ハイスペック隠れ腐女子が異世界に転生しました。~二度目の人生全力で楽しみます!~

なーさん

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第1章 この度、伯爵令嬢になりました。

37*心配は仕方がないことです。

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コンコン

部屋で着替えていると、扉をノックする音がしました。

「チャコ、着替え中ごめんね。外雨降ってきちゃったから知らせようと思って‥‥」

レイ兄様が申し訳なさそうに扉越しに言いました。

「ちょっと待ってくださいね、もう着替え終わるので‥‥‥はい、もう大丈夫です。」

急いで着替えて、返事をすると扉が開きます。
扉の前には、少し濡れてしまったレイ兄様が立っていました。

「兄様、濡れちゃってるじゃないですか!拭いてからでもよかったのに‥‥」

「うん、でも、その間に行き違いになったら嫌だなって思って‥‥」

「レイ兄様は、私を優先しすぎですよ?もう少し、ご自身をもっと大切にしてくださいませ!風邪ひいてしまったらどうするんですか?」

「はは。そうかな?でも、チャコが困るんじゃないかって思ったら先にこっちにきてたよ。大丈夫、このくらいで風邪なんか引かないよ。ありがとう」

私が急いで持ってきたタオルをレイ兄様に渡すと、雨で濡れてしまった所を拭いました。

「今日は外ではできないんですねぇ。そしたら、今日はサロンでやりますか?久々に、ピアノとギターでやりましょうか!」

「うん、いいね!‥‥でも、その前に、ちょっと聞きたいことがあるんだ。」

急に真剣な目で言われました。あぁ、ジンの事ですかね。
ついこの間、ジンのこと?で喧嘩?したばかりなので何か言われるとは思ってましたがここまでストレートにくるとは思いませんでした。うん、『ちゃんと話し合う』を意識してくれたんですね。よかった、言いたい事言って。うふふ

「なんですか?」

あえて、ジンとは言わ無いでみました。ちょっと、意地悪だったかな?

「う、うん‥‥さっきの、従者の事‥‥なんだけど‥‥」

「ジンですか?」

「うん。いつの間に、チャコ付きの従者になるなんて話になってたの‥‥?なんで、言ってくれなかったの?」

言っていいのか悪いのか迷っているのか、とてもレイ兄様は弱々しく聞いてきました。
うーん、オドオドしてるの可愛い。ウルっとした瞳も可愛い。

「えっと、『従者になる』って話はジンが退院する時に少し話に出たんですが、私的にはちゃんときっぱりとお断りしたんです。」

「そうなの?じゃあ、なんで?」

「うーん、ジンが退院してからずっと、うちの前で座り込みしてお父様に直談判していたらしいです。それで、お父様が気に入ったのと、私もすごく真摯に思ってくれて嬉しかったのでお試しで3ヶ月、従者になってもらうことにしたんです。」

「お試し‥‥そしたら、3ヶ月後にはあの子は居なくなるんだね?」

「それはわかりません。ジンには、3ヶ月の間『本当に一生付いて行きたい相手』なのか、見極める事と、私も、ジンのことを知ろうと思うので‥‥これからの事は特に分かりません。」

「そ、なんだ‥‥」

「あと、レイ兄様に『言わなかった』のではなくて、今日あれよあれよと決まった事なので、言うタイミングがなかっただけです。そこは、間違えないでくださいね?」

「う、うん。ごめんね、勘違いして‥‥」

シュン‥と言うような音が聞こえてきそうなほど落ち込んでしまいました。

「兄様、ジンはとてもいい子ですよ。下町の事よく知っているし、人のことをよく見てるので察しがいいですし、元々頭は良いのか器用なのか、言葉使いなど注意すればよく気が付いてくれますし、ジンはそれなりに良い執事にまでなれると私は思いますよ。なにより、私を理解しようとしてくれてるのがわかって結構一緒に居て楽です。そんなジンだから、私の大事なレイ兄様やみんなとも、仲良くなってくれると嬉しいです。」

「うん。チャコがそこまで言うなら僕もジンを歓迎するよ。」

多分、レイ兄様は私がジンに利用されてるんじゃないか、などを心配してくれたんでしょう。孤児の子供が貴族と関わるなんて、そうそうありません。この機会に盗みや、詐欺などしようと言うような人もいるはずです。そんな輩とジンを一緒にはして欲しくないですけど、人となりを知らなければ仕方ない事ですもんね。。レイ兄様はジンと、話したこともないから疑ってしまうのは仕方ないと思います。だから、誤解が解けて良かったです。

お兄様は着替えてからサロンに向かうね。と言って部屋を出て行きました。
私も、もう少ししてからサロンの方に行きますかね。

コンコン

「どうぞ」

「失礼します。」

扉をあけて入ってきたのはジンでした。
さっき買った荷物を抱えて、一礼して入ってきます。うん、ジャンに言われたんだろうな。ふふ。この数十分でまた少し成長しているようで微笑ましく思います。

「あ、えと‥‥今戻りました。」

「ふふ。おかえり。どうしたの?随分早いじゃない?」

「俺はお嬢の従者なので、あまり長い時間、離れるんじゃないってジャンさんが‥‥」

「そうだったの。ジン、お兄様が着替え終わった頃にサロンに行くわ。一緒に来てくれる?」

「はい、もちろんです!」

ジンは、とても嬉しそうに顔を綻ばせました。

「まずは、その荷物を部屋に置いて来れば?」

「あ、そうですね。すみません、ちょっと失礼します。」

そういって、ジンが部屋に下がります。本当は、こっち来る前において来たほうがいいと思うんだけどね?ジャンに『離れるな』って言われて急いでこっちに来たんだろうなって思うと可愛いですよね。ジンは、10歳だし、まだまだ子供ですからね。これから覚えていけばいいんです。これからの成長が楽しみなショタが多くて困りますね、ウヘヘ。


◇◆◇◆◇◆


「じゃあ、最初から引いて見ますね、兄様はちょっと見ててくださいませ?」

「うん。わかった!」

ピアノにを手を掛けて、リズムを取ります。

トントントントン

ーーー♪

「ンーーラララ‥‥辛い時誰がそばにいてくれて♪」

ーー♪

ーーー♪


パチパチパチ‥‥

歌い終わると、レイ兄様とジンは拍手して来れました。
ちょっとした心使いが嬉しいですよね。うふふ


「ふふ。二人ともありがとうございます。じゃあ、次はレイ兄様も一緒にやりましょう!」

「うん、そうだね」

そう言って、レイ兄様はギターを手にします。
いつもみたいに、何回も同じ歌を練習して、楽しく過ごすとあっという間に夕飯の時間です。

レイ兄様とジンは、私がお手洗いに行っている間にあっという間に打ち解けて居ました。
レイ兄様の社交術すごいです!見習わないと!

夕飯を終えて、自室に戻るとジンの初挑戦のお茶を頂きました。うん、少し渋い‥‥でも、飲めなくないし‥‥でも、合格点にはまだまだですね。

「うん、初めてにしたら、上出来だと思うよ!」

「そうですか!?」

「うん!これから、毎日入れてもらうことになるしね!すぐに上達するよ!楽しみにしてるね!‥‥ジン、勉強に少しこのお茶、飲んで見る?」

「っ!えと‥‥い、いいんですか?」

「だって、自分がどんなお茶を入れたのか知らなければ次に生かせないでしょ?」

「そう‥‥ですね。はい!一口、頂きます!」

「はい、どうぞ」

カップをジンに渡すと、一口クピッと控えめな音を立てて飲みました。

「っ!渋っ!」

うぇっと、苦そうな顔をしてしまいました。でも、初めてですからね?そう思うと、上出来だと思うんですけどねー

「お嬢、よく飲んでくれましたね。」

「え?だって、初めてでしょう?」

「そうですけど‥‥」

「まぁ、これから上手になればいいのよ。ふふ。見てて」

お手本に私がお茶を入れてみることにします。

「はい!」

「あ、こう言う時、メモしたほうがいいわよ?私は、2度も教えないからね。」

私は、使って居ないノートとペンをジンに渡します。
孤児だったジンですが、数年前まで別の地域の教会にいたこともあり、基本文字は読み書き出来るようです。識字率の高い王国で助かりますね。計算は足し算、引き算しか出来ないみたいなので、これから基本の計算は教えていくつもりです。小学校低学年位なら、やっぱり教えれますしね。よく、私も百ます計算やらされたなー。懐かしい。あれやる時って、何故かお母さんが張り切っててストップウォッチ片手にスパルタでやらされてました。

「はい!お嬢、お願いします!」

懐かしい事を考えていたら、ジンが準備できたのかキリッとした顔でお願いされました。うわわ。可愛い。ジンは、黒髪、黒目で日本人に近い色彩なのでなんだか親近感が湧きます。髪が伸ばしっぱなしなので今は髪を後ろでひとくくりにしているからいいけど、前髪でが長くてチラチラとしか目が見えません。一見、根暗そうです。でも、話した時のギャップや、熱血っぽい所のあるギャップがとても可愛く思えますね。猫っぽい顔付きがまた‥‥うん。ジンは攻めよりの受けって感じですね。うんうん。

「お嬢?」

「ん”ん”っ!なんでもないわ。‥‥じゃあ、まずは、お湯ね。お湯は、だいたい5円玉‥‥いや、このくらいの泡がボコボコ出ている状態が目安ね。・・・・」

「ほうほう。お茶でそんなに手間があるんですねぇ。ジャンさんが一度入れているところを見せてもらいましたが当たり前にやっていて流れ作業だったので、何を意識するのか全然わからなかったんです。ありがとうございます。お嬢!」

屈託のないニッコーーっというキラキラ笑顔でお礼を言われるとなんだか妄想のオカズにしてたのに申し訳なくなってきてしまいます。すみません。そんな純真無垢な目で見ないでください‥‥。

「い、いいのよ。明日はその方法で入れて見てね。」

「はい!遅くまでありがとうございます!」

「じゃあ、私は友達に手紙を書いたら寝るからもう下がっていいわ。お休みなさい、ジン。また明日ね。」

「っ!‥‥お休みなさい。はい、また明日。」

何故かジンが泣きそうに一度、口を真一文字にしてから、噛みしめるように『お休みなさい』と言いました。
どうしたのでしょうか?不思議に思っている間にジンは足早に自室へ下がっていきました。
まぁ、何かあるんでしょう。詮索するほどの事でもないので、話したくなったら聞こうと思います。

・・・・さて。

こっちに引っ越すことになってから何度目かのジョーとディナンへの手紙です。
まだ、引っ越すことは言えずにいます。あと少しで一度、王都へ帰るってこともあるし‥‥直接伝えるほうがいいですよね?まだ、言わなくてもいいですよね?
そんな葛藤の末に、やはり手紙には書かないことにしました。
うん、だって、再来週には帰るんだし‥‥いいはずです。



はぁ。






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