ハイスペック隠れ腐女子が異世界に転生しました。~二度目の人生全力で楽しみます!~

なーさん

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第1章 この度、伯爵令嬢になりました。

39*【ジン目線】

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【ジン目線】

俺は、ジン。最近、エヴァンス家の使用人になった者だ。
俺の主人は、ティナ・エヴァンス様だ。ティナ様はなぜか、自分の事をチャコと呼ばせる。理由は、本人曰く特に無いらしいが、旦那様曰く、前奥様がお腹の中にいた時からチャコと呼んでいたらしい。数少ない、前奥様との関わりだから、呼び方を変えたく無いんだろう、と仰られていた。だから、ティナではなく、チャコと呼ぶように言われた。と言っても、俺は『お嬢』と呼ぶことが多いが‥‥

もうすぐ、お嬢が王都へ帰る日が近づいている。
俺は当然、このエヴァンス領に残されるものと思っていたが違ったらしい。

「何言ってんの?ジンは私の従者なんだから一緒に行くに決まってるでしょ?」

さも、当然の様に用意してくれたカバンを渡されて、荷造りしろと言われた。
まさか、40秒で支度しなと言われるとは思ってなかったから、少し涙目になって10分にしてくれと言ったらお嬢に、お腹を抱えながら笑われた。いや、可笑しい事を言ったのはお嬢ですよね?40秒とか無理でしょ。酷いでしょ!酷すぎるでしょ!!?結局、三日後に出発との事でそんなに急ぐ必要はないよ。と笑って言われた時は、流石に『はぁ~~?』っと気の抜けた声を出してしまった。その反応を見たお嬢がまた、楽しそうに笑うからなんだか、まぁいいかと思ってしまうんだ。

お嬢は、よく褒めてくれる。それに、小さい事でも良く気がつく。
少しだけ上達したお茶だとか、掃除だとか、慣れない計算で正解した時とか。
前髪を切った時なんか、誰も気づかないくらい少しだけしか切ってないのにすぐに気がついてくれた。

「ジン~~!可愛い顔がよく見えるようになったねぇ~!ふふ。可愛いねぇ。似合ってるよ!」

そう言って、お嬢が頭を撫でてくれるのがとても擽ったく感じる。
この数週間しか一緒に居ないのに、こんなに心地よく感じるのはなんなのだろう。
いや、お嬢の気配りによってこの館にも居やすくなってるのはわかっているが‥‥お嬢といると、ほっこりするというか、肩の力が抜けて楽になるというか‥‥お嬢には不思議な力があるんだと思う。だって、お嬢のまわりにいる人はみんながよく笑っているから。お嬢が笑って話すから釣られてしまうんだろうけど‥‥俺も、前よりも表情が柔らかくなったとジャンさんに言われた。

少しの間、一緒にいて分かったのはお嬢は滅多な事では怒らないって事だ。
最初にあんなに怒られたから、もっと厳しい人なんだと思っていたが全然違ったらしい。
ジャンさんにも、あの病院の時に、お嬢が怒ったところを初めて見たらしくて固まったと言っていた。多分、このエヴァンス家で怒ったら一番怖い人だからもう怒らせるなと言われた。

おちゃらけて怒ったふりはしても、あんなに真剣に静かに怒ることはまずなかったらしい。
そう思うと、俺はどれだけの地雷を踏んだのか。‥‥本当は、俺の事は嫌いなんじゃないかって、旦那様に言われたから仕方なく面倒見てくれてるんだろうとわかっている。勉強みてくれたり、褒めてくれたり、ほっとけないから面倒見てくれているだけだ。

俺にだけ少し意地悪するところや、砕けて話してくれても、お嬢は早く3ヶ月が過ぎて俺とお別れしたいのかもしれない。

でも、俺はお嬢にだけついて行くと決めたし、信用にてもらえるように、最初でしくじってしまった分も含めて挽回していかなくてはならないんだ。お嬢の後ろに立つに相応しい従者‥‥いや、いつかは執事になって、雇って良かったと言ってもらいたい。その為には、お嬢よりもなんでもできる様にならなきゃいけないのに、お嬢が完璧すぎて俺がやるよりも効率いいしできる事が違いすぎて少々挫けそうになる事もある。


そんな事を思っていると、お嬢がスラスラとノートにペンを走らせて居る。興味本位で、コッソリ覗いたら異国の文字を迷いもなく書き綴っている。

「えっ」

驚いて、持って居たティーポットを落としそうになってしまった。


「わぁ!ジン!?ダメだよ!覗かないで!!」

俺の声を聞いたお嬢がこっちを向いて、慌ててノートを隠した。
耳や首まで真っ赤になって慌てるお嬢がまた可愛くて、そんなに慌てるお嬢が珍しくて。
だから、気になってしまった。

「お嬢、なんて書いてるんですか?俺も、異国の文字を覚えたいです!」

そう言った俺を、お嬢は目を見開いて驚いたと思ったら、全身から汗が噴き出してきた。
目をあちらこちらにウロウロと彷徨わせて、明らかに動揺している。

「えーーーっと、これは‥‥日記?的な?えーっと、人に見せる様なものじゃないから、このノートの内容は言えない‥‥かな。あとね、えーっと、なんて言えばいいかな‥‥あの~~‥‥うん。ジンにはまだ早いかな?うん。そうね。まずは暗算できるようになったら隣国の文字を教えるわ!!」

「?日記だから見せれないのは分かりましたけど‥‥何故隣国なんです?隣国の文字は見たことありますけどお嬢の書いてる文字じゃ無いですよね?」

「うーーーん。この文字は、特殊だから生きる上で必要ないし、ジンは知らなくていいの!まぁ、とりあえず、暗算ね!ほら、100ます計算やってなよ!」

そういって、お嬢は机の引き出しから百ます計算用の紙を数枚取り出した。
あぁー‥‥余計なこと言わなきゃ良かった‥‥

「うげっ!5枚もですか!?」

「‥‥私のノート盗み見した罰よっ!ふふ。」

「読めなかったんだからいいじゃないですか‥‥お嬢って、俺にだけ意地悪ですよね‥‥」

ジトーっとお嬢を見るとまた楽しそうに屈託無く笑うからこっちも釣られてしまう。
本当に、ズルイ人だなって思う。

「ふふ。だって、ジンの反応が面白いからつい~くふふ」

「‥‥もぅ~~まぁ、やりますけど‥‥」

渡された紙を受け取って、座るところをどうしようか考えていると

「ほら、こっちに座ってやりなよ。」

そう言ってお嬢は座って居たソファーの隣をポンポンと叩いた。
うぉ!?隣に座っていいのか!?いや、友達じゃないんだし‥‥隣になんて座ったらジャンさんに怒られそう‥‥でも、お嬢自身が言っているし‥‥どうしよう‥‥

「なによ?私の隣には座れないっていうの!?早くしなさい!」

少し強めの口調で言われて考えるよりも先にシュタッとソファーに座ると、お嬢は満足そうにまた何か書き出した。‥‥文字がわからないって知ってどうどうと書き出したのを横目で見ていると早くやれと言うように紙を指さされてしまった。

十分後・・・

「はぁ~~終わりましたァ」

グデっとしないように大きいため息を吐きつつお嬢に紙を渡すと満足そうにニコリと一つ笑ってナデナデと頭を撫でてくれる。

「うん。間違ったところは無いみたいね。上出来上出来♪」

「有難うございます‥‥」

4歳も下の子に褒められて情けないやら、嬉しいやらで照れてしまう。
こんな風に褒められたことなんか生きてきた中で一度もなくて、少しでも頑張りが認めてもらえる事がこんなに嬉しい事とは知らなかった。
エヴァンス家の人たちも、この家に仕えている人たちもみんないい人達で、こんな世界があるなんて思いもしなかった。

「ジンって、撫でられるの好き?」

「‥‥嫌いでは無いです」

「ふふ。そう、良かった。年下に撫でられて嫌がってたらどうしようかと思ったわ。ジンの髪って柔らかくて艶があって綺麗な黒髪だから好きなの。」

「そうですか?」

黒髪は珍しいらしくてあまり人に好かれる色では無い。怖いとか、不気味とかはよく言われたが‥‥『好き』とは初めて言われた。

「ね、髪いじらせてくれない?」

「え”?」

「お願い~~だって、お兄様たちやハンクは短いでしょう?将来、リリに髪を結ってあげれるようになりたいのっ!」

「そんなの‥‥侍女にやらせればいいんじゃ‥‥」

「私がやりたいのっ!‥‥ダメ?」

明らかにシュン‥‥と肩を落とすお嬢に罪悪感が湧いてくる。
く‥‥絶対俺がこの顔に弱いの分かっててやってるな‥‥

「‥‥‥‥少しだけですよ?」

「やった!」

明らかに待ってましたとばかりに櫛やら飾りやらゴムやらを出してくる。

「すぐ取りますからね!!」

「わかってるよ~~大丈夫~~ふふ。ジン、可愛くしてあげるからねーー!!」

やっぱり、6歳は6歳なんだな~‥‥まだまだお嬢も子供なんだ。良かった。

「わぁ~~っジン、前髪上げる方がカッコいいねっ!ジンの顔、こんなにちゃんと見るの初めてかも‥‥わぁ~目鼻立ちしっかりしてて結構はっきりした顔してたんたぁ‥‥イケメンさんだねぇ。へへ」

か、顔が近い!!そんな近くで‥‥満面の笑みで言わないでっ!
あぁ、絶対赤くなってる自信しかない‥‥顔熱い‥‥

「‥‥お嬢、そんなに見ないでください‥‥」

「あら、ごめんごめん。ほら、ちゃんとやりますよ~~」


◇◆◇◆◇◆


前言撤回。
誰だ、子供っぽいなんて言ったやつ。
なんだ、この手の込んだ髪型は‥‥!プロなんじゃないのか?
俺は、髪が長いと言っても肩下くらいの長さしか無いんだぞ?
なのになぜこんな複雑に髪を結えるんだ?そして、いつの間にか侍女たちも集まってきてメモ取ってるし‥‥いつの間にか髪型講座になっている。本当、お嬢は何者なんだ。

「ジン、可愛いじゃ無い!」

髪型講座に来ていた侍女が一人、思わずというように声を上げた。すると、口々に言いたいことを言い出した。

「本当、とっても似合ってるわ!」

「ジン、結構可愛らしい顔してたのね!お化粧したら女の子と間違うんじゃない?」

「あら、面白そう!チャコ様、お化粧もしてみてはいかがですか?」

「あら、いいね!やりたいっ!ジン、いい??お願いッ!」

「え”!えっと‥‥」

どう答えればいいのか分からず口ごもっていると、侍女達が意気揚々と化粧道具を持って集まってきた。

え、なんでこんなことに‥‥

「ジン、嫌なら言って?少し残念だけど‥‥我慢するから‥‥」

あぁ、もう、そんな悲しそうにしないでくれよ!断れるわけないじゃないか!もう!

「こ、今回だけですからね!」

「うんっ!」

「終わったらすぐ、顔洗いますからね!」

「もちろん!むしろ、お風呂はいって来ていいよ!!」

「‥‥有り難うございます。」

「ふふ。めちゃくちゃ可愛くしてあげるね!!」

侍女とお嬢がまたキャッキャッと俺の前で話し出した。
あぁ、もう仕方ない。お嬢に言われたら断れるわけないじゃないか。
もう、誰も入ってこない様に祈るしかない。

髪が終わったら、次はお嬢の化粧講座になった。
なんちゃらパウダーの使い方だの、骨格の活かし方だの、何故6歳児が侍女よりも知ってるんだ‥‥お嬢の話しの半分もわからなかったが、凄いってことは周りの反応で分かった。

「よし‥‥出来た!うわぁ‥‥ジン、本当可愛い。本当の女の子みたい‥‥」

「チャコ様、本当に凄いですね~‥‥化粧でここまで変えるとは‥‥」

「ジン、目大っきい‥‥どこからどう見ても女の子ですね~」

「チャコ様~~!この服、ジンに着せて見てもいいですか!?」

「もちろんっ!!今日限りだし、とことんやってもらいましょう!!ここまで可愛くなったんですもん、全て着せ替えたい!!ねっ!ジン!!」

「~~っ!!分かりましたよ!!着替えてくればいいんでしょっ!着替えれば!!」

もう、やけくそで侍女から服を受け取り、着替える為に隣の自分の部屋に行きさっさと着替えてからお嬢の部屋に戻る。すると・・・

「「っ!!」」

みんなの反応が良くわからなくて、お嬢が用意してくれていた姿見の前に立つと、見たことない自分がいた。・・・は?これが俺?

「ジン、どう?可愛いでしょう?」

「自分って思うと、可愛いとは思えないですけど‥‥凄いですね、化粧ってこんなに変わるもんなんですね。」

「ふふ。素材がいいんだよ。ナチュラルに仕上げたもん。」

「‥‥全然違って見えますけど。」

侍女達も、うんうんって頷いてるし。いやーでも、本当、化粧って怖いな~~
まじまじと姿見を凝視していると、お嬢が写真を撮り始めた。
笑って~~とか、ポーズを取らされたり、お嬢の迫力がすごくて断れない雰囲気だ。

そんな事をしていたら、ガチャとノックもしないで扉が開いた。

「チャコーー!!サッカーやろう!!」

うわ、ハンク様だ。
こんな姿見たら、笑われるんじゃないか?うわー見られたくねーなぁ‥‥そう思って、さりげなくお嬢の後ろに控えると、ハンク様は俺を見つけると目を見開いて固まった。
俺は、空気になろうと黙ったままだ。そのうち、ハンク様がお嬢を引っ張って少し距離を開て背中を向けた

「ちゃ、チャコ‥‥この子、誰だ?」

ハンク様の顔や耳、首まで赤くなっていく。‥‥ん?
めちゃくちゃ見られてる。なんだ?やっぱり、ネタにされるか?

「え?分かりませんか?」

お嬢は、ニヤニヤしながら敢えて俺の名前を出さないみたいだ。‥‥‥意地悪だなぁ。

「こんな可愛い子、初めて会ったぞ!チャコの友達か!?」

「ん~~友達‥‥ですね。」

コソコソとハンク様とお嬢が話しているのが聞こえる
声を抑えているつもりらしいハンク様は、地声が大きいから全部丸聞こえだ。
というか、ハンク様、俺に気づいてない?侍女達も笑いを堪えるのに必死だ。
だめだ、笑うな!!

「チャコ、ちゃんと紹介してくれ!!」

「ぶふっ。」

やばい、お嬢が噴き出した。‥‥つられそう‥‥。
必死なハンク様には悪いが、まさか女装姿の俺を気に入るとは‥‥

「な、何故笑う!‥‥いいだろ?お願いだ!」

「んぐっ。ふふ。ぐふふ‥‥い、いですよ?もちろん。」

もはや笑いを堪えれていないお嬢は顔の表情筋が可笑しくなっている。せっかくの可愛い顔が台無しだ。

お嬢は紹介するためなのか、俺の前にハンク様を連れてきて俺に掌らを向けた

「‥‥ハンク、こちら、私の友達の‥‥ぶふっ」

いや、いいとこで笑ったらだめだろう。ハンク様も、何が何だかわかってないじゃないか。

「友達の、ジン‥‥です。プーーーーッ!!もう可笑しすぎる!!なんでハンク、わからないのよーーー!!」

「えっ!!??ジン!?まじか!!!!」

驚きのあまり、ハンク様は口を半開き状態になってる。
お嬢の言葉に、笑いを堪えていた侍女達も笑い出した。もう、抑えられなかったらしい。
でも、うん、何故わからないのか。確かに、ハンク様とはそこまで関わったことはないし、お嬢以外だと旦那様とかブレイン様とかしか多く話したこと無いけど‥‥そんなに変わったかな?ここ最近、少しでも毎日顔合わせてるんだぞ?俺的には、違和感しか無かったが普通に見ても通用するということなのだろうか。

それもそれで、複雑っちゃ複雑だが‥‥

「ジン‥‥なのか?」

確認というように、ハンク様が話しかけてきた。

「ハイ、ハンク様。私はジンです。」

ニコリと笑って返事をすると、ハンク様の顔が見る見る真っ赤になっていく。
・・・揶揄いすぎたんじゃないか?泣きそうだぞ?ハンク様。

「・・ハンク?」

お嬢も、ハンク様の異変に気付いたのか慌ててフォローしだした。

「あ、すっごい可愛いでしょう?ジン、嫌がったんだけどね?髪を結ったら止まらなくて、つい、化粧と着せ替えまでしちゃったの!騙すつもりはなかったんだよ?ごめんね?笑っちゃって‥‥ハンク?」

「‥‥」

ハンク様は俯きながらプルプルしてる。

「ハンク様、すぐに申し出なくて申し訳ございませんでした!」

俺は勢いよく頭を下げると、ハンク様は慌てたようにこちらに寄ってきた。

「いや、俺が勘違いしたのが‥‥わからなかったのが悪かったんだ、頭を上げてくれ。‥‥とても、似合ってて、・・可愛い。」

顔を真っ赤にしながら褒めてくれると、何だか照れ臭くなって俺まで赤面が写ってしまいそうだった。

「うひゃ~~可愛いよーーー。二人が可愛すぎる!ハンクxジンも出てきたのか~~ハンクはカート兄様じゃ無かったの??まさかの三角?きゃー楽しいっ!!まさかの、カート→ハンク→ジン→?とか?きゃーっ!切なっ!!それもまた‥‥あー頬が緩む~~ビデオ回してて良かったぁ~~たはっ!」

ブツブツと、お嬢がニヤニヤして入るのが視界に入って俺は冷静で入れた。
・・・てか、お嬢、いつの間にビデオを?・・あとで消してもらおう。

「じゃ、じゃあ、俺はもう行くから‥‥」

フラフラと、ハンク様が扉の方へと向かっていって、ゆっくりと扉が閉まるのを見たあと、俺は速攻着替えと化粧を落としに行った。


その日から、少しだけハンク様に話しかけられることが増えたのは、何故だろうか。



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