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第2章この度、学生になりました。
19*【ディナン目線】その3
しおりを挟む【ディナン目線】
長い廊下を通り過ぎると一気に華やかなパーティー会場だ。
リリをエスコートしながらチャコを探す。今日はとても人が多いな。流石、宰相の誕生日パーティーと言ったところか。これではチャコを見つけるのは一苦労だ。
「チャコは、見つけましたか?」
リリがニコリと笑いながら問いかけてきた。
「いや、まだ‥‥」
辺りを見渡すと、デザートコーナーでこちらを見ていたチャコを見つけた。
・・・なんて美しいんだ。
「殿下?見つけましたか?」
見惚れていた私をリリの問いかけが現実に戻してくれた。
危ない危ない。歩くのを忘れて転げ落ちてしまうところだった。
「あ、あぁ。デザートコーナーに‥‥」
「‥‥あ、本当ですね。とても可愛らしいですね。」
「あぁ。本当に綺麗だな。」
眩しくて直視できない。緩く編まれてハーフアップにした髪が揺れていつもはほとんどしない化粧をしているからなのかとても顔立ちがはっきりしていて大人っぽく見える。‥‥チャコの隣に行ったら、私は幼く見えてしまうんじゃないだろうか‥‥?
無意味な不安がよぎる。
「‥‥リリ、私はいくつに見える?」
「はい?12歳でしょう?」
「いや、そうなんだが‥‥」
「ぶふ。もしかして、チャコがとても綺麗で大人っぽいから自分が年相応で気にしてます?」
「‥‥」
「~~っ。くふふふ。だい、じょうぶですよ、殿下も今日、カッコいいですから‥‥ふふふ」
「リリは当てにならない。」
「あら、ひどいですね。チャコに言いつけますよ?」
「あ、や、やめてくれ!」
「まぁ、殿下次第ですねぇ~」
く、フィンと同じ黒い笑いして‥‥やはり兄弟だな。弱味はなるべく見せちゃダメな奴だった。
「言いませんよー面白いんで。」
リリは、チャコを見ながらニコッと胡散臭く笑った。
・・・このように笑った時のリリは要注意なんだよな。なにか、気付いたようだが聞いたら高くつきそうだ。くっ、聞きたいが…聞けない…。
階段を降りるとチャコとジョーがこっちに来てくれた。
「リリ!とっても綺麗ね!天使が舞い降りて来たと思って見惚れちゃったよー!!」
「本当?ありがとう!私も、チャコが見えた時、可愛くて息が止まるかと思ったよ~。ね、殿下?」
「‥‥あ、あぁ。」
やばい、ぎこちなくなってしまった。ジョーはこんな時、素直にチャコに伝えれるんだがな‥‥はぁ。
それにしても‥‥チャコが目立ちすぎてるな。
周りの男どもがチラチラとうざったい視線を投げてくる。私が近くにいるから話しかけにまでは来ないが‥‥これ、離れたらダメなやつだな。なるべく周りを威嚇しようと辺りを睨むように見渡す。
「ディナン殿下、リリア様に変な虫がつかないように警戒しているのね。」
「ふふふ。とても微笑ましいわね。仲が宜しくて良いですわね。」
そんなご婦人の声が聞こえて来た。
・・・そうか、私は今日はリリのパートナーだからそう見えてしまうのか‥‥それはまずいな。
「ジョー。」
「ん?なに?」
「チャコに変な虫がつかないように気を付けてくれよ。」
「ん?当たり前でしょ?それに、俺だけじゃなくてクロードさんもレイもカートもハンクもそれは警戒済みだよ。」
チャコの家族と仲良いの羨ましい。私もチャコを守りたいんだがな‥‥。
「そうか‥‥。」
「‥‥変なとこで落ち込まないでよ。俺が何かしたみたいじゃないか。」
「わ、悪い。」
「王子が人前で謝らない。」
「あ、あぁ。」
「おどおどしない。」
「ぐ‥‥」
ジョーに的確に注意されてまた落ち込みそうになってしまう。だめだな、ネガティヴを直さなければ。
他愛もない話をしていると、曲が始まった。
よし、チャコを誘うぞ。
「あ、ダンスが始まったね。‥‥チャコ、一曲踊ってくれますか?」
「勿論です。」
流れるようにチャコがジョーに誘われて行ってしまった。
・・・やっぱり、ジョーが先だよな。パートナーだし。いま最初に踊ったら格好の噂の種だからな。よし、仕方ない。1度目は譲ろう。
次だ、次は誘うぞ。
リリと私は壁際に行ってチャコたちが戻ってくるのを待つことにした。
「殿下、いつも一歩を踏み出すのが遅いですよね。ジョーに取られてしまいますよ?」
「そんなのわかっている。」
情けなくて笑えてくる。
チャコと目があって笑いかけるとチャコもニコッと返してくれくれた。
ああ。可愛い。なぜ隣にいるのが私じゃないんだ!いや、本当にリリの言う通り、一歩遅いんだよな。ジョーが早いって言うのもあるが、私はいつもジョーの次なんだ。はぁ。
「‥‥でも、二人ってやっぱり息があっているというか、とてもお似合いだと私は思いますね。さすが幼馴染。それに、チャコも楽しそうですね。」
「‥‥‥‥あぁ。」
やばい、リリの言葉がグサグサ刺さる。‥‥泣きそうだ。
「あ、別にジョーを応援しているわけじゃないですよ?私は、中立の立場ですから。あ、強いて言えば、チャコの味方ですから。チャコが好きになった人と幸せになってほしいんで。」
確かにな。それは私も同じ気持ちだ。ただ、そのチャコの好きな人が私であれば良いのにって思うだけで。
「わかっている。」
「ほら~殿下、泣かないでくださいよ~私が虐めたみたいでしょう?」
・・・いや、虐められているような気がするんだがな。本当に、悪趣味な。
「さて。私、ちょっとお父様と話して来ますね。殿下は、早くチャコのところに行ってダンス誘って下さいね。」
「‥‥わかった。」
「ふふ。では。」
リリは、颯爽とパーティー会場から出て行った。
・・・いますぐ話しに行くなんて、どんな大事な話だ?まぁ、別に良いが。
「よし、そろそろ曲も終わるな。」
次の曲こそは‥‥‥‥
「ディナン殿下~~!!」
「っ!」
「殿下、ぜひ私と踊ってくれませんか?」
「いえ、私とっ!」
「あの、ゆっくり話せるところに二人で‥‥」
リリがいなくなったと思ったら次々と令嬢達が我先にと押しかけて来た。
くっ、意外と力が強くて‥‥無理に動くと怪我をさせてしまうか‥‥も。
結局、令嬢達が後から後から来てしまって次の曲もチャコの兄に取られてしまった‥‥はぁ。
「殿下、今日もとてもかっこいいですわ。」
「そうか。」
「殿下、彼方に美味しいケーキがございましたの。一緒に‥‥」
「いや、今はいい。」
「殿下、何か飲み物を‥‥」
「いや、大丈夫だ。」
「殿下は、ダンスは‥‥」
「私は遠慮しておくよ。」
そんな同じような質問に簡潔に答えていると2曲目が終わった。
よし、行くか‥‥
「きゃあっ!」
「ん?」
誰かが押されて私によろめいて来た。ガシッと肩を掴んで支えるとその令嬢は頬を赤らめて上目使いで此方に熱く視線を寄越してくる。うーん。君じゃないんだよな。これがチャコだったら‥‥
「って、チャコは?」
妄想になるのを無理やりやめて我に帰るとチャコが庭へ向かっていた。
・・・チャコはどこに行くんだ?一人でなんか危ないだろうに。
ジョーは‥‥あぁ、私と同じように囲まれているな。それなら、さっきチャコと踊っていたチャコの兄は‥‥あぁ、あっちもか。そうか、リリもいないし行くところがなかったのか。
む?チャコの後ろからどっかの貴族がチャコを追いかけているように見える。これは‥‥
「ちょっと失礼するよ。」
「えぇー!」
令嬢達の声を後ろで聞きつつチャコを追いかける。
何もなければ良いんだが‥‥
庭に出るとこっちだと言わんばかりにライトアップされた道があった。
「チャコもこっちに行くよな?」
一か八かその道をしばらく行くと・・・
「あーもうっ!!全然走れない!」
チャコの声が聞こえて夢中で走った。
もしかして、襲われているのか!?間に合え、間に合えっ!!
チャコの姿が見えたと思ったら自然とチャコを背にして二人の間に入った。
「チャコに触るな。」
ヒュっ ガツン
「‥‥あ。」
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