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第1章 この度、伯爵令嬢になりました。
10*さすが王族というべきでしょうか。
しおりを挟む只今、猛烈に気不味いです。
物凄く、居た堪れない気持ちです。
ディナンにギュウしてもらって私はとっくに涙も枯れて元気を取り戻したのに‥‥
全然話してくれません。後ろからのバックハグで他愛もない話をしているのですがいい加減離れたいです‥‥。
これでいいのか、6歳児!
なんだかおませすぎないですか!!??
この世界はジョーも含めスキンシップが結構激しいな、と思うことも多くありますが、ここまでではありませんでした。王子だから?王宮では当たり前なの??
だんだんと照れ臭くなって来て、でも後ろを見ても普通に上機嫌なディナンがいるだけです。
「ね、ねぇ、ディナン?そろそろ離して‥‥?」
「ん?何故だ??」
何故と返されてしまいました。心底わからないというように曇りなき眼で聞き返して来ます。うぅぅ
「その、えと‥‥は、恥ずかしいから‥‥」
「でも、ジョーもよくチャコに抱きついているではないか。私もそうしたいと思っていたが、遠慮していたんだ。しかし、これからは気にしないことにした。だから、今日は今までの分だ。だから、このままでいいんだ。」
よくわからない理屈を言われて、あぁ、そうなの?と変に納得させられそうになってしまいました。
「いや、ジョーでもこんな長くはしないよ‥‥」
「今は二人きりだ。気にすることはない。‥‥それより、チャコ。魔力の扱いについて悩んでいたんだよな?」
急に話が変わりました。あぁ、王子様なら普通の人よりも魔力量は多いはず。ディナンに話を聞けば何かヒントになるかもしれません!
「そうなの。先生曰く、私の魔力量が多いから体が慣れすぎてて感じにくいんじゃないかって言われたんだけど‥‥。ディナンは魔法得意だよね?魔力も多いの?」
「あぁ、やっぱり。そうだな、私の魔力は6歳の時点で凄く多いと言われた。成人する頃にはこの国でトップクラスの魔力量になるだろうと予想されている。」
「そんなに多いんだ‥‥。ディナンは、どうやって魔法を使ってるの?感じ取れないとか、ある?」
「うーん。王族は比較的に魔力は多いと言われているんだ。だから、魔法の勉強も幼い時からさせられる。万が一、暴走したら大変だからな。」
「たしかに。初めて会った時とかシュッてあっという間に消えちゃったりしたけど、それもなにか魔法を使ってるの?」
「あぁ、あれは風魔法と身体強化の補助魔法を応用しているんだ。」
「すごいねぇ!!かっこいい!もうそんなのが出来るんだねぇ!私にも出来るかな?」
「‥‥ちょっと、魔法の練習してみようか。」
「う?うん!やりたい!教えて!」
ディナンが立ったので私も立とうとしたら、手を差し出されました。なにこのスマートさ。王子様なの?‥‥王子様か。末恐ろしいです。はぅ。
向かい合わせで立って、何故か両手を握っています。不思議に思ってディナンを見るとニッコリと可愛らしい笑顔が帰って来ました。
「チャコ、自分の魔力を手の平で玉を作るイメージして。」
胸の位置に繋いだ手を上げて私は言われた通り目を瞑って手のひらにピンポン球を作るようにイメージします。・・・あれ?なんだか凄く手が暖かくなっています。今までは感じたことのない変化に驚いて目を開けると繋いでいる手が淡く光っていました。
「うん、チャコ。上手いな。いま、魔力が手のひらに集まってきているのがわかるか?あ、出来て来たようだな。ほら、コレがチャコと私の魔力が合わさって出来た結晶だよ。」
ディナンがそう言うと、ゆっくりと手を離します。手のひらには淡く光る水晶玉のようなものが両手の掌の上に乗っています。
「わぁ‥‥綺麗。」
両手の上にある玉の1つを手に取り空へかざしてみます。
隣でもう1つの玉をディナンがよく見て観察していました。
「うん、凄く綺麗に出来たな。‥‥色が混ざっていないな。‥‥うん、うん。いいな。そうか良かった。」
何やら一人で納得して楽しそうにしているディナンを放って、私は初めて出来た魔力の結晶をうっとりと眺めていました。
「これに、魔法陣を刻むと色んなことができるんだ。今度簡単なのを一緒に作ってみよう。」
「うん!」
満面の笑みでディナンに返事をするとディナンは照れつつもまた手を差し出してきました。
その手をまた握ると次は‥‥
「ひゃう!?」
何か体の中で何かが動くようなむず痒くなるような感覚がしてびっくりして声をあげます。
「いま、少しだけ私の魔力をチャコに流したんだ。くすぐったいだろう?」
「う、うん。変な感じがする‥‥」
「いま変に感じているところが魔力の通っている所だ。」
「・・・なんか、血みたい。」
「そう。血だ。魔力は血液と同じようなもの。それは、目に見えるかどうかの違いだけで、血管を通って魔力は動いている。そして、最終地点は心臓だ。ココに魔力を貯めておくようにイメージすると魔力の動きがわかりやすくなるぞ。魔力は開けたら出る。しまって閉める‥‥というようにな。たぶん、チャコは常に開けっ放しにしていて、その状態に慣れているからわからないいんだと思う。」
「ほうほう。すごくわかりやすい‥‥」
「ほら、しまってみろ。」
「う、うん。」
心臓に大きい入れ物があるように‥‥血を集めるイメージで‥‥
心の中でぶつぶつと言いながら言われた通りにして見ました。そしたらなんと言うことでしょう!スゥッと体が軽くなっていくような気がします。いまなら秘密基地から家まで全速力で走れそうなくらい体が軽くなりました。
「‥‥す、すごい。体が軽くなったよ。」
「よし、成功したみたいだな。私も、コレを教えてもらうまで魔力とはどんなものかさえわからなくて苦労したんだ。兄上がやり方を教えてくれたんだ。」
「お兄さん、凄いね。いままでわからないものがわからない状態だったからやきもきしてモヤモヤしてたけど‥‥ディナン、教えてくれてありがとう!」
「うん。あ、でも、これは私とチャコの秘密な?チャコはもしかしたら私と同じくらい魔力量があるから教えたけど、魔力量が普通の人はいらない技術らしいからな。無闇に魔力量が多いことを他人に知らせるべきではないからな。‥‥色んな事件になるって聞くしな。チャコを、無用な危険に晒したくはない。」
「そうなんだ。わかった。内緒ね!あ、ねぇ、この水晶玉1つもらってもいい?」
「あぁ。全然いいぞ。あ、ただ、二人でそれを作ったことはまだ誰にも言わないでくれ
」
「 まだ?」
「言っていい時が来たらわかるから。その水晶はチャコだけで作ったものにしておいてくれ。」
「うん‥‥わかった。でも‥‥」
「でも、どうした?」
「こんなに綺麗に出来たのにみんなに自慢できないのは少しだけ残念だなって思っただけ!大丈夫、内緒にするよ!」
「っ!本当に、チャコは可愛いことばかり言ってくれるな。‥‥そろそろ日が暮れる。今日は一人なら私が近くまで送っていこう」
「あ、本当だね。ありがとう!」
差し出させた手を握って童謡を一緒に歌いながら家まで歩きました。
結局ディナンは家の前まで送ってくれて、門を潜ったのを見送られてから一瞬で居なくなっていたのでちゃんと帰れたみたいです。
今日はなんだか色んなことがあったような気がします。
ディナンとは、こんなにたくさん自分達のことを話すのは初めてかもしれないです。
なんだか‥‥私は心まで子供になって来ているのでしょうか?6歳児にトキメクとか‥‥私は見る専のショタ好きであって、絶対に恋愛対象外なはずなんですけど‥‥今日はそれだけ弱っていたということでしょうか。
もっと気を引き締めていかなければいけませんね!
とりあえず、今日はいっぱい魔力を使ったのでお腹が減りました。今日のお夕飯はなんでしょう?なんだかがっつりと唐揚げが食べたい気分です。
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