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第十一章 文明開化
第325話 全力集中のカツ丼
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俺はキャランフィールドの食堂で、女神ズの三人をもてなしている。
女神ズとは、すなわち、この世界の主神である女神ジュノー様、俺に雷魔法を教えてくれた女神ミネルヴァ様、ニート神メルクリウスだ。
女神ズの三人は、地上に来る時は、孔雀、フクロウ、ロバ風のユニコーンに変化して目立たないようにしているのだが……。
「思いっきり目立っているよな……」
俺は思わずぼやく。
女神ズの三人は、人型に戻ってガツガツと食堂でカツ丼をかっこんでいるのだ。
女神ズの人型形態を見たのは初めてだが、三人とも黙って座っていたら超威厳があるし、超美形だ。
だが……。
「ああ、美味い! 美味い!」
「ハフッ! ハフッ!」
「ング! ング!」
なぜ、こうも残念な感じなのだろうか?
女神ズの三人は、神の威厳を投げ捨てて、カツ丼に全力集中だ。
女神ジュノー様と女神ミネルヴァ様は、五分と経たずにカツ丼を平らげ、食後のコーヒーを飲み始めた。
ニート神メルクリウス?
カツ丼をおかわりしたよ。
「ふう……。アンジェロやるじゃない! 日本で食べたカツ丼と同じ味だわ! 褒めてあげる!」
「それはどうも」
女神ジュノー様は、満足したようだ。
確か……、女神ジュノー様はお忍びで地球世界に滞在していたことがあると聞いたことがある。
その時に、カツ丼を食べたのだろう。
「他には何かあるの?」
「いろいろありますよ。唐揚げやエビフライとか、揚げ物系は充実してますね。夜になると、鉄板ホルモン焼きの屋台が出ますよ」
女神ジュノー様の目が『キラリン♪』と光った。
「ちょこちょこ食べに来てあげるわ! ねえ、ミネルヴァ?」
「そうだな! 足しげく通わせてもらおう!」
「いやいやいや! まず、神様の仕事をして下さいよ!」
いや、俺は良いのよ。
女神ズの三人が来ていただいても、こうして食堂で一緒にメシを食えば良いだけだから。
ただね。
キャランフィールドの住人たちは、『女神降臨!』とか言って大騒ぎなんだ。
あげくに、ルーナ先生、黒丸師匠、じいは、女神ズの相手を俺にぶん投げて、適当に理由をつけて逃亡しやがった!
ルーナ先生なんて、俺の婚約者だぞ。
普通、VIPのもてなしには、婚約者が同席するモノではないだろうか?
俺は、ルーナ先生や黒丸師匠の相変わらずの理不尽さに内心でため息をつきながらも、女神ズから情報を集めることにした。
「それで、神様の世界で何かあったんですか?」
俺は、赤獅子族のヴィスが復活転生するとだけ聞いている。
これだけじゃ何が起っているのかわからない。
いきなり俺たちの住んでいる人間世界が、神様の都合でゴリゴリ改変されたりしたら大変だ。
事情は把握しておきたい。
女神ジュノー様は、ミルクと砂糖をマシマシにした激甘コーヒーを美味しそうに飲みながら、ご機嫌で話し出した。
俺は女神ジュノー様の話を聞いて、顔を青くした。
俺たちが地球の神の使いを倒したことで、女神ジュノー様たちと地球の神々が対立することになるとは……。
結果的に、女神ジュノー様たちが勝ったから良かったモノの一歩間違えれば、俺たちがどうなっていたか……。
「そんなことになっていたんですか……。何か、すいません。俺たちのやったことで迷惑をかけちゃって」
「いいのよ! おかげで地球の神々の泣きっ面を拝めたから、スッキリしたわ。ねっ! ミネルヴァ?」
「そうだな。口にはしなかったが、ざまあみろと思ったよ。ハハハ!」
二人ともサバサバしている。
どうやら、俺たちにおとがめはないようでホッとした。
ところでメルクリウスは、三杯目のおかわりをしている。
今度はソースカツ丼だ。
図々しいとは思うが、ニート神でも神は神だ。
お供え物だと思っておこう。
俺は不思議に思ったことを、女神ジュノー様に質問した。
「それで、地球の神々は、神封じ二千年ですよね?」
「そうよ。あいつら二千年は、地の底よ」
「じゃあ、二千年の間、地球に神様は不在ですか?」
正直、日本人の頃の俺は、あまり神様は信じていなかった。
他の日本人と同じで、初詣は神社に行くし、葬式ではお坊さんと一緒に仏に祈るし、クリスマスになればキリスト教もどき。
だから、神がいなくても日本人はテキトーに過ごすので困らないと思う。
でも、地球の信心深い人たちはどうなるのだろうか?
神様がいなくては困るのでは?
俺は結構真剣に心配したのだが、女神ジュノー様はどこ吹く風で答えた。
「さあ、エル・アカンターレだとか、鍋の道教だとか、地球には神みたいなのがいるから気にすることないわよ」
「鍋を買わせる神様はいないと思いますよ……」
別物だと思うが?
まあ、いいや。
信じる者は、食われるだ。
「アンジェロ!」
食堂の入り口から誰かが俺を呼ぶ。
食堂の入り口には、やせこけてボロを着た少年が立っていた。
少年は慣れた足取りで食堂を歩き、俺の隣に座った。
「カツ丼!」
少年は迷うことなく、給仕にカツ丼を注文した。
こいつは……!
「ヴィスか!?」
「おう! 復活だぜ!」
「あああ! そうか! おめでとう! 今度は人族だ!」
「へへ……」
俺が喜ぶと、ヴィスは照れ笑いを浮かべた。
無事に保護できたんだな。
後でブンゴ隊長にお礼状を送ろう。
人族の少年に生まれ変わったヴィスは、カツ丼が出てくると大事そうに両手でドンブリを持ちジッとカツ丼を見つめた。
「また、食えるとは思わなかったぜ……」
そうか……。
ヴィスは砂漠で死んだ。
死の間際で、ヴィスは何を考えたのだろう。
もう、食事も何も二度と出来ないことを突きつけられて、どんな気持ちだったのだろうか?
俺はヴィスに優しく声をかけた。
「腹いっぱい食えよ」
「いただきます」
ヴィスがカツを丁寧に箸で切り、半熟の卵とからめ、一口大のご飯と一緒にして、口に運ぶ。
ゆっくりと味わいながら口を動かす。
ヴィスの表情を見ていると、体中に味が染み込んでいるのがわかる。
女神ジュノー様、女神ミネルヴァ様、ニート神メルクリウスも、ヴィスが食事をする様子を微笑みながら見守っている。
やがて一口目をのみ込んだヴィスの口から言葉が漏れ出た。
「ああ……! 旨いな……!」
女神ズとは、すなわち、この世界の主神である女神ジュノー様、俺に雷魔法を教えてくれた女神ミネルヴァ様、ニート神メルクリウスだ。
女神ズの三人は、地上に来る時は、孔雀、フクロウ、ロバ風のユニコーンに変化して目立たないようにしているのだが……。
「思いっきり目立っているよな……」
俺は思わずぼやく。
女神ズの三人は、人型に戻ってガツガツと食堂でカツ丼をかっこんでいるのだ。
女神ズの人型形態を見たのは初めてだが、三人とも黙って座っていたら超威厳があるし、超美形だ。
だが……。
「ああ、美味い! 美味い!」
「ハフッ! ハフッ!」
「ング! ング!」
なぜ、こうも残念な感じなのだろうか?
女神ズの三人は、神の威厳を投げ捨てて、カツ丼に全力集中だ。
女神ジュノー様と女神ミネルヴァ様は、五分と経たずにカツ丼を平らげ、食後のコーヒーを飲み始めた。
ニート神メルクリウス?
カツ丼をおかわりしたよ。
「ふう……。アンジェロやるじゃない! 日本で食べたカツ丼と同じ味だわ! 褒めてあげる!」
「それはどうも」
女神ジュノー様は、満足したようだ。
確か……、女神ジュノー様はお忍びで地球世界に滞在していたことがあると聞いたことがある。
その時に、カツ丼を食べたのだろう。
「他には何かあるの?」
「いろいろありますよ。唐揚げやエビフライとか、揚げ物系は充実してますね。夜になると、鉄板ホルモン焼きの屋台が出ますよ」
女神ジュノー様の目が『キラリン♪』と光った。
「ちょこちょこ食べに来てあげるわ! ねえ、ミネルヴァ?」
「そうだな! 足しげく通わせてもらおう!」
「いやいやいや! まず、神様の仕事をして下さいよ!」
いや、俺は良いのよ。
女神ズの三人が来ていただいても、こうして食堂で一緒にメシを食えば良いだけだから。
ただね。
キャランフィールドの住人たちは、『女神降臨!』とか言って大騒ぎなんだ。
あげくに、ルーナ先生、黒丸師匠、じいは、女神ズの相手を俺にぶん投げて、適当に理由をつけて逃亡しやがった!
ルーナ先生なんて、俺の婚約者だぞ。
普通、VIPのもてなしには、婚約者が同席するモノではないだろうか?
俺は、ルーナ先生や黒丸師匠の相変わらずの理不尽さに内心でため息をつきながらも、女神ズから情報を集めることにした。
「それで、神様の世界で何かあったんですか?」
俺は、赤獅子族のヴィスが復活転生するとだけ聞いている。
これだけじゃ何が起っているのかわからない。
いきなり俺たちの住んでいる人間世界が、神様の都合でゴリゴリ改変されたりしたら大変だ。
事情は把握しておきたい。
女神ジュノー様は、ミルクと砂糖をマシマシにした激甘コーヒーを美味しそうに飲みながら、ご機嫌で話し出した。
俺は女神ジュノー様の話を聞いて、顔を青くした。
俺たちが地球の神の使いを倒したことで、女神ジュノー様たちと地球の神々が対立することになるとは……。
結果的に、女神ジュノー様たちが勝ったから良かったモノの一歩間違えれば、俺たちがどうなっていたか……。
「そんなことになっていたんですか……。何か、すいません。俺たちのやったことで迷惑をかけちゃって」
「いいのよ! おかげで地球の神々の泣きっ面を拝めたから、スッキリしたわ。ねっ! ミネルヴァ?」
「そうだな。口にはしなかったが、ざまあみろと思ったよ。ハハハ!」
二人ともサバサバしている。
どうやら、俺たちにおとがめはないようでホッとした。
ところでメルクリウスは、三杯目のおかわりをしている。
今度はソースカツ丼だ。
図々しいとは思うが、ニート神でも神は神だ。
お供え物だと思っておこう。
俺は不思議に思ったことを、女神ジュノー様に質問した。
「それで、地球の神々は、神封じ二千年ですよね?」
「そうよ。あいつら二千年は、地の底よ」
「じゃあ、二千年の間、地球に神様は不在ですか?」
正直、日本人の頃の俺は、あまり神様は信じていなかった。
他の日本人と同じで、初詣は神社に行くし、葬式ではお坊さんと一緒に仏に祈るし、クリスマスになればキリスト教もどき。
だから、神がいなくても日本人はテキトーに過ごすので困らないと思う。
でも、地球の信心深い人たちはどうなるのだろうか?
神様がいなくては困るのでは?
俺は結構真剣に心配したのだが、女神ジュノー様はどこ吹く風で答えた。
「さあ、エル・アカンターレだとか、鍋の道教だとか、地球には神みたいなのがいるから気にすることないわよ」
「鍋を買わせる神様はいないと思いますよ……」
別物だと思うが?
まあ、いいや。
信じる者は、食われるだ。
「アンジェロ!」
食堂の入り口から誰かが俺を呼ぶ。
食堂の入り口には、やせこけてボロを着た少年が立っていた。
少年は慣れた足取りで食堂を歩き、俺の隣に座った。
「カツ丼!」
少年は迷うことなく、給仕にカツ丼を注文した。
こいつは……!
「ヴィスか!?」
「おう! 復活だぜ!」
「あああ! そうか! おめでとう! 今度は人族だ!」
「へへ……」
俺が喜ぶと、ヴィスは照れ笑いを浮かべた。
無事に保護できたんだな。
後でブンゴ隊長にお礼状を送ろう。
人族の少年に生まれ変わったヴィスは、カツ丼が出てくると大事そうに両手でドンブリを持ちジッとカツ丼を見つめた。
「また、食えるとは思わなかったぜ……」
そうか……。
ヴィスは砂漠で死んだ。
死の間際で、ヴィスは何を考えたのだろう。
もう、食事も何も二度と出来ないことを突きつけられて、どんな気持ちだったのだろうか?
俺はヴィスに優しく声をかけた。
「腹いっぱい食えよ」
「いただきます」
ヴィスがカツを丁寧に箸で切り、半熟の卵とからめ、一口大のご飯と一緒にして、口に運ぶ。
ゆっくりと味わいながら口を動かす。
ヴィスの表情を見ていると、体中に味が染み込んでいるのがわかる。
女神ジュノー様、女神ミネルヴァ様、ニート神メルクリウスも、ヴィスが食事をする様子を微笑みながら見守っている。
やがて一口目をのみ込んだヴィスの口から言葉が漏れ出た。
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