……。

 コツコツ!
 コツコツ!
 コツコツ!
 コツコツ!

 えーい、しつこいな! 誰だよ!

「……あっ!」

 俺は音がする方を見た。
 窓の外には目つきの悪い孔雀がいて、窓ガラスをくちばしでつついている。
 女神ジュノー様だ!

 俺は急いで窓を開けて、孔雀姿の女神ジュノー様を執務室に招き入れた。
 孔雀姿の女神ジュノー様は、羽根をバタバタさせながら怒鳴りだした。

「ちょっと! 何があったのよ! 神の使いを殺したの!?」

 挨拶もなしか……。
 相変わらず雑だなぁ~。

 俺は相手のペースに合わせて挨拶を省略して結論から述べた。

「はい。地球の神の使いですよね? 殺しましたよ。砂漠の風になりました」

「あんたねえ……!」

「強敵でしたよ」

「強敵でしたじゃないわよ! あんたが余計なことをするから、私の所にクレームが来たじゃないの!」

 俺は地球の神の使いと砂漠で戦い、地球の神を撃破した。
 そのことを女神ジュノー様に『エヘン!』と、大手柄を誇るように告げたが、女神ジュノー様はご立腹だ。

 俺は、両手を前にだして『ドウドウ』と女神ジュノー様をなだめる。

「クレームが何かは知りませんが、地球の神と女神ジュノー様は対立しているのでしょう? 敵が減って良かったじゃないですか!」

「うっさいわね! ややこしいことになってるのよ! このやろう! このやろう!」

「痛い! 痛い! つつかないで!」

 女神ジュノー様が、俺をくちばしでつつき始めた。
 地味に痛い。

 俺は部屋の中を走って逃げ回るが、孔雀姿の女神ジュノー様は、飛び回って追いかけてくる。

「ストップ! ストップ!」

「うるさい! 死ね!」

 女神ジュノー様のつつき攻撃にウンザリしていると、窓から二つの影が執務室に飛び込んできた。

「落ち着けジュノー!」

 黄金のフクロウ!
 この凜々しい声!
 女神ミネルヴァ様だ!

 フクロウの姿の女神ミネルヴァ様は、興奮する孔雀姿の女神ジュノー様を押しやった。

「ジュノー……。その辺にしとけよ……。フア~」

 このやる気のない投げやりな口調と間の抜けたあくび……。
 ロバと見間違えそうなほど、やる気の無いユニコーンは、ニート神メルクリウスだな。
 相変わらずダラッとしている。

 それにしてもだ。
 女神様たちが三人そろったのは、初めてだ!
 きっとありがたみのある光景なのだろうけど、ギャアギャア大騒ぎする孔雀……、もとい女神ジュノー様を見ているとありがたみを感じない。

「ZZZZ……」

 ニート神メルクリウスが、イビキをかいている。
 だらしなく来客用ソファに仰向けになっているユニコーン姿のニート神メリクリウスを見ると、ますますありがたみを感じない。

 仕事の邪魔だから、帰ってくれないかな……。

 俺は深く、深く、ため息をついた。

 すると騒ぎを聞きつけたのか、ルーナ先生、黒丸師匠、じいが、執務室の扉を開け、室内に転がり込んできた。

「アンジェロ! 何事だ!」

「アンジェロ少年! 無事であるか!」

「アンジェロ様! お怪我はございませんか!」

 三人は険しい表情をしていたが、部屋の様子を見るとポカンとした。
 俺は三人に苦笑いをみせながら返事をする。

「大丈夫だよ。ちょっと……、その、お客様がいらっしゃって……。まあ、モメている最中だよ」

 ルーナ先生、黒丸師匠、じいの三人は、完全に言葉を失っている。

 無理もない。
 女神ジュノー様たちは、孔雀、フクロウ、ロバ……に似たユニコーンの姿だが、内在する莫大な魔力は隠しきれない。

 言葉を発しているから魔物ではないとわかるだろうし、俺の小さな頃の伝説、武勇伝の類いを思い出してくれれば、孔雀たちの正体が女神様たちだとわかるはずだ。

「「「はは~」」」

 ルーナ先生、黒丸師匠、じいが、同時に深く頭を下げた。
 孔雀たちが女神ジュノー様だと理解したらしい。

 女神ジュノー様は、ルーナ先生たち三人が、かしこまったことで気を良くしたようだ。
 上機嫌でルーナ先生たちに話しかけ始めた。

「あら、ハイエルフじゃない。久しぶりね。何でここにいるの?」

「ごぶさたをしております。私はアンジェロの魔法の先生です」

 これほど丁寧な対応をするルーナ先生を初めて見た!

「トカゲは元気? アンタ、もっと東にいたわよね?」

「ハハッ! 息災であります! それがしは、アンジェロ少年の剣の師匠であります!」

 どうやら女神ジュノー様は、ルーナ先生と黒丸師匠を知っているようだ。
 ルーナ先生と黒丸師匠は、長命種で長い年月を生きている。
 その間に、女神ジュノー様と交流があっても、不思議はないか。

「そこの玉ねぎ頭は、初めてね」

「ルイス・コーゼンと申します。アンジェロ様の守役を長らく勤め、現在は――」

「ああ、年寄りの長話はいらないから。でも、アンジェロの面倒を見てくれたことは感謝するわ。三人ともアンジェロの面倒をみてくれて、ありがとう」

 極めて常識的な言葉を口にする女神ジュノー様に、俺は驚かされた。
 ちゃんとした対応も出来るんだ!

「さてと、それでね、色々と話を聞かせてもらわないと困るのよ! 私たちが、顔を出さない間に、何があったのよ!」

 ああ、女神ジュノー様たちの相手をしなくちゃ。
 仕事は後回しだ。

 俺は今日の仕事をあきらめて、女神ジュノー様たちを会議室へ案内した。
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