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再会
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あれから2年程がたった。直美は、葵と住んでいたアパートを引き払い、都市の方へ引越し、働いていた。
葵は、今2歳5ヶ月になっていた。誕生日、クリスマス、桃の節句、子供行事には、プレゼントを送っていた。真由美からの返事もあり、葵が元気な事に安堵していた。
今日は、真由美と約束をつけていた。手紙で事前に葵を引き取りたいと伝えていた。
待ち合わせ場所の喫茶店に入る。店内を見回すと、角のテーブル席に真由美がいた。
「お姉ちゃん」
直美の声が震えていた。
「久しぶり?元気だった?」
穏やかな性格の真由美だったが、声が低く、棘があった。
「お姉ちゃん!ごめんなさい!」
直美は勢いよく、頭を下げた。
「何も言わず、葵を置いていってごめんなさい!」
「そうよ、本当勝手なんだから。あの後、あんたは、いつまでも帰ってこないし、葵は泣き出すし。カバンに入ってた、私達宛の手紙には、葵を預かって下さいって…」
真由美は、向かいの椅子を指差し、座れと指示した。怒った時の口調は、いつも通りだったが、無言の指示をされた事は、今までなかった。こんなに、ぶち切れているのは初めてかもしれない?
「本当に大変だったんだからね!私も百合を産むまで、葵のお世話して。葵も、急にお母さんがいなくなったから、夜泣きがひどくなるし、日中も泣く事が多くて、四六時中心配だったんだから。お母さんは、直美とは絶縁だ!って、半狂乱になるし」
直美は、真由美から葵と聞いて、違和感を感じた。
「何の相談もなく、勝手な事してごめんなさい」
「そうだね!役場関係の手続きは面倒だし、お母さんはうるさいし、私、何回か倒れたからね!この事、死んでも恨んでるからね!あんたの人生だけじゃなくて、私の人生もめちゃくちゃだからね!」
「本当に、ごめんなさい」
直美は、深々と頭を下げた。真由美の怒りは、まだ収まらないようで、また声を荒げた。
「直美、どうして葵を置いて行ったの?経済的に厳しくて?遊びたくて?正直に答えて!」
「経済的な面もある。けど、一番は、ここに居れば葵が安全だと思った。川田は、ここを知らない。川田は、全てを失った今、葵に何をするか分からないから」
直美は、涙を流しながら話した。
「葵を守りたかったら、そこをちゃんと言ってから出て行きなさいよ!何も言わずに、葵を置いてって、無責任よ!頼るなら、きちんと相談してからにしなさい!断られると思ったかもしれないけど、あなたの一言があれば、ここまで怒ってない!親なら、きちんとしなさい!」
「はい」
真由美の言葉が胸を貫いた。弱い気持ちに負けて、最後まで親らしい事できなかった。自分都合で、葵と離れて、元気でねなんて、すごく無責任だ。葵の気持ちも考えずに、勝手に押し付けて、親として最低。
「そんな気持ちで、本当に葵を返していいの?」
真由美は眉間に皺を寄せ、直美を睨んだ。
「今度こそ葵を守る。その為に、必死に働いてお金も貯めた。もう、葵を離さないし、絶対守ってみせる」
直美は顔を上げ、力強い目で真由美を捉えた。
「今度こそ、葵を守ってあげるのよ。少しの間だったけど、葵も私の子供のように育ててきた。葵に何かあったら許さないよ」
直美は頷いた。そして、最初に感じた違和感に気づいた。真由美は、直美の代わりに葵の親になってくれた。親がもう一人いる嫉妬、真由美と葵に置いて行かれた不安感。葵を置き去りにした、罰なのだろう。
「それじゃ、保育園にお迎えに行こう」
直美達は、喫茶店を出た。真由美の自家用車で、葵の通う保育園に向かった。胸の高鳴りが、隣にいる真由美に聞こえる位、直美は緊張していた。葵に再会できる日が幻、嘘の様に思える。少し車を走らせた所に、保育園があった。園からは、子供達のはしゃぐ声が漏れていた。
「こんにちはー!大江です」
玄関すぐの事務所から、先生が出てきた。
「葵ちゃんのお母さん、こんにちは。今、声かけてきますね」
しばらく待っていると、足音が聞こえてきた。
左右に揺れながら走る女の子。髪を2つに結い、満面の笑みで向かってくる。見覚えのある花柄のワンピース。誕生日に送った服を着ていた。
「マーマー」
葵は、真由美にギュッとしがみついた。その瞬間、胸に何かが突き刺さった。
「こんにちは~」
中年位の保育士さんが、百合を抱っこしながら、葵の後を付いていた。
「ほら、くっく持ってきて」
真由美が葵の下駄箱を指さすと、葵は下駄箱から自分の靴を取り出した。
座って靴を履くと、ようやく直美の存在に気づいた。
「あーちゃんのママ?」
「ふふふ。あゆみちゃんのママじゃないよ。ママの妹」
「ママの@/&?」
妹が喋れず、宇宙人語を話してるようだ。
「マーマー、あっこ」
葵は両手を広げた。
「おばちゃんに、抱っこしてもらおうか。まま、百合抱っこするから」
「やだ!ママ、がいい!あっこ!あっこ!あっこ!」
葵は両手を広げ、ぐずりながら飛び跳ねた。
「ほら」
真由美が葵を抱き上げると、葵は真由美の肩に顔をピタリと付け、満面の笑みになった。手ぶらの直美は、保育園さんから百合を受け取った。百合は不思議そうな顔をして、直美の顔をまじまじと見ていたが、泣く事もなく、静かに抱っこされていた。車に着き、二人をチャイルドシートに乗せた。
「甘えん坊でね。歩けるのに、抱っこをせがむの」
葵は、直美と目が合うとようやく笑った。
「お姉ちゃん、ダメかも」
「何が?」
「葵からお姉ちゃんを取れないよ。だって、葵、お姉ちゃんの事、本当のお母さんだと思ってる。今、お母さんから離したら、葵を一生傷つけちゃうかも」
直美の目から涙が流れた。
「…大丈夫よ。まだ小さいから記憶だって」
「記憶の問題じゃない!お母さんとの繋がりよ!私だって、小さい時の記憶はぶつぶつに途切れてるけど、お母さんといた安心感は覚えてる!母親の存在って、すごく大きいのよ!」
「それは、そうだけど」
「大好きな人と引き離すなんてできない。これは、恋愛じゃない、家族の絆だもん。ほら、葵、ずっとお姉ちゃんを見てる。私の事お母さんだと思ってないよ。お姉ちゃん、ごめんなさい。私から、引き取りたいって言ったのに。またわがまま言って」
「本当にこれでいいの?このまま私が育てたら、直美の事、叔母さんと勘違いするかもよ」
「そうゆう事にしよう。私は、葵の叔母さん。ずっと、見守っているからね。また、会おうね」
直美は、葵の手を握った。葵も直美の手を握り返した。
「お姉ちゃん、葵にまた会いに来てもいい?」
「会いに来るも、直美の子なんだから、いつでも会いに来てよ」
直美は、泣きながら頷いた。絶対に葵を守ると決めていたが、葵はすでに真由美を母親と愛している。真由美に甘える満面の笑みに、直美の心は砕け、引き際が明白だった。
葵は、今2歳5ヶ月になっていた。誕生日、クリスマス、桃の節句、子供行事には、プレゼントを送っていた。真由美からの返事もあり、葵が元気な事に安堵していた。
今日は、真由美と約束をつけていた。手紙で事前に葵を引き取りたいと伝えていた。
待ち合わせ場所の喫茶店に入る。店内を見回すと、角のテーブル席に真由美がいた。
「お姉ちゃん」
直美の声が震えていた。
「久しぶり?元気だった?」
穏やかな性格の真由美だったが、声が低く、棘があった。
「お姉ちゃん!ごめんなさい!」
直美は勢いよく、頭を下げた。
「何も言わず、葵を置いていってごめんなさい!」
「そうよ、本当勝手なんだから。あの後、あんたは、いつまでも帰ってこないし、葵は泣き出すし。カバンに入ってた、私達宛の手紙には、葵を預かって下さいって…」
真由美は、向かいの椅子を指差し、座れと指示した。怒った時の口調は、いつも通りだったが、無言の指示をされた事は、今までなかった。こんなに、ぶち切れているのは初めてかもしれない?
「本当に大変だったんだからね!私も百合を産むまで、葵のお世話して。葵も、急にお母さんがいなくなったから、夜泣きがひどくなるし、日中も泣く事が多くて、四六時中心配だったんだから。お母さんは、直美とは絶縁だ!って、半狂乱になるし」
直美は、真由美から葵と聞いて、違和感を感じた。
「何の相談もなく、勝手な事してごめんなさい」
「そうだね!役場関係の手続きは面倒だし、お母さんはうるさいし、私、何回か倒れたからね!この事、死んでも恨んでるからね!あんたの人生だけじゃなくて、私の人生もめちゃくちゃだからね!」
「本当に、ごめんなさい」
直美は、深々と頭を下げた。真由美の怒りは、まだ収まらないようで、また声を荒げた。
「直美、どうして葵を置いて行ったの?経済的に厳しくて?遊びたくて?正直に答えて!」
「経済的な面もある。けど、一番は、ここに居れば葵が安全だと思った。川田は、ここを知らない。川田は、全てを失った今、葵に何をするか分からないから」
直美は、涙を流しながら話した。
「葵を守りたかったら、そこをちゃんと言ってから出て行きなさいよ!何も言わずに、葵を置いてって、無責任よ!頼るなら、きちんと相談してからにしなさい!断られると思ったかもしれないけど、あなたの一言があれば、ここまで怒ってない!親なら、きちんとしなさい!」
「はい」
真由美の言葉が胸を貫いた。弱い気持ちに負けて、最後まで親らしい事できなかった。自分都合で、葵と離れて、元気でねなんて、すごく無責任だ。葵の気持ちも考えずに、勝手に押し付けて、親として最低。
「そんな気持ちで、本当に葵を返していいの?」
真由美は眉間に皺を寄せ、直美を睨んだ。
「今度こそ葵を守る。その為に、必死に働いてお金も貯めた。もう、葵を離さないし、絶対守ってみせる」
直美は顔を上げ、力強い目で真由美を捉えた。
「今度こそ、葵を守ってあげるのよ。少しの間だったけど、葵も私の子供のように育ててきた。葵に何かあったら許さないよ」
直美は頷いた。そして、最初に感じた違和感に気づいた。真由美は、直美の代わりに葵の親になってくれた。親がもう一人いる嫉妬、真由美と葵に置いて行かれた不安感。葵を置き去りにした、罰なのだろう。
「それじゃ、保育園にお迎えに行こう」
直美達は、喫茶店を出た。真由美の自家用車で、葵の通う保育園に向かった。胸の高鳴りが、隣にいる真由美に聞こえる位、直美は緊張していた。葵に再会できる日が幻、嘘の様に思える。少し車を走らせた所に、保育園があった。園からは、子供達のはしゃぐ声が漏れていた。
「こんにちはー!大江です」
玄関すぐの事務所から、先生が出てきた。
「葵ちゃんのお母さん、こんにちは。今、声かけてきますね」
しばらく待っていると、足音が聞こえてきた。
左右に揺れながら走る女の子。髪を2つに結い、満面の笑みで向かってくる。見覚えのある花柄のワンピース。誕生日に送った服を着ていた。
「マーマー」
葵は、真由美にギュッとしがみついた。その瞬間、胸に何かが突き刺さった。
「こんにちは~」
中年位の保育士さんが、百合を抱っこしながら、葵の後を付いていた。
「ほら、くっく持ってきて」
真由美が葵の下駄箱を指さすと、葵は下駄箱から自分の靴を取り出した。
座って靴を履くと、ようやく直美の存在に気づいた。
「あーちゃんのママ?」
「ふふふ。あゆみちゃんのママじゃないよ。ママの妹」
「ママの@/&?」
妹が喋れず、宇宙人語を話してるようだ。
「マーマー、あっこ」
葵は両手を広げた。
「おばちゃんに、抱っこしてもらおうか。まま、百合抱っこするから」
「やだ!ママ、がいい!あっこ!あっこ!あっこ!」
葵は両手を広げ、ぐずりながら飛び跳ねた。
「ほら」
真由美が葵を抱き上げると、葵は真由美の肩に顔をピタリと付け、満面の笑みになった。手ぶらの直美は、保育園さんから百合を受け取った。百合は不思議そうな顔をして、直美の顔をまじまじと見ていたが、泣く事もなく、静かに抱っこされていた。車に着き、二人をチャイルドシートに乗せた。
「甘えん坊でね。歩けるのに、抱っこをせがむの」
葵は、直美と目が合うとようやく笑った。
「お姉ちゃん、ダメかも」
「何が?」
「葵からお姉ちゃんを取れないよ。だって、葵、お姉ちゃんの事、本当のお母さんだと思ってる。今、お母さんから離したら、葵を一生傷つけちゃうかも」
直美の目から涙が流れた。
「…大丈夫よ。まだ小さいから記憶だって」
「記憶の問題じゃない!お母さんとの繋がりよ!私だって、小さい時の記憶はぶつぶつに途切れてるけど、お母さんといた安心感は覚えてる!母親の存在って、すごく大きいのよ!」
「それは、そうだけど」
「大好きな人と引き離すなんてできない。これは、恋愛じゃない、家族の絆だもん。ほら、葵、ずっとお姉ちゃんを見てる。私の事お母さんだと思ってないよ。お姉ちゃん、ごめんなさい。私から、引き取りたいって言ったのに。またわがまま言って」
「本当にこれでいいの?このまま私が育てたら、直美の事、叔母さんと勘違いするかもよ」
「そうゆう事にしよう。私は、葵の叔母さん。ずっと、見守っているからね。また、会おうね」
直美は、葵の手を握った。葵も直美の手を握り返した。
「お姉ちゃん、葵にまた会いに来てもいい?」
「会いに来るも、直美の子なんだから、いつでも会いに来てよ」
直美は、泣きながら頷いた。絶対に葵を守ると決めていたが、葵はすでに真由美を母親と愛している。真由美に甘える満面の笑みに、直美の心は砕け、引き際が明白だった。
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