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第2章この度、学生になりました。
23*自覚すると早いのです。
しおりを挟む「うあ~なんか緊張してきた‥‥はぁ。」
『好きかも』と自覚して初めての学校です。
自転車を漕ぎながらゆっくりと学校へ向かいます。
「お嬢?なんか、嫌なことでもあるんですか?」
私がいつもよりも遅いからなのか、ため息が聞こえていたのかジンが心配そうに尋ねてきました。
「へ?いや、なんでもないよ。大丈夫。」
ニコリと笑ってジンに返事をしましたが、ジンはなんだか疑っているような視線をつ向けてきます。・・・今なんか、何も言えないでしょう。ディナンに恋したかも!なんて‥‥。仮にも、一国の王子様なんですから。それに、ジンに言ったらお父様やレイ兄様やその他にも、屋敷中に‥‥いや、下手したら領地にまで広まりそうですからね。気持ちが固まってから言うことにします。うんうん。
それに、やっぱり制服萌えの属性がある私としては捨てられないのよね。軍服萌えでドキドキしたって事かもしれないですから‥‥うん。
でも、不安だけどこの会いたくなる気持ちとか、思い出して悶えそうな気持ちは‥‥
「お嬢ーーっ!どこまで行くんですか!?」
ハッとして自転車を止めると校門をかなり過ぎてしまっていました。
あらら、ぼーっと運転したら危ないですね。気をつけないと‥‥。よかった、人通りが少ない時間で。
慌てて校門に戻って、自転車を仕舞っているとジンがまだ心配そうな顔をしています。
「本当に、何もないから安心して?じゃあ、帰りもまた宜しくね。」
「‥‥はい。何かあればすぐに駆けつけますので、絶対にすぐ連絡してくださいね。」
「わかった。ありがとう。行ってきます。」
「行ってらっしゃいませ。」
少しぎこちないながらも別れの挨拶をして私は教室に向かいました。
「ふぅ~‥‥今日も、いい天気だなぁ~。」
のんびりと廊下を歩いて教室に入ると、そこにはもう誰かが座っていました。
この時間で一番じゃなかったのは初めてです。なんだか、悔しいですね。誰よ、もう!
「って、ディナン!」
「あ、お、おはよう。チャコ。」
ディナンは、読んでいた本から視線を上げて爽やかに挨拶してくれました。
へあ!?急に!?初っ端からラスボスが来てしまった感じですか!?まだ、心の準備が!!
ていうかっ!!今まで普通だったのになんで今日、こんなにキラキラしてんですか!?え、髪型変えた!?いや、いつも通りのはずです‥‥あ、もしかして、整形した!?‥‥そんなわけないですね。ハイ。‥‥ディナンって、こんなにカッコ良かったですっけ?
あー‥‥だめだ、これはあれですね。フィルター入っちゃってます。だって、いつもの5割り増しでかっこ良く見えてしまっています。あ、目が合いました。恥ずかしい‥‥
「‥‥チャコ?」
「へあ!?お、おはよう!今日は早いね!いつも一番だから誰かいてびっくりしちゃったよ~!へへ」
「あ、あぁ‥‥チャコと、ちゃんと話したくて‥‥」
「え‥‥?」
話す!?なにを!?
「いや、この前‥‥怒って帰ってしまっただろう?リリの事があって話すタイミングもなかったし‥‥」
「え?私が?怒る?いつ?」
え、私って怒りましたっけ?
「私と踊った時‥‥私がチャコを揶揄いすぎて‥‥」
シュン‥‥としているようにも見えます。え、何この子、可愛すぎるんですけどーーっ!尻尾と犬耳が垂れてるように見えるんですけどーーっ!!あぁ‥‥エモいです。
「‥‥ちゃこ?ごめんな?」
確かに、揶揄われて思考オーバーした記憶がありますけど‥‥あ、もしかしてそれのこと言ってるんですかね?
「あ~‥‥あれは、怒ったんじゃなくて‥‥」
「え?怒ってたんじゃないのか?」
食い気味に返されてそんなに悩ませたのか、と少し罪悪感が出て来てしまいます。
「‥‥うん。なんて言うのかな、恥ずかし過ぎて、キャパオーバーして電池が切れた‥‥みたいな?だから、謝れるような事、されてないよ!私の問題!」
「ん??ごめん、よくわからな‥‥」
「えーっと‥‥、だからね、パーティーの時のディナンがかっこよ過ぎて‥‥色気もやばくって!それなのに耳元であんな‥‥嬉しいこと、言われて‥‥でも、恥ずかしくて‥‥どう反応すればいいのかわからなくて‥‥とにかくその場から逃げたくて、あんな冷たくなっちゃったの!ごめんね!!」
あぁぁぁぁ言ってしまいました。これって、告白と変わりなくないですか!?でも、だって!!なんて説明したらいいかわからなかったんですもん!!
「っ!‥‥で、では、嫌われてしまったと言うわけでは‥‥無いんだな?」
「え!?ディナンを嫌うわけないじゃない!そんな事、何があったとしてもありえないからね!?」
「‥‥そうか、嫌われてなかったか。へへ‥‥よかった。」
深いため息と共にディナンは天を仰いで髪を掻き上げて困ったようにニコッと笑ってくれました。
「ーーーーーっ!!」
思わず私は両手で顔を隠して天を仰ぎます。
あーーーなにこれ、なにこれ??天然でやる人とかいるんですね?『へへ‥‥よかった。』からのあのキラキラ笑顔!!なに?私の事、殺そうとしているのかな?キュン死にさせるつもりなのかな?今の笑顔で白米3杯はいけますよ?なんなら、水なしでもいけますよ?これ、あれですわ。今日一日、ずっと脳内再生されて悶えてしまうやつ。定期的にくる不審者がいま、爆誕しましたわ。あーーーエゲツない。何このかっこよさ。ディナンはなんなの?王子なの?あ、王子か。
「チャコ?どうした?」
「いや、なんだか神に祈りたくなっただけ‥‥気にしないで。」
「???」
挙動不審の私に少し戸惑っているディナンを見てなんだか可笑しくなって来ました。
「ふふふ。」
「どうした?」
「いや、ディナンは可愛いな~って思って。」
「っ!私は、可愛くなどない!可愛いのは‥‥チャコだろ‥‥‥?」
「え?なんて?」
「とにかく!『可愛い』とは、私にとって褒め言葉じゃない!」
「え~?怒らないでよー。もちろん、とってもカッコいいよ?本当に。」
「‥‥‥‥本当か?」
「うん。この前みたいに、髪あげてるのも正装してるのもカッコいいけど、いつものディナンが一番カッコいいなって今日思った!へへ。」
「っ!」
「あれ、ディナン様、顔真っ赤ですよ~?」
「いや、これは‥‥!チャコ、揶揄うなっ!」
「ははは。やっぱりディナン可愛い~」
「チャコ!」
やっぱり、あのドキドキは軍服萌えとか吊り橋効果なんかじゃなく‥‥本当に私、ディナンの事好きになったんですね。温かい気持ちが胸に広がっていくような、むず痒いような、じれったいような感覚がします。多分、これから大変なのかもしれないけどディナンの事諦めたくないな。
「おはよー!チャコ!ディナン殿下!」
「「おはよう!」」
二人きりの時間はあっという間に終わってしまったけど、この片思いは始まったばかりだから大切にして行きたいです。
「‥‥おはよう。」
「おはよう!ジョー!」
あれ?なんか、機嫌が悪い?というより‥‥
「ジョー、具合悪いの?大丈夫?」
「え?大丈夫だよ!まぁ、ちょっと寝不足ってだけ。」
「そう?辛くなったらすぐに言いなよ?保健室いこうね?」
「わかったよ。ありがとう、チャコ」
少しだけ、具合が悪そうなジョーを気にしつつリリと話していると先生が入ってきました。
◇◆◇◆◇◆
「チャコちゃん。ちょっと、いいかな?」
食堂でリリとご飯を食べているとフィン様に声をかけられました。
リリじゃなくて私?不思議に思いながら食べていたサンドウィッチを急いで嚥下してから返事をします。
「‥‥良いですけど。」
チラリとリリを見ると、呑気に行ってらっしゃ~いと手を振られました。
「ほら、リリもこんな感じだから大丈夫。それに‥‥」
『二人で話したいんだ。』
とコッソリ耳打ちされました。あぁ、前世の話ししたいとか?そんな感じですかね。
「分かりました。」
少しだけ呆れ気味に頷くとニッコリとフィン様は嬉しそうに笑いました。
そんなに話したいのでしょうか?まぁ、誰にでもできる話ではないですが‥‥
フィン様に連れられて、この前と同じ生徒会専用の中庭に来ました。
「いやーーちょっと、これ見て欲しくて。」
そう言って大きめの封筒を渡されました。
「これは‥‥?」
「見たらわかるよ。俺、二次創作とか初めてだったからちょっとおかしいところあるかもだけど‥‥この前、話してから書きたくて仕方なくなっちゃって。よかったら‥‥読者一号になってもらえないかな‥‥って。」
そう言われて少し急ぎみに封筒から紙の束を出すと、そこには漫画が書かれていました。
それは、前に話した時の前世の好きだったキャラクター達が描かれています。
え‥‥わざわざ書いてくれたの・・?それよりこれは‥‥
「‥‥う、うますぎません‥‥?」
「え?本当?嬉しいな。」
クオリティーが高すぎて震える!!トーンとかが無いから、全部ペンで手書きなのにさすが元イラストレーター。線の強弱で全然気になりません。私が書くと、どうしても素人感が出てしまいますがこれは、さすがプロです‥‥!比べるのが烏滸がましい程です。
「こんな‥‥貴重なの、私が最初に見ちゃっていいんですか?」
「勿論。チャコちゃんに読んで欲しくて書いたんだ。いやー、久々で腕が鈍ってて苦労したよ。」
「いや、これで!?」
「チャコちゃん、この漫画好きって言ってたからファンに見せるのは怖いんだけどさ。でも、チャコちゃんなら素直に感想聞かせてくれるかなって。それに、元ネタ知らないと楽しめないやつになっちゃったし。へへ」
「‥‥また、なゆくん達を読めるって思ってなかったから嬉しすぎます。しかも、作画もちゃんとしてて‥‥読みやすいし‥‥ぐす」
原稿を抱きしめて嬉しくてポロポロと涙が溢れました。
まさか、自分以外にも漫画を描く人がいたなんて。
「ふふふ。そんなに喜んでもらって嬉しいな。‥‥それで、お願い、なんだけど。」
ん?お願い?
私はハンカチで涙を拭きながらフィン様の顔を見ました。そこには、とっても綺麗な笑顔がこちらを見ています。え、なんか嫌な予感。
「チャコちゃんの小説、読ませてくれない?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥え?」
サァーーっと血の気が引きます。いやいや、無理でしょう!いろんな意味で、無理でしょう!!何をいきなり!?ってか、なんで私が小説書いてるって‥‥リリかっ!!うわーー。
「だからさ、よくリリに貸してるでしょ?チャコちゃんの小説!俺も、読んで見たいなって。」
「ダダダダダダダメですっっっ!!!」
「えーなんで?」
ブーっと可愛らしく唇を尖らせて抗議して来ましたが、それは無理な相談です。絶対に、むり!ヲタクって知られたのも嫌なのに腐ってるなんて同志以外に知られてはいけません。
「だって、それはっ!えっと‥‥クオリティーも低いし、文章力もないですしっ!!」
何よりがっつりBのLですし!!!最近のは年齢制限ありのBのLですし!!
「そんな気にしないよ!するわけないじゃん?」
「でも‥‥えっと‥‥恥ずかしいです‥‥ほんと、ごめんなさい‥‥」
「確かに自分が作ったのって俺も恥ずかしいよ?でも、リリには見せてるんでしょ?それにリリがとっても良かったって涙ながらに言ってることもあるからね!すごく気になってたんだ。」
リリの奴うぅぅぅぅ!!!
「‥‥‥‥じゃあ、こうしましょう!近いうちに、私も新作書いて来ます!私の推しで漫画描いてくれたから‥‥フィン様の好きなキャラで新作書いて来ますよ!誰がいいですか?」
「えぇ??ん~じゃあ、それで我慢するかぁ。チャコちゃん知ってるかな?」
「マイナーじゃなければある程度は知ってると思いますよ?」
「じゃあ、俺も好きなんだよね、運動部系!」
「じゃあ、それで!頑張って(全年齢もの)書きますね!」
その漫画は私も大好きなやつです。
でも、腐向けのしか書いたことないんですよね‥‥大丈夫かしら。でも、フィン様がこんなに素敵な漫画を書いてくれたんですもの。私も少しでも返さないとですね!
『チャコ!今どこにいる?』
急に、ディナンから連絡が来ました。
『いま‥‥中庭だよ。どうかした?』
『ジョーが階段から落ちたんだ!保健室まで来て!』
「ジョーが!?」
まさかの連絡で思わず大声出して立ち上がります。
「どうしたの?」
私の慌てようにフィン様もびっくりしています。
「と、友達が‥‥すみません、失礼します!!」
「あ、チャコちゃん!」
レディーにあるまじき事と分かりつつも全力で走ってしまいます。
走っているのに廊下がやけに長く感じてすごく不安が募ります。
ジョー‥‥朝から具合悪そうだったのに離れるんじゃなかった。お願い、無事でいて!
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