偽りの家族

くるみ

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直美の過去

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1989年 冬
「誠さん、次いつ会える?」
「来週位?来週会えるまで寂しいけど、楽しみにしてるね。それじゃ、おやすみなさい」
直美は10分程、誠と電話をし、受話器を置いた。直美は高校卒業後、事務員として仕事をしていた。22歳になり、取引先の川田誠と知り合い、交際期間半年が経つ。
「うっ」
直美は口元を押さえ、吐き気を抑えた。
「何か、昼から気持ち悪いんだよな。風邪かなぁ。私も早く寝よ」
直美はベッドに潜り込んだ。頭元にあるカレンダーを見た。
「あと1週間頑張れば、誠さんに会える。早く会いたいなぁ」
直美の頭の中は、ふわふわとしていた。そして、そのまま寝に着いた。
翌朝、怠さは残っていたが、吐き気はなかった。化粧をし、朝食を済ませた。直美の職場は、大きくなかった為、忙しさはあまりなかった。朝は手書きでデータを書き込んだ後、電話対応などで、一日が終わった。夕方、次第に気持ち悪さが出てきた。
「気持ち悪い。何だろう?」
直美は、吐き気を我慢しながら、自宅へ直帰した。水分を取り、ベッドに倒れ込んだ。目元を腕で隠し、横になった。
「何だろう?薬飲むほどではないけど、気持ち悪い」
しばらくすると、気持ち悪さが治まり、直美は軽く食事を取った。しかし、翌日も翌々日もこの状態が続いた。
「もしかして」
直美は、会社を休み、産婦人科を受診した。院内は、お腹が大きな女性ばかりで、直美は若くして、この空間にいるのが、とても恥ずかしかった。名前を呼ばれ、診察室に入った。直美は、名前を呼ばれるのも恥ずかしかった。
「ご懐妊おめでとうございます」
女医から、エコー写真を渡された。
「これが赤ちゃんの写真です。大江さんは、生理周期が安定してましたので、計算すると予定日は8月の頭あたりですね。心配な事はあると思いますが、何か気になる事はありますか」
直美は呆然としていた。まさか、妊娠しているとは思わなかった。仕事や金銭面、誠の事。誠は赤ちゃんを受け入れてくれるのだろうか。受け入れたとしても、直美自身育てられるか不安だった。
「大江さん?」
「あっ、大丈夫です。ありがとうございます」
直美は挨拶をし、すぐに診察室を出た。
病院を出ると、キリリと冷たい風が吹いていた。直美は、すぐさま公衆電話を探した。すぐ近くに、公衆電話を見つけ、駆け込んだ。受話器を取り、テレフォンカードを入れ、ある番号にかけた。
「はい、磯島産業です」
「もしもし、私、川田誠さんとお取引きをしてます。佐々木と申します。あの、川田さんはいらっしゃいますか?」
「川田ですね。少々お待ちください」
保留音が鳴ると、すぐに川田が電話に出た。
「もしもし、佐々木さんですか?どうされました?」
川田は取引先と会話をしているかのように、直美と話をした。
「急にごめんなさい。今夜大事な話がしたいの」
「えーと、分かりました。でわ、夕方書類をお持ちに伺いますね。はい、失礼します」
川田は、一方的に電話を切った。しかし、誠の声を聞けた直美は少し安堵した。
「誠さん、家に来てくれる」
直美の心は不安と安心が入り混じっていた。
夕刻、自宅で待機していると、インターフォンが鳴った。
「はーい」
直美は、急いで玄関に向かい、ドアを開けた。そこには、スーツ姿の誠が立っていた。身長は高く、痩せ型。前髪を左右に分けている。
「誠さん。入って」
直美は、誠の姿を見て綻んだ。
「直美、会社に電話するのは止めてくれ。電話は俺の方からするから」
「ごめんなさい。でも、今日はどうしても、話したい事があって」
誠は直美を引き寄せ、キスをした。
「ん、ん。誠さん、待って!」
直美は、両手で誠の顔を離した。
「先に話があるの。ま、誠さんの赤ちゃんができたの!」
「え」
誠の顔から血の気が引いていた。そして、直美から少し離れた。
「誠さん?」
「堕ろせないかな?手術代は、全部俺が出すからさ」
「え?あ、誠さん、子供嫌いだった?ごめん。私、誠さんの子供が産めるって。誠さんと結婚できるかもって思ってて。」
直美は、誠の答えにショックを受け、泣き出した。
「子供は嫌いだよ。はぁ、妊娠なんかすんじゃねぇよ。俺達これで終わりにしよう。子供は堕しといて。金は出すから」
「いや!子供は堕すからから、別れないで!」
直美は、誠の腕にしがみ付き訴えた。
「ちっ!離せよ!」
誠は直美を振り解き、床に叩きつけた。
「イタッ!」
直美は、背部を強打し、起き上がれなかった。
「堕ろしとけよ!」
誠はそう吐き捨て、部屋を出た。
直美は横になったまま、涙を零した。
好きだった人に捨てられた。今まで、怒った事がない人が豹変し、暴力、暴言を吐いた。妊娠したら、喜んでくれると思っていた。期待していた分、期待を裏切った反動が大きくて、強すぎた。もう、終わりだな、妊娠した自分が悪いんだ。最後のキスは強引だった。唇が強く押し当てられて、感触なんて感じなかった。あんな事されたけど、もう一度会いたい。
「赤ちゃん、どうしよう」
直美は下腹部に手を当てた。子供を産むお金も、育てるお金も大して持っていない。一人で子供を育てる自信も、環境もない。
「パパがいない。そんなの嫌だよね。ごめんね。何もしてあげられなくて。ごめんね。パパもいないし、こんなお母さんから生まれたくないよね。ごめんね。産んであげられなくて、幸せにできなくてごめんね」
直美は一晩中、お腹の中の赤ちゃんに、泣きながら謝っていた。次の日、失恋のショックとつわりに耐えながら出勤をした。瞼が重く、息を吸う事を忘れてしまう位に、長いため息を付いていた。
「おはよう。佐伯さん、今月の忘年会の予約、もう取ってる?」
黒縁メガネをかけた、筋肉質で堅いの良い体格をした男が事務所に顔を出した。
「社長、おはようございます。もう予約は取ってましたよ。どうかされましたか?」
佐伯は立ち上がり、社長の元へ歩み寄った。佐伯は少し小太りな女性だが、事務長を務めて、仕事の熟し方はとても早い。
「急なんだけど、磯島産業の村上さんと川田君を忘年会に誘おうと思うんだよ」
川田の名前を聞き、直美の心臓が飛び上がった。
「いいですね!営業の二人が来たら、会も楽しくなりそうですね」
「村上さんの奥さんと、川田君の奥さんも呼んじゃうか!」
直美は社長の言葉に唖然とした。
「奥様方が大変ですよ」
「社長!」
急に立ち上がり、声を荒げた直美に、その場にいた全員が驚いていた。
「川田さんは、ご家族がおられるのですか?」
「ああ、奥さんと子供が去年生まれたな」
頭に100キロのバーベルが落ちたような強い衝撃が、直美を直撃した。心臓が異様に早く動いた。川田との出会いや思い出が走馬灯のように流れた。
「大江さん?」
「あ…何でもないです」
力が抜けたように椅子に座った。
知らなかった、自分が不倫相手になっていた事を。今まで普通の恋人だと思っていた。考えればそうだ。今まで川田の自宅に上がった事もないし、川田の家に行きたいと言うと、うまく濁された。デートの日は、いつも夜。それに…考えれば考える程、思い当たる点が出てきた。どうして、疑問に思わなかったのか、どうして、疑わずに受け入れてしまったのか、直美は自責の念に苛まれるれた。直美は、深いため息を着いた。子供は嫌いだって言ってたのに、子供はいるじゃない。お腹にいる子も、あなたの子なのに、この子は愛してくれないの。目頭が熱く、握りしめた手に痛みを感じた。悔しい、あんな奴に揺さぶられ、人生も狂わされた。悔しい、悔しい。
「すみません、具合が悪くて早退します」
直美は立ち上がり、周りの視線を見向きもせず、会社を出た。つわり症状の吐き気が、怒りで忘れてしまっていた。自宅に戻り、あるものを手にした。そして、川田が勤めている会社に向かった。
「あの、社長さんはいらっしゃいますか?」
「何のご用意でしょうか?」
受付の50代の女性が、疑いの目を向けてきた。
「私、株式会社トキワの者です。うちの社長から、書類を届けてほしいとの事で伺いました」
「トキワさんですね、私が預かっても?」
「いいえ。社長に直接お渡ししたくて」
受付の女性は、むすっとした顔をして社長を呼びに行った。しばらくすると、磯島社長が出てきた。
「君は、トキワさんの受付さんですね。社長さんからの書類とは?」
「突然、お伺いしてすみません。実は、こちらの川田さんの事で伺いました。」
「川田君の事で?」
「実は、私、川田さんとお付き合いしています」
「川田君と⁈川田君は…」
磯島社長は驚いていた。
「社長から既婚者だと聞きました。私は、川田さんから、半年前に告白をされて、お付き合いをしました。これが証拠です」
直美は、カバンから、二人のツーショット写真を取り出し、磯島社長に渡した。直美の頬にキスをする写真、デート先での写真、数十枚の写真を見て、磯島社長は、驚きで声を出せなかった。 
「それとこれを」
直美は黒い写真を渡した。
「これは…」
「はい。私、川田さんの子を妊娠しているんです。しかし、川田さんは、金は出すから、堕ろしてくれといいました。子供は嫌いだからと。奥様の子は、愛しているのに、この子は愛してくれませんでした」
直美は、下腹部を摩った。
「私はどうしたら良いでしょう。川田さんは、このままで良いのでしょうか?」
「川田くんは⁈どこにいるんだ‼︎」
磯島社長は、その場にいる社員に怒鳴りつけた。
「川田は、早退しました。奥様から連絡がありまして」
「あの、バカタレ!何をノコノコ家に帰ってんだ!」
直美は、ニヤリと笑った。
「社長さんにご報告ができて良かったです。では、私も帰ります」
直美は一礼し、会社を出た。大きく息を吸い込んだ。
「はぁー!スッキリした!これで、川田に復讐できた。会社は、クビにされて、家庭は離婚かな。いい気味!奥さん、あの写真みて驚いただろうなぁ。川田を早退させてまで、問い詰めてるのかな?あぁ、いい気味…地獄まで落ちればいい」
直美は、磯島産業に行く前に、川田の自宅に寄った。直美と川田のツーショット写真数十枚とエコー写真を、郵便物が直に落ちる受け入れ口に押し込んだのだ。実は、直美は、川田と付き合う以前から川田の家の所在地は知っていたのだ。
数日後、磯島社長から、川田をクビにした事を聞き、直美は気持ちが晴れやかになる反面、川田が報復してくるのではと警戒した。いつまでも、川田に神経を注いでいる余裕は、妊娠中にはなかった。次第にお腹が大きくなり、切迫早産を経て、1990年8月23日 3000gを超える元気な女の子が、この世に産声を上げた。
「やっと、会えた。私の赤ちゃん」
直美は、葵の小さな手を握った。意識が吹っ飛びそうな位の陣痛に耐え、ようやく子供に会えた。
「おめでとうございます!お一人でしたが、よく頑張りましたね!」
「ありがとうございます」
直美の目から涙がこぼれた。
この日から、初めての育児が始まった。泣いたら、おむつを替えて、授乳をした。それでも泣き続ける時は、ずっと抱っこをしていた。ご飯を食べる余裕がなく、卵かけご飯やおにぎりで済ませた。葵が寝ている時は、一緒に爆睡した。1週間誰とも話さない日もあった。
「頭おかしくなりそう」
葵の泣き声にイライラしてきた。直美は、一人で育てる事に覚悟はしていた。しかし、人を育てる事は、想像以上に辛く、しんどいものだった。
「あっ!おっう!」
葵が、手足をばたつかせていた。育児は辛いのに、子供の成長が見えると、一瞬疲れが消えていった。葵が生まれて五か月が経った頃。直美が葵を連れ、買い物から帰った時、アパートの隣の住民が出てきた。
「大江さん!良かった!買い物に出てたのね!」
隣の住民は、直美より2、3個歳が上の女性だ。
「1時間前、男の人が、子供に会わせろ!って、大江さんの部屋のドアを蹴っていたのよ!15分位居たかも。私怖くて、部屋から出られなくて。警察に相談した方がいいわ!」
直美の鼓動が速く鳴った。複数の足跡がドアに付いていた。
「ご迷惑かけてすみません。ありがとうございます」
直美は、一礼して部屋に入った。今回で3回目。直美は、葵の荷物をまとめた。翌日、朝一の新幹線に乗り、実家に向かった。初めて、葵を実家に連れてきた。インターフォンを押す手が震えた。
「はーい!あっ、直美」
久しぶりに会う姉の真由美のお腹が大きく膨らんでいた。真由美は、元々痩せ型だったので、お腹の膨らみが目立って見えた。真由美の目線も、抱っこされている葵に向けられた。
「え⁈赤ちゃん?直美赤ちゃん産んでたの⁈」
「お姉ちゃんこそ、妊娠してたの⁈」
「うん、まぁ、デキ婚でね。赤ちゃん寒いから、中に入って!」
「可愛いー!ちょっと抱っこさせて!」
直美は、葵を真由美に渡した。保育士をしている真由美は、抱っこの仕方や声のかけ方はお手のものだった。
「どうして妊娠してた事も、出産した事も言わなかったの⁈」
「お母さん、昔からこうゆうの厳しいじゃん。先に、子供は作るなって」
「確かに。お母さんは、考え方が古過ぎるのよ。実はね、お母さんと大喧嘩したの。つわりで気持ち悪いのに、気持ちが軽すぎるとか、経済的に育てられないとか、頭ごなしに言われて。頭に来たから、絶縁する!子供には一度たりとも会わせないって荷物まとめたら、孫には会わせてって慌てて謝ってきたよ。大体、妊娠する前に、結婚の挨拶もしてるんだから、籍入れる前の妊娠はダメって何なの?ねぇー、何ちゃんだっけ?」
「葵だよ」
「葵ちゃん」
葵は、真由美と視線を合わせると、にこっと笑っている。意味も分からず、ただ無邪気に笑う、この笑顔が大好きだ。
「お母さんもこの事、知らないんじゃない⁈」
直美は、静かに頷いた。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん」
直美は、我慢していた涙を流し、今までの事全てを話した。真由美は、弁護士を通そう、警察に相談しようと意見を述べたが、直美は首を横にしか振らなかった。弁護士に相談しても、相談費用のお金もない、陰湿な所もあった川田の事だから、直美がやってきた事で、逆に訴えられる可能性もある。警察に関しては、相談済みだった。直美の居住区域はパトロール強化されていたが、3度も川田に襲撃されるという有様だ。
「直美はこれからどうするの?」
「分からない」
「分からないって…」
「お姉ちゃん、話聞いてくれてありがとう。何だかスッキリしたよ。少し一人になりたいから、散歩してきてもいいかな?」
「少しならいいけど」
直美は、家を出た。早歩きで家を離れる。
「ごめんね、葵。ごめんね!」
直美は、泣きながら、葵に向けて謝った。
行きの電車で、ずっと葵を抱きしめた。頬擦りをして、何度もキスをした。匂いも温もりも、全て愛おしい。両手で抱く感触も、ゴクゴクと音を立てて飲む授乳も、今日でおしまい。
「葵、元気でね」
直美は、行き先も決めず、とにかく家から離れた。



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