20 / 84
第1章 この度、伯爵令嬢になりました。
20*兄妹水入らずのお茶会です。
しおりを挟むあっという間に、秋になりました。
お義母様のお腹も、破裂寸前に大きくなっています。いつ産まれてもおかしくないようで、二日に一回の検診にも、お父様は必ず駆けつけます。
家族みんなすんごく楽しみにしているので、早く出てきて欲しいです♪
あの会合以来、リリとは文通や、お茶会と言う名の会合などでよく遊ぶようになりました。
リリは、公爵令嬢とは思えないくらい、フレンドリーに接してくれます。
よく話したら、リリとも同じ年でした。‥‥なんか、私と同じ年の子、とてもレベル高くないですか?
ディナンに、ジョーに、リリ‥‥。学院に入るのは、まだまだ先だけど、学院に入ったらファンクラブとか出来そう。いや、絶対できる。学園祭があるのかどうかは分かりませんが、あったら絶対盛り上がりますね。‥‥バンド組みたいなぁ。私、高校生の頃、コピーバンドしていたことがあるんです。だから、ギターも弾けるんですよね。
ディナンに、ジョーに、リリに、ギターでレイ兄様、もちろん、ボーカルは私がいいな。
いや、この四人の中で歌うのは、ちょっときついか?でも、バンド組めたら楽しいだろうなぁ。‥‥っと、口調が乱れてしまいましたね、失敬失敬。とにかく、そろそろ歌が歌いたいって事ですね。‥‥久々に、アランの所に行こうかしら。
そう思って用意していると、カート兄様が話しかけてきました。
「よぉ、チャコ。これからお出かけか?」
「え?いや~気分転換に、庭にでも行こうかと‥‥」
「ふーん?暇なのか?それなら、ちょっと、俺に付き合え!」
「え?うわぁ!」
カート兄様は返事も聞かずに、私の事をどんどん引っ張っていきます。もー強引なんです。カート兄様は!もう少し、レイ兄様を見習ってほしいものです。ふんふん
引っ張られて連れてこられたのは、カート兄様の部屋でした。
「カート兄様?何か、忘れ物ですか?」
「いや、チャコに見せたいものがあってな。‥‥絶対、父上には内緒だぞ?」
お父様に内緒のもの?一体なんでしょうか?首を傾げていると、カート兄様が、寝室からモフモフとした小さいモルモットのような生き物を抱きかかえてきました。
「うわぁ!可愛いっ!!」
「やっぱり、チャコも気に入ったか。良かった。」
「はい、とてもモフモフで‥‥可愛らしいです!兄様、この子、どうしたんですか?」
兄様が、私の腕の中にモルモットを乗せてくれました。あぁ、あったかくて毛が柔らかくてとても可愛い‥‥
「いやな、剣稽古の時に迷い込んできたのか庭の池に落ちちゃったのを助けたんだ。」
・・・モルモットって、泳がなかったっけ?あれ?どっちだ?
「それでな、近くに親もいなさそうだったから連れて帰ってきたんだ。レイとハンクは知ってるぞ。」
「そうなんですね。あ、擽ったい。ふふ。」
モルモットが腕から抜けて、肩を登っていきます。短い手足がとても可愛いです。
肩の位置に座りなおしたのか、止まったのを確認すると、フッとあの憧れのシチュエーションが頭によぎりました。
肩に乗っているモルモットに、ソッと人差し指を差し出します。
モルモットは、よくわからないのか匂いを嗅いでも、とくに動こうとしません。それをいい事に、私は続けます。
「ほら、怖くない。」
とにかく無反応のモルモットを無視して、自分の世界に入り込んでいきます。
「うふふふ。兄様、この子、私に下さいな。うふふf」
不気味に笑いながらその場でクルクル回って、一通りのことして落ち着くと、カート兄様はものすごい勢いでモルモットを奪い取ってしまいました。
「ダメだ!見せるだけならいいが、リッチモンドは上げれないからな!!」
・・・あら、本当に欲しがってると思われてしまったみたいです。
そこは、「不思議な子だ‥‥」と呟いて欲しかった。
「カート兄様、大丈夫です。このセリフを言ってみたかっただけなので、私は、生き物を飼おうとは思っていません。勘違いさせてしまって御免なさい。」
素直に謝ると、カート兄様もホッとしたのか、肩の力を緩めてくれました。
「いや、いいんだ。ほら、かわいいだろう?たまになら、貸してやらないでもないぞ?」
「ふふ。そうですね。たまに、愛でに来てもいいですか?」
「あぁ、いいぞ。最近はチャコとあまり時間を取れていなかったからな。」
そういえばそうだ。私も、やることが増えて、遊ぶ時間も減ったし、カート兄様はもっと忙しいはず。こうやって、兄妹二人で話すのはいつぶりだろうか。
「確かに、そうですね。私、最近の兄様のこと知りたいです!」
「急だな ‥‥じゃあ、茶を用意させるか。」
「ハイっ!」
そうして、兄妹水入らずの即席お茶会が始まりました。
◇◆◇◆◇◆
「けっこう、チャコも難しいところまで勉強しているんだな。俺が6歳の頃はもっと、簡単なことばっかりしてたぞ。」
「うーん、多分、私は女の子だから座学やマナーレッスンが多くなってしまうんですよねぇ。私も兄様たちみたいに、剣や武道を習いたいです。」
「うん、体を動かすのはとても楽しいぞ!チャコは、女の子だからなぁ~ケガも多くなるしやめて欲しい気もするが‥‥それに、練習用の剣でも、持てない気がするなぁ~」
うーん、とカート兄様が顎に手を当てて想像しています。
えー?ハンクでも振り回せるんですよ?大丈夫だと思うんですけどねぇ。
って言っても、絶対お父様がダメって言ってやらせてくれなさそうですが‥‥
この異世界に来たんだから、異世界ならではのことをしてみたかったんですけどねぇ。
戦える伯爵令嬢、カッコ良くありません?
「チャコは、魔力が結構多いんだろう?それなら、そっちを頑張ったらどうなんだ?」
「魔力ねぇ。魔法も、もちろんがんばりますけど、魔力封じの何かにあったら、私は何もできなくなってしまうじゃないですか。そうならないための、護身術くらい身につけたいんですけどねぇ。お父様がダメって言いますかね?」
「‥‥護身術なら、許可をくれるかも?本格的にしなければって言われそうだけど。」
「カート兄様、一緒にお願いして下さいませ!」
「あぁ、わかった。じゃあ、今夜の夕飯の時にでも話してみよう!」
「わあ!ありがとうございます!!カート兄様、大好きですっ!!」
そう言ってカート兄様の胸にダイブすると兄様はなんなく受け止めてくれました。
‥‥わぁ。体つきがしっかりして来たんだなぁ。カート兄様も、いい男になるね。うん。
カート兄様と、他愛もない話をしていると
結晶石が光り出しました。耳たぶに手を当てて、少しだけ魔力を込めます。
『チャコ、少し時間ができたから秘密基地に行こうと思うんだが、今から出てこれないか?』
『ディナン!いいよ~!行く!ジョーにも連絡してみるね!』
『あぁ、頼む。じゃあ、2時には着くようにする。』
『りょーかーい!また後でね!』
本当に、結晶石が出来てから連絡が楽で、楽で、ありがたい。
この世界には、携帯なんてないから本当に連絡手段に困るんですよね。
2時‥‥後一時間ほどですね。今から出たら、アランの所にも寄れるかな。
よし、すぐ出よう!
「カート兄様、私、用事ができたのでこの辺で失礼しますね。」
「あぁ、遊びに行くのか?あまり遅くなるなよ?レイの奴が、心配するからな。」
「はーい。暗くならないうちには帰って来ます!まぁ、何かあれば連絡して下さいませ。」
適当に挨拶をして、カート兄様の部屋を出ました。
急いで着替えて、ジョーに連絡しました。ジョーも、来れることを確認してから、ギターを持って、庭の抜け道から抜け出して小走りで噴水に向かいます。
0
あなたにおすすめの小説
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
転生したら、実家が養鶏場から養コカトリス場にかわり、知らない牧場経営型乙女ゲームがはじまりました
空飛ぶひよこ
恋愛
実家の養鶏場を手伝いながら育ち、後継ぎになることを夢見ていていた梨花。
結局、できちゃった婚を果たした元ヤンの兄(改心済)が後を継ぐことになり、進路に迷っていた矢先、運悪く事故死してしまう。
転生した先は、ゲームのようなファンタジーな世界。
しかし、実家は養鶏場ならぬ、養コカトリス場だった……!
「やった! 今度こそ跡継ぎ……え? 姉さんが婿を取って、跡を継ぐ?」
農家の後継不足が心配される昨今。何故私の周りばかり、後継に恵まれているのか……。
「勤労意欲溢れる素敵なお嬢さん。そんな貴女に御朗報です。新規国営牧場のオーナーになってみませんか? ーー条件は、ただ一つ。牧場でドラゴンの卵も一緒に育てることです」
ーーそして謎の牧場経営型乙女ゲームが始まった。(解せない)
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
年増令嬢と記憶喪失
くきの助
恋愛
「お前みたいな年増に迫られても気持ち悪いだけなんだよ!」
そう言って思い切りローズを突き飛ばしてきたのは今日夫となったばかりのエリックである。
ちなみにベッドに座っていただけで迫ってはいない。
「吐き気がする!」と言いながら自室の扉を音を立てて開けて出ていった。
年増か……仕方がない……。
なぜなら彼は5才も年下。加えて付き合いの長い年下の恋人がいるのだから。
次の日事故で頭を強く打ち記憶が混濁したのを記憶喪失と間違われた。
なんとか誤解と言おうとするも、今までとは違う彼の態度になかなか言い出せず……
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる