ハイスペック隠れ腐女子が異世界に転生しました。~二度目の人生全力で楽しみます!~

なーさん

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第1章 この度、伯爵令嬢になりました。

38*【クロード目線】

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【クロード目線】

「旦那様、そろそろお休みになってはどうですか?」

執事のセバスチャンにお茶を出されながら困ったような顔で言われた。

「あぁ‥‥でも、これだけやってから寝るよ。先に休んでていい。ありがとう。」

「ご自分の体も大切にしなければいけませんよ?」

「わかっている。後少しで帰るんだ。それまでに終わらせれる所まで終わらせないと‥‥」

「本当に、旦那様は‥‥ふぅ。では、私は下がっていますので、何かあれば何なりとお申し付けください。」

「はは。セバスチャン。悪いね。本当に、後少しで終わらせるから。」

セバスチャンは諦めたように一つ溜息をつくと、部屋を静かに出て行った。
なんだかんだと言って、私に付き合ってくれるのはとても有り難い。
セバスチャンが出て行ったのを見送って、また執務机の上の書類を睨む。明日はチャコ達とまた遊びに行くんだから、これはやっておかなければいけない仕事なんだ。じゃないと、早く帰って来なければいけなくなってしまう。子供らと出掛けれることが少ない分、行ける時に行かないと。

・・チャコは、まだ6歳にも関わらず余りわがままを言わない。
ずっと、無理をさせて来たと思っていたが、この前の話合いでその謎が解けた。
どうやらチャコには、『前世の記憶』があるらしい。しかも、私と同じ年齢くらいまで生きたという記憶。

最初、言われた時は流石に信じきれなかった。ずっと、チャコには『隠し事』されているとは思っていたが、前世とは。いやはや、誰が予想つく?前世とか!大事なことだから、二回言ってしまった。しかも、まさか私と同じくらいの!!そりゃあ、大人びてるわ。
いままで、教えなくても知っていたり、なんでも出来てしまうチャコに驚いていたが、納得してしまった。前世のチャコも、凄く優秀な人だったのだろうな。うんうん。さすがだ、我が娘!

チャコは、この事を隠そうとは思っていなかったらしい。あくまで、『話しても信じてくれないだろう』、『そもそも何も聞かれない』から自分から積極的には言わなかっただけと言われて脱力した。まぁ、隠していたら、奇想天外な物とか作ったり、歌ったりなんかしないか。釣りの時の写真、ミディアに『印刷』してくれてプレゼントしてくれたが、まぁよく出来ている。チャコ的には『画質悪っ!』って嘆いていたが、この世界には絵しか無いわけで。こんなにそっくりそのまま、私の生き写しかのように、しかも背景までそのまま写せるのは凄すぎる。しかも、大きさも変えれるから、ロケットなどにも入れれるという‥‥なんとも便利な物か。うん、今度家族写真撮ってもらおう。そしていつでも見れる様にしておこうと思う。

ただ‥‥カメラと言う物を作ってからチャコは何かあるごとに写真を撮っている。
『全ては一期一会なんですよ!』と言いながら、カートとハンクに壁ドンと言う格好させながら鼻息荒く写真撮っていたのは異様な光景だった。なぜあの様な格好にしたのか。『次はレイ兄様がカート兄様に顎クイしているところをお願いしよう‥‥』などと呟いていたな。『顎クイ』とはなんなのか‥‥それにハンクが転んだ時とか、手当てよりも先に写真撮って『あぁ‥‥膝小僧尊い‥‥』などと変なことを呟きながら撮っていたり。うん、写真が出来てからチャコの言動がおかしくなって来ている気がする。‥‥まぁ、日常の幸せをいっぱい収めてくれているのはありがたいが‥‥もっと、普通の写真をな?チャコとリリの笑顔の写真とかそういうのを撮ってくれたりすればいいのに‥‥

うーん。ただ、やっぱり危なっかしいよな。前世で当たり前だった物を作っているとチャコは言っていた。あって当たり前すぎて無いと困るものだけを作っていると。確かにそうなんだ。チャコが作って、使ってみると便利すぎて次からはそれを使いたくなる。何故今までなかったのかが分からないほど、便利なんだ。チャコの前世はどんな世界だったのか。一度行って見たいとすら思ってしまう。鉄が空を飛ぶなどあり得るのか?結晶石ではなく、魔力量に関係なく通話ができる物があるなど信じられん。『化学』とは、魔法なんかよりもずっと優れているのでは無いだろうか?

「はぁーー‥‥」

ただ、その記憶や特殊な魔法のせいで私は大事なチャコと暮らせなくなるんだが。
天を仰ぎながら長い溜息が出る。可愛いチャコ。まだ6歳なのに親元を離れなければいけなくなるなんて‥‥だからと言って仕事があるから私がずっとこっちにいる事はできない。何かにつけて帰って来るつもりだが‥‥長く会えなくなることには変わりない。

「あーーーーいやだ。本当に、嫌だ。」

本音が思わず音になった。
でも、王家に目を付けられたらそれこそ何されるか。結婚だけならまだいい。第二王子はチャコの事を贔屓にしてくれているみたいだしな。大事にしてくれるだろう。しかし、それだけで終わるわけない。想像魔法を使って兵器を作らせたり、前世の知識を使って何やら悪い事をしたりするかもしれん。その時、伯爵家ごときが何か言ったところで誰が味方してくれる?王家だけならまだいい。後ろ暗い貴族に目を付けられでもしたら‥‥考えるだけでゾッとしてしまう。

また、長い溜息が出そうになる。‥‥目を瞑ると、チャコがこの領地に住むと言った日を思い出す。

『う、ぐす。いいえ、お父様は、私のことを思って言ってくれてるの分かってますから。だから、お父様の考えに私は従うんです。‥‥私、もっと強くなって、自分の事は自分で守れる様になります。いっぱい勉強して、変な人に使われたり利用されたりしない様に、ちゃんと学びます。こっちでも、私らしくやりたい事をいっぱいやって、こっちで出来る事を全力でやって、楽しんで見せます。だから、私は大丈夫です。領地で一人でも、やっていけます。』

泣いているのに意志の強い瞳で決意を改めるチャコは、とても6歳には思えなかった。
とても、芯の強い女の子になってくれたものだ。

「‥‥本当、お前そっくりだな。シェイ」

三年前に亡くなった妻。チャコとシェイは本当に瓜二つだ。お転婆で、物分かりがいい割に抜けてて、いざという時に本当に頼りになる。あの事故の時も、機転を利かせて自分を犠牲に家族を守って死んだ。本当、格好いい女だった。私には勿体無いくらいの。

「どうすればチャコを守れるんだろうか。」

シェイの残してくれた物は全て守る。そう決めて私は今、生きている。私が死んだ時、シェイに恥じない人間にならならないと。

チャコや、子供らを守りたい。
ただ、チャコはどうしても目立ってしまう。たった数年、領地に隠せたとしても学園に通えばどんな形であれ、いろんな奴らに目を付けられてしまうだろう‥‥そもそも、可愛すぎるんだ、チャコは。性格良し、見た目よし、振る舞い良し、気配り良し。本当に、どうしたものか。絶対、社交デビューしたらお見合い話が殺到するに決まっている。絶対、『ミス〇〇』に選ばれるに決まっている。いや、選ばない方がおかしい。あんなに可愛いんだぞ?選ばれて当然だ。絶対ビデオなるものを持っていかないと。

・・チャコには家の為ではなく、好きな人と結婚してもらいたい。それは、兄弟みんな同じく思っている。愛し愛されて、幸せな結婚をして、家族を作って欲しい。

絶対に政略結婚になんかさせない。だが、それには家に力を付けなければ、圧力で頷くしかなくなるかもしれない。だから今は、仕事を一杯して力を付けなければ。子供らのために。うん。仕事しよう。

思考を無理やり中断させて、私は執務机の上の書類を見ながら先ほどよりも早く処理していった。



◇◆◇◆◇◆


今日は、子供たちとピクニックに来た。
残念ながら、リリが少し鼻水垂らしていたからミディアとリリはお留守番だが、久々に子供らとのんびりと出掛けている。うん。とても天気も良くて今日はピクニック日和になってよかった。

「チャコ、このサンドウィッチも美味しいよ。」

レイが甲斐甲斐しくチャコのお世話をしてくれている。二人はとても仲良しだ。
一緒に来たジンとも、うまくいっているようでこの数週間でジンは、従者らしさが少しだけ出て来た。チャコも、ジンに対しては砕けた話し方をするから結構二人はいい相性だと私は思っている。

少しでも、信用できる奴をチャコのまわりに置いておきたい。チャコに助けられ、本気で怒られてなお、仕えたいと言ったジンは好都合だった。このタイミングで来てくれてとても感謝している。

「お父様、何かして遊びましょう!」

チャコが私の腕を掴んで立ち上がらせようと引っ張って来た。本気で引っ張っているわけじゃ無いが、なんてうちの子は可愛いのだろうか。本当、天使とはこの子の事だな。

「あぁ、何して遊ぶ?」

今は、丘の木陰でシートをひいて昼食を食べていた所だ。
カートとハンクも食べ終わったのか、ワクワクした顔でこちらを見ている。

「ここは何も無いですからねぇ~‥‥あ、ちょうど3対3に出来るので、『ドロケイ』やりましょうか!」

「「ドロケイ?」」

また聞いたこともない遊びをチャコが言い出した。よく、ポンポンと色んな遊びを思いつくもんだと感心さえしてしまう。特に道具がなくても、出来る気軽な遊びらしい。確かに、大人数の鬼ごっこと言われればそうなんだが‥‥まぁ、子供らはやる気満々だしやってみよう。うん、大人の意地で負けられないな!

私のドロボウチームは、レイとジンが来た。
チャコのケイサツチームは、カートとハンクだ。
年齢的にはこっちが有利か?よし、とりあえず逃げるが勝ちか。
鬼ごっこだもんな!

「レイ、ジン。絶対捕まるなよ!勝ったら、ご褒美があるらしいからな!」

レイはチャコと同じチームじゃないのが気に入らないのか余り乗り気ではなさそうだが、まぁ、レイは大丈夫だろう。負けず嫌いな所があるしな。‥‥ジンは、まさか自分も入れられるとは思ってなかったのか緊張してキョロキョロとあちこちを見て落ち着かないようだ。

「だ、旦那様、俺がいていいんでしょうか‥‥?」

おどおどとしながら困った様に助けを求められた。

「まぁ、チャコの事だ。みんなと仲良くして欲しいんだろう。いい機会だし、いいんじゃないか?。ジン、手加減は入らないから、本気で逃げ切ってチャコを見返してやれ!せっかくだ、楽しめよ!」

「は、はい!」

ジンが少しだけシャキッとして、表情が明るくなった。うんうん。子どもは子供らしく!まぁ、これもただの遊びだ。怪我さえしなければいいさ。楽しもう。

「今回は、制限時間を設けますね。長時間だとキリがないので!制限時間内に逃げ切れたらドロボウさんの勝ち、逃げ切れなかったらケイサツの勝ちってことで!では、50まで数えるのでドロボウさんは逃げてくださいね!よーーい、どん!1、2、3、‥‥」

チャコとカートとハンクが木の幹に顔を伏せて数を数えだした。
私たちも、バラけて一斉に走り出す。


◇◆◇◆◇◆


「痛い!チャコ、もう少し優しくしてくれ‥‥」

「お父様、はしゃぎすぎですよ?」

「いや、私もそう思う。なぜあんな事をしたのか‥‥」

「お父様が‥‥ま、さか‥‥木にまで登るとは‥‥ぶふ‥‥しかも、降りれないって‥‥あははっ!本当、何やってるんですか~~可笑しすぎて‥‥くふふふ」

チャコは思い出して笑いが抑えれなくなったのか薬を塗っている手がプルプルと震えていると思ったら、吹き出して笑い出した。あーもう!敢えて、した事を濁して言ったのに。ジャンにまで知られてしまったじゃないか。あぁ、これはセバスチャンにも知られるな。という事は、屋敷中に知れ渡るな‥‥はぁ、確かに何故木にまで登って逃げたのか。しかも、思ったよりも高かった。30歳目前の親父が本当に情けない。というか、恥ずかしい‥‥いい歳こいて、尻餅ついて腰を痛めるなど‥‥あぁ、歳かなぁ‥‥でも、チャコに薬を塗ってもらえるのはなんだか怪我してよかった気がするな。私の天使は本当に気がきくし、なんでも持っているな。あの小さいポーチにはどれだけのものが入っているのか。

「父上、大丈夫ですか?」

カートが心配そうに覗き込んできた。うん、心配そうではあるが、やはり笑いが堪えられてない。くそ、父の威厳が‥‥

「おい、カート。肩が笑ってるぞ。」

じとっとした目で見たらカートもその後ろにいたハンクまでもが吹き出した。あぁ、もう諦めよう。ジャンでさえ顔がニヤケている。ジンに至っては笑っちゃいけないと言い聞かせているのか可哀想なくらい顔が変な顔になっている。もういい。今日はそういう日なんだ。はしゃいだ俺が悪いさ。

「旦那様、そろそろお戻りになられますか?」

ジャンが聞いてきた。たしかに、もう日が傾きかけてきた頃だ。そろそろ帰らないとミディアにも心配かけてしまうかもしれないな。

「そうだな。片付けを頼む。」

「畏まりました。」

綺麗に一礼して、ジャンはジンを連れて片付けを始める。

「カート、レイ、チャコ、ハンク。そろそろ帰るから、忘れ物ない様に用意しなさい。」

「「はーい」」



◇◆◇◆◇◆



コンコン

夜、執務室で仕事をしていると誰かが部屋を訪ねて来た。

「はい。」

「レイです。少し、お時間いいですか?」

レイか。珍しいな。

「ん。大丈夫だ。入れ」

カチャ‥‥

「失礼します。」

「まだ寝てなかったのか。」

「はい‥‥。考え事してたら寝れなくて‥‥」

「どうした?悩み事か?セバスチャン。レイにホットミルクでも出してくれ。ついでにお茶のおかわりも頼む。」

「畏まりました。」

私はレイに椅子を勧めて座らせながらセバスチャンにお使いを頼んだ。

「ありがとうございます‥‥」

「今は二人なんだ。そんなに畏るな。で、どうした?」

「はい‥‥あの、チャコの事なんですが。」

「うん。だろうと思った。本当にレイはチャコが好きだな。」

ニヤリと笑って見せるとレイは耳まで赤くしながら頷いた。どうもチャコのまわりの男共は素直な奴が多いな。好意を隠そうともしないのが、また面白い。

「コホン。春にチャコがこっちに住むじゃないですか。それで、僕も一緒にこっちにいれたらって思ったんです。やっぱり、チャコ一人なのは寂しいんじゃないかと‥‥少しでも、知っている人がいれば寂しくないんじゃないかって思ったんです。」

「‥‥それで、レイもこっちに住むってなったと?」

「はい。」

「ん~~まぁ、レイがチャコの近くにいてくれるのは有り難いし、私も安心するな。」

「じゃあ!」

「ただ、100%チャコの為『だけ』ならやめたほうがいいと思う。」

「え‥‥なんで、ですか?」

「レイは、チャコの事を一番に考えすぎる。チャコも、それを分かっているし、甘えている部分もある。だから、レイ自身のことをちゃんと考えた上で、この領地にいる事がレイの為になるなら私は反対しないが、チャコの事だけを考えて言っているなら、お前の将来の為にもやめたほうがいいんじゃないかって思う。将来、何になりたいのか。どんな大人になって、どんな事をしたいのか、それによって学ぶことが違ってくるからな。チャコも、遊ぶ為にこっちに来るんじゃない。身を守る術を学ぶ為にこっちに来るんだ。レイが、ただチャコを甘やかしたいが為に言っているならそれは、チャコの為にならなくなるからやめて欲しいかな。」

レイは膝に乗せている拳をぎゅっと握りしめた。うーん。言い過ぎたか?でも、本当のことだしなぁ。

「レイの、チャコを思ってくれている気持ちは本当に嬉しいんだ。ただ、チャコはこれから自分で自分の事を守る事をしなければならなくなる。だから、『優しいだけ』の兄が居ては、チャコが成長できないんだよ。レイが、こっちで何を学びたいのか、何をしたいのか。レイに対しての利点がはっきり分かるまでは、一緒に居ていいとは言えないな。」

「‥‥はい。ミルク、有難うございました。」

力無くレイが立ち上がり、部屋を出て行こうと歩き出した。

「レイ。もっと考えろ。お前は頭いいんだから。好きな人を守る為にどう行動するのが良いのか、自分に何が出来るのか、ちゃんと考えて、相手の事だけじゃなく、自分の事もよく考えろ。それに、お前を必要としているのはチャコだけじゃない。カートだって、ハンクだって、リリだってお前の事を必要としているんだ。それにな?チャコやカートだけじゃなく、レイもハンクも、私の息子なんだからな?自分の幸せを一番に考えて欲しいんだ。」

レイの頭にポンポンと手を乗せて撫でてやると、レイは少し驚いたような顔をした後、力強く頷いた。

「っ!はい!考えがまとまったら‥‥また、来ても良いですか?」

「もちろん。いつでも来ていいぞ。」

「ありがとうございます!」

少しシュンとしていた背中は、シャンと背筋を伸ばして前を向いて歩いて居た。
レイも、今回のことで少しは成長できればいいな。

チャコは、優しいだけじゃ『いいお兄ちゃん』で終わってしまうからな。


あぁ、本当に子供は成長が早くて困るなぁ~~。









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