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第1章 この度、伯爵令嬢になりました。
24*訓練を始めることになるのです。
しおりを挟む「‥‥なにこれ。」
姿見に映った、私の背中には‥‥翼が生えていました。
「って、えぇ?これぇ???」
弱そう!!この翼、弱そう!!『翼』って、こう、バッサァと大きくて、美しくて、繊細なの想像するじゃないですか!!私の背中に生えてるのは、子供がチョロロって書いたような、クルっとした丸い感じの羽が背中に付いていました。いや、可愛いよ!?でも、アレだよ、そう!カー◯キ◯プターさんのケルベロスさんみたいな、手書きっぽいやつ!!ちがう!!想像してたやつと、ちがーーーう!!!というか‥‥
「こ、これで‥‥空、飛べる‥‥の?」
姿見を掴んでいた手を離して、部屋の家具の少ない場所へ移動します。
「よ、よし。えいっ!」
大きく上に向かってジャンプしてみます。
パタパタパタ・・・
私の翼が必死に動いているのが分かります。
「うぉ!!ちょっと浮いた!!!っきゃあ!」
ドシンッ
「イタタタ‥‥」
一応、飛べないこともないけど、集中力がかなり必要そうです。
・・・練習が必要みたいね。暫くは、普段使いは出来なさそうです。なんだぁ、残念。
あとは‥‥見た目ね。この、落書きッポイのはちょっと‥‥。どうせなら、もっと繊細な綺麗な羽がいい。そっちのが、飛んでても綺麗に見えるだろうし‥‥。
うーーーん。
考え込んでいると、部屋の扉がガチャガチャと回されました。え、なに!?
ドンドンドン・・
「チャコ、いるのか!?すごい音と‥‥悲鳴が聞こえたけど、どうした!!??チャコ、返事をしろ!大丈夫なのか!?くそ、なぜ鍵なんか‥‥」
お父様の声です。お父様の後から、何人かの忙しない足音が聞こえます。
というより、羽!!羽しまわなきゃ!!
「お、お父様、私はなんでもありません、ベットから落ちてしまっただけですわ、い、今開けますので‥‥ちょ、ちょっと待ってください!!」
今だ、背中についている羽が消える素ぶりはありません。えーーーっ!どうしたらいいの!?このまま出て行くの!?そんなことしたら、セバスチャンや侍女たちにまでバレてしまう!!どうしたらいい!?
「チャコ、本当に大丈夫なんだな!?早くここを開けなさい!」
「は、はい!!」
羽、翼、消えて、はやく消えてーーーっ!!
一歩、また一歩と、扉に近づきます。えーーい、仕方ない、このまま出よう!!
カチャ‥‥ガチャ
「チャコ!!」
鍵を開けて、ドアを開けると勢いよくお父様が雪崩れ込んきました。
「お、お父様、お、お待たせしてしまって‥‥えと、こ、これにはですね、ワケが‥‥いや、私も、混乱しているのですけどね?私としても、説明のしようもないといいますか‥‥」
「チャコ?落ち着け、何を言っているかわからん。あ、ベットから落ちて、何処か打ったのか?はぁ、本当に何もなくて良かった。すごい音と叫び声が聞こえて、私は肝が冷えたぞ。‥‥あまり、ビックリさせるな。」
え?羽が見えてない?
そう思って、恐る恐る背中を見ると‥‥って消えてる!!とりあえず良かった、バレなくて‥‥。
「ごめんなさい、授業の後、ルーファス先生とお話しして、これからのことを考えてたらちょっとテンションが上がりすぎてしまって‥‥でも、本当に何ともないので!」
「あぁ、ルーファスといえばな、チャコの事で話があると言ってたな。明日、話してくるけど、なんの話か知っているか?」
先生、もうお父様にアポ取ってたんですね!仕事が早い!絶対、ルーファス先生って、仕事できる人ですね。かっこよい!!
「あぁ~‥‥わかるには、わかるんですけど‥‥私だとよく説明できないので、ルーファス先生の方から、お話を聞いた方がいいと思いますわ。まぁ、怒られる事ではないと思うんですけど‥‥」
「そうか、チャコが説明できないなら、ルーファスから聞いた方が、効率良さそうだな。チャコ、病み上がりなんだから、あまりはしゃがないでゆっくりしててくれよ?」
お父様はそう言うと、一つ、おでこにキスを落として、踵を返し執務室へ戻っていかれました。ふぃ~
◇◆◇◆◇◆
それから数日後
お父様と、ルーフェン先生の話し合いで、私も自衛が出来ないとダメだろう。という事で纏まり、先生をつけてくださる事となりました。ぃやっほい!
今日は、先生と顔合わせの日です。
先生は、隣国から最近此方に引っ越して来た元冒険者の方のようです。
この国には、冒険者ギルドがないので、冒険者はしていないそうで、今は雇われ用心棒などをしているとても優秀な方なんだそうです。
私は、『用心棒』と聞いててっきり、強面の大きい人を想像していましたが、実際いらしたのは、鮮やかな紫の長い髪を後ろで一括りにして、優しげなピンク色の瞳で一見、優しそうに目を細めていますが、私を見る目はなんだか‥‥値踏みしているように怪しく光って見えます。肌は、褐色と言うよりは、健康的に日焼けしたような肌で、40代の気の強そうな女性でした。‥‥あれ?なんだかお会いしたことがあるのかしら?なんだか、見覚えが‥‥。
「今日から、貴女を鍛える事になった、アンナよ。私の事は何とでも呼びやすいように呼んで。」
「アンナ先生、これからのよろしくお願いいたします。ティナ・エヴァンスです。私の事は、チャコと、呼んでくださいませ。」
「チャコね。アンナ先生だなんて。長すぎるでしょう?『アン』とか‥‥『師匠』とか‥‥あ、『師匠』いいわね!うん、というか、『師匠』と呼びなさい!」
・・・・うん、好きに呼んでいいと言いつつ、勝手に決められました。良いんですけどね。なんだか、とてもお茶目な方のようでよかったです。
[ばぁちゃん、荷物はここに置いておくんで良いのか?]
「あぁ。ほら、ロン。こっちへ来てお前も挨拶しな。あと、なるべく共通語を使えと言っているだろう?」
「‥‥わかったよ。あまり喋れないから嫌なんだよ。」
「喋れないからこそ、いっぱい話して習得するんだ。ほら。」
ロンと呼ばれた男の子が、頭を掻いて俯きがちに此方へ歩いて来ました。
「「あ」」
男の子を見て、固まってしまいました。
だって、その子こそ、この前助けた男の子だったから。
驚きで、二人して固まってしまいます。
「二人とも、どうしたんだ?」
◇◆◇◆◇◆
「あっははは。そうか、あの時こいつを、助けてくれたのはチャコだったのか!」
豪快に笑ってバシバシと背中を叩かれました。痛い。地味に、痛いです。
「本当に、あん時はありがとうございました。改めて、俺はロン。宜しく」
「あ、いやいや。何事もなく、無事で良かったです。ロンくん。私は、ティナ・エヴァンス。でも、みんなチャコって呼ぶから
チャコって呼んで。」
ロンくんが、自己紹介してくれました。
‥‥なんだ。共通語、話せるんじゃんか。
「いや~本当、あの時はビビったよ。ロンが迷子になったかと思ったら、連れ攫われてたなんてねぇ~まあ、特に怪我もなかったし?そこまで心配してなかったんだけどさ~まさか、人攫いにあってるとは思わなかったわ。」
「ばあちゃん!あの時は、迷子じゃなくて視察に行ってたんだ!それに、あんな不意を突かれて、気絶させられたから縛られちゃったけど、普通に会ってたらあんな事には‥‥」
「バカやろーー!!!」
ボコーーン
大きい音を立てて、思いっきりロンが殴り飛ばされました。痛そう‥‥
「いってぇ!!!」
「お・ま・え・は・バカですか???」
目に見えて、イラっとしている師匠の顔に見ている方もゴクリと唾を飲んでしまいます。
「犯罪者が、わざわざ『今から襲いまーす』って言って挨拶してから、襲いに来ると思うのか?」
バチンッ
「犯罪者が、わざわざ怪しい格好して、『私は犯罪者です』って名乗ると思うのか?」
バチンッ
「お・ま・え・は!何年、私の下で修行して来てんだ!!この馬鹿!恥ずかしいにもほどがあるぞ!!」
バチンッ
何回も何回も同じところにデコピンを当てていてすごく痛そうです‥‥。
「いつ何時、何があるかわからないから、自衛の仕方を教えてるんだろうが!初めての場所なのに、気ぃ抜いてるから、あんなチンピラに隙を突かれるんだ!10歳にもなって、危機管理がなってなさすぎる!」
「うう。ごめんよ、ばあちゃん。」
「ったく。チャコ。本当に、あの時はありがとう。こんな糞ガキでも、大事な孫なんだ。助けてくれて本当に、恩にきるよ。」
アンちゃんは、姿勢正しく綺麗にお辞儀して頭を垂れました。
「し、師匠!そんな、私は、当たり前のことをしただけなのでっ!これから、私も強くなれるように、また同じことがあっても助けれるように、頑張るんで、これから、よろしくお願いします!!」
わぁ、言いたいことがめちゃくちゃでよくわからなくなっちゃいました。
でも、気持ちは伝わったようで、師匠は優しそうにピンクの瞳を細めて手を差し出してくれました。
「私が、全力でチャコを強くするよ。一緒に、頑張ろうね。」
「お、俺も、チャコに負けないくらい強くなるから!次は、俺がチャコの事守れるようになるからな!」
「はいっ!!よろしくお願いします!!」
そうして、顔合わせは無事、終わりました。
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