いきなり異世界って理不尽だ!

みーか

文字の大きさ
153 / 185

畑作り

しおりを挟む
 ナダも可哀想な所はある。でも、自分が辛かったから他の人に辛く当たっていいはずがない。その辺りが子どもなんだろうなぁ~。

 監視カメラ映像をオアシスに切り替えて見ていると、子どものように泣きじゃくっている。
 そのうち、お腹が空いたのか食べ物を探しに行くが、調理のしていない芋しかない。食べ方がわからず、洗ってそのまま齧り付き吐き出していた。
 水だけは沢山あるから、水を飲んで空腹を紛らわせるようだ。
 果物もあるけど、皮を剥いて食べられる状態になった物しか見た事がないのか、パイナップルのような物を皮ごと食べて投げ捨てていた。
 本当に1人では何もできないようだ。

 次の日も、オアシス村にやって来て父親の悪口を言ったり、エルフやドワーフを馬鹿にしたりを繰り返す。
「ナダ様、そんな事を言っていても誰もナダ様の所には戻りません。ナダ様は皆に謝らなくてはいけません。ナダ様、よく考えてください。今まであなたの食事を作ってくれていたのは誰ですか?ナダ様が不味いから要らないと捨ててしまった食事さえ食べられず、綺麗な水も飲ませてもらえず働いてくれたのは誰ですか?空腹が辛い事だとわかったでしょう?」
「うるさい!!この裏切り者!!私に偉そうな口をきくな!!」
「ナダ様…………。」
「私を馬鹿にして楽しいか?」
「馬鹿になどしていません!ナダ様を心配しているのです!」
「ふんっ!心配している??なら、なぜ私の側にいない?」
「ナダ様に気付いてほしいのです!皆がどんな思いをしてきたか。ナダ様、間違いを認めてください。ナダ様の優しさを私は知っています。突然来た私を本当の兄のように接してくださった。私が困っていたら助けに来てくださいました。私は、優しかったナダ様に戻ってほしいのです!!」
「うるさい!!私に歯向かう者は誰であろうと許さない!!お前を兄と思った事など一度もない!二度と私の前に現れるな、裏切り者!!」
「…………ナダ様……。」

 うーん、困ったなぁ。こじらせ過ぎて、自分でもどうしようもないんだろう。このままだと意地でも謝る事はしないだろうなぁ。

「わかった。私がナダの所に畑を作ってあげる。調理の仕方も教えるよ。」
「…………お前がどーしてもと言うなら、許可してやらん事もない。」
「うん。じゃあ行こう。」
「ご主人様!!俺も行きます!」
「ううん、ワーガは残って。私1人で行ってくる。ゆきちゃんをよろしくね!ルイ君にも伝えておいて!」
「でも……」
「大丈夫!ワーガ、私って結構強いから!ねっ!!」
「……はい。」
「じゃ、行ってくるねー!!」

 軽トラを出して助手席にナダを乗せて出発する。ナダは速さにビックリしてしがみついていた。
 すぐに到着。

 鍬を2本出して、ナダに一本渡す。

 何故私がこんな事を!とかお前1人でやれ!とか言っていたが、ナダが手伝わないなら私は何もしないと言うと渋々鍬を持ってやってきた。

 使い方を教えて、畝を作る。肥料も出して混ぜ込んでいく。
 苗を出して、一つづつ丁寧に植えていき、ジョウロで水をあげる。
 それを何度も繰り返す。水道を出してホースで水やりの方が早いけど、わざとオアシスからいちいち水を汲んで、ジョウロで水やりをさせる。
 鍬に慣れてないから腰も痛いし、何もして無かったからすぐに手のひらに豆ができる。
 痛いとか、なぜ私がとか文句をずっと言いながらも3畝作る。

 ちょーど昼になったので、料理もナダにさせる。いきなりナイフのような物で芋の皮むきは無理だろうからピーラーを出して使い方を教える。
 包丁とまな板も出して、芋を適当な大きさに切って、ここにある竈門のような物に火をつけ鍋に水を入れて沸騰させる。
 塩を出してひとつまみ入れて少し煮て、水気を切って粉吹き芋のような物を作った。

 ナダは、全ての事が初めてで指を切ったり、火傷したりとすぐに料理が出来ない事にイライラしていた。
 出来上がった芋を食べると目を輝かせていた。
「こんなに美味しい物を私は初めて食べた!」
「それ、いつもナダが食べていた芋だよ?お腹が空いたのと、自分で苦労して作ったから美味しいんだよ。」
「………そ、そうか。働いて体を動かした後だから美味しく感じるのか。」
「そうそう。どんな高級な物より自分で苦労して手に入れた物の方が美味しかったりするんだよ。」
「………そうか。」
「あっ、そうだ。煮炊きするのに使う薪ってどこにあるの?さっき、ここにあったのは使ってしまったんだけど。」
「知らない。」
「そう、じゃあ食べ終わったら探しに行こう。」
「……わかった。」

 あちこち探すが見当たらず、ここにはもぅ薪は無い事がわかった。歩いて畑があった所まで行って薪を探す事になった。
 背中に背負える籠と、両手に持てる籠を出してナダに持たせる。
 私が持ってないと怒っていたが、私は畑作りが終わったら帰るから使わないと言うと文句を言いながらも持って歩く。

 途中、疲れたとか水が飲みたいとかぶつぶつと文句を言い続けて畑に到着。薪が積んであるのを見つけ、籠に入れて、畑の芋を掘って籠に入れる。全ての籠にギッシリと芋と薪が入っている。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...