いきなり異世界って理不尽だ!

みーか

文字の大きさ
131 / 185

エルフとドワーフ

しおりを挟む
 マンションも公民館も取り囲んで矢を飛ばしたり石を投げたり。
 念の為、雪も多いから全てのガラスは強化ガラスで、割れないようにしてあるし壁も傷はつくかもしれないけど、それで壊れるような弱い物じゃないから安心だ。
「ここは雪も多くて、食料も少ない。だから奪える所から奪うのは当たり前だという考えのやつらが多いんだ。特にエルフやドワーフは魔力が強いから自分達は特別だと思ってる。そうじゃないエルフ達も沢山いるんだが、狭い空間の中で長く暮らして行くから考え方も狭くなるんだろうな……。すまない、陽菜さん!」
「なんでジガが謝るの。関係ないよ。あいつらみたいなのは前にも出会ったから大丈夫!少し様子を見よう。ジガは、マンションの人達に状況を伝えてきて。」
「わかった。」
 ナナガにルイ君に大丈夫と伝えに行ってもらい、ワーガと2人で外を見ていると、もぅ矢が無くなり、投げる石も無くなったようで、エルフもドワーフも肩で息をして疲れているようだ。
 勝手に攻撃して、勝手に疲れている。……しらんがな!!
 心の中で突っ込んで、もう少し様子を見る。

 そのうち何か大声で叫び出した。
全く聞こえないから、外の監視カメラ映像に切り替えて音声を聞く。
『俺達が誰かわかっているのか?この辺りを守ってやっているエルフだぞ!!』
『そーだ!この辺りで暮らすのなら俺達に許可がいるだろう!!俺達はここを管理しているドワーフ様だ!!』
『ここが使いたいなら、食べ物を全部渡せ!!』
 アルが増えた……。せっかくアルは頑張って畑仕事したりするようになったのに、また同じようなのが出てきてしまった。
 温室も夜の間は扉が開かないようになっているから食べ物を取る事もできない。

『私達が先に家を建てたんです。あなた達は山に帰ってください。寒いから外には行きません。』

 外に付けたスピーカーで、それだけ言って無視して寝る事にした。
 ギャーギャー騒ぐ声はしたけど防音効果もある建物だから、そんなに気にならない。一階の電気は公民館もマンションも消して真っ暗にしておいた。

 ゆきちゃんが2回ほど起きたけど、今日もゆったり寝れた。

 朝起きて、外を見ると雪だるまになりながらもまだ外にいる。
 知らん顔しながら、マンションまで移動して食堂で美味しい朝ご飯を食べる。
 多分、パンの焼ける良い香りなどが外に換気扇で流れてる事だろう。
 今日は、通路を通って温室に行き仕事をしてもらう。
 温室もガラス張りだから外から丸見えだ。中は暑いくらいだから働く人達は半袖を着て仕事している。
 それを見てエルフ、ドワーフ達がビックリしているようだ。
 
 公民館に戻ってルイ君にゆきちゃんを任せて外の様子を監視カメラで見る。
『さささささむむむいいいいーーー。』
『もももももぅ、だだだだめだー。』
 ガタガタ震えている。そんなに寒いなら帰ればいいのに。
 それにそんな格好してたら凍死するんじゃないの?というような格好だ。
 一度帰るのかと思ってたら、その場で焚き火をして温まり始めた。
 少し温まって元気になったのか、またギャーギャー言い始めた。
『どうしてもと言うなら、許可をやらん事もないぞ!』
『俺達の下僕として働くのなら許してやろう。俺達は優しいからな!』
 ダメだこりゃ。食べ物が少ないだけで戦争になったりするんだから、過酷な環境だとこんな風になってしまうのかなぁ。でも、このままだと一緒には暮らせないし、ここの人達も守らなきゃダメだ。

 うーん、何か良い方法ないかなぁ?ワーガと目が合った。
 そうだ、ワーガやリリガに出会った時は目の前にご馳走を並べて美味しく食べたんだった!そしたらヨダレを垂らして頼むから食べさせてほしいと頼んできて、それから仲良くなったんだ。
 食料不足や寒さで自分の事で精一杯の間は仲良くは無理かもしれない。この環境でも人の事を思いやれる人達はいるから、元々の性格もあるのかもしれないけど……。でも、試してみよう!
 昼になりエルフ、ドワーフ達は空腹でグッタリしている。もしかしたら食べ物が無くなったからここに来たのかもしれない。
 少し意地悪をしてみよう。カレー粉を換気扇の近くに置いて匂いが外に広がるようにした。
 
『もぅ……ダメだ。刺激的な匂いが………。』
『リーダー、頭を下げて食べ物分けてもらいましょうよー!』
『親分、おいらお腹が空きすぎて目が回ってきました。』
『どう考えても、俺達よりこっちの奴の方が強いですよ~。家だってこんなに立派なんだし。』
『素直に食べ物が無いから恵んでくださいってお願いしましょうよ~!!』
『俺、子ども達が腹空かして待ってるんです!!何か食いもん持って帰ってやりたい!!』
『もぅ限界ですよ~!!』
 トドメだ!!バニラエッセンスも換気扇に近づけてる。
 半笑いになったエルフやドワーフが換気扇に近づいてきてる。

 まだリーダー達は、やせ我慢を続けていて、いらん事を言うな!腹は減っとらん!!とかぶつぶつ言っていた。

 そっと換気扇の下辺りに、箱を出してその中にラーメンを入れる。ギリギリラーメンの器が通るくらいの隙間しか開けず、トレーに乗せて押し出す。
 換気扇の下にいた下っ端の人達が急に箱が出てきた事に気付いて、箱の扉をパカッと開いた。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理! ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※ ファンタジー小説大賞結果発表!!! \9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/ (嬉しかったので自慢します) 書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン) 変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします! (誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願 ※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。      * * * やってきました、異世界。 学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。 いえ、今でも懐かしく読んでます。 好きですよ?異世界転移&転生モノ。 だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね? 『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。 実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。 でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。 モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ? 帰る方法を探して四苦八苦? はてさて帰る事ができるかな… アラフォー女のドタバタ劇…?かな…? *********************** 基本、ノリと勢いで書いてます。 どこかで見たような展開かも知れません。 暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...