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第2章この度、学生になりました。
25*【ジョー目線】
しおりを挟む【ジョー目線】
「はぁ‥‥」
自分の部屋のベッドに身を投げて布団に顔を埋める。
泣きたいのに。まだ現実味がなくて泣けないでいる。
「俺、振られたんだよなぁ。」
深く深呼吸をして目を閉じるとさっきの不安そうなチャコを思い出す。
分かってた。
心のどこかで、チャコは俺の事を友達以上には見てないって。
でも、初恋を諦める事ができなくてどこまでも追いかけてた。ディナンが連絡が来ないって悩んでてもやっと俺だけのチャコになった気がしてわざと放っておいたんだ。チャコから俺にだけ連絡来る事も、会いに行けることも優越感でディナンと関わらないチャコが嬉しかったんだ。そんな意地悪な俺なんてチャコが好きになるわけないのに。
何年たってもディナンは一途にチャコの事を思ってて、結局チャコもディナンのことを好きになった。これは決まってた事のように二人が惹かれ合うのを感じながら見ないようにしてた。
チャコには、俺の想いは負担だっただろう。
昔、ディナンと初めてあった時からチャコがディナンに惹かれてるのも分かってても見ないふりして。いつか、俺の事だけ見てくれるんじゃないかってあり得ない期待を押し付けた。
多分、チャコはいま泣いてるんだろうな。
チャコが泣いてる時、チャコが落ち込んでる時はいつもそばにいたけど‥‥
「俺が原因じゃ隣にいる事も出来ねーな。」
コンコン
不意に扉をノックされて肩が跳ねた。
「‥‥はい。」
「失礼します。」
ガチャ
入ってきたのはウチの執事だ。頼んでもないのに何かトレーを持っている。
不思議そうに見ていたのに気付いたのか執事は柔らかく笑って説明してくれた。
「坊ちゃん、熱があると伺ったので軽食とお薬をお持ちしました。」
「熱?」
そういえば体が熱い気がするけど‥‥帰ってきてから熱なんか測ってないが‥‥
「はい。エヴァンス家の従者から連絡が来まして。お昼も食べてないようだから少し食べてから薬を飲ますようにと。チャコ様から伝えるように言われたようです。」
チャコ‥‥。
「あぁ。わかった。机に置いておいてくれ。」
「畏まりました。」
執事はトレーを机に置くと静かに部屋を出て行った。
トレーの上を見ると
「ゼリーにツナサンド‥‥はは。ほんと、チャコはお節介すぎる‥‥。」
俺の好物を出すように言ってみんな気付かなかった体調の変化まで気付いて‥‥。
「‥‥うま。」
チャコが作ってくれたヤツには及ばないけど。
例え、チャコが誰かのものになったとしても一番の友達は俺がいい。いつもそばにいられるように。大好きで仕方ないけど、チャコの為なら諦める。それがチャコが幸せになるなら‥‥
サンドウィッチとゼリーを食べてる間だけ少しだけ泣いた。
これを食べ終わったらちゃんと気持ちに区切りをつけるって言い聞かせながら。
◇◆◇◆◇◆
次の日、体調は回復した。よく寝たし、よく食べたし調子がいい。
「よし、行くか。」
パチンと自分で自分の頬を叩いて気合を入れた。
大丈夫。ちゃんと普通に出来る。俺は、チャコを祝福できる。うん。平気だ。
自分に言い聞かせて車から降りた。
教室に行くと、もうチャコもディナンも来ていた。
「あ、ジョー!もう、大丈夫なの?」
チャコが俺に気付いて走ってこちらに来た。
これだけで嬉しく思う俺はまだチャコを好きなのをやめれていない証拠だな。
でも、もうチャコを応援すると決めたんだ。諦めるって決めたんだ。いつもなら抱き締めて喜ぶけどもう、しないぞ!
「う、うん。もう平気。熱が出てるって連絡してくれてありがとうね。」
「うん。良かった。元気になって‥‥」
「チャコ!ほら、席に座ろう?」
本当に嬉しそうにするもんだからいつもみたいに触りたくなってしまう。
うぅ。我慢我慢。
いつも通り、チャコは俺の隣に座った。でも、この席順ってディナンが座りたいのを俺が取ってたんだよな。俺が隣に座るよりも、ディナンに譲ったらチャコも喜ぶんじゃないか?
「ディナン。」
「ジョー、おはよう。」
王子スマイルで挨拶された。
「おはよう。ディナン。今日、席変わってくれないか?」
「え?なんで?」
いつもは死守するのに何を企んでる?‥‥と言いたそうな顔をされた。まぁ、そう思うよな。まだディナンには振られたこと言ってないし。
「最近目が悪くなって来たから前に座りたいんだ。いいか?」
「‥‥いいけど。」
王子を移動させるなんて不躾にも程があるがまぁ、気にするような奴じゃないし。
ディナンは初めてのチャコの隣で嬉しいだろうからいいだろう。
ディナンが座っていた席に座って読みかけの本を出した。
「あら、今日はチャコに絡みにいきませんのね?」
リリにも不思議そうに聞いて来た。
・・・まぁ、いつもならな。でも、それをしてもチャコは困るだけだろうから。これからは自重しようと思う。とは言えず取り敢えず愛想笑いだけ返しておいた。
チラリと見たチャコは少しだけ元気がないような気もするけどディナンがフォローするだろう。
・
・
・
「ジョー。ちょっと、いいか?」
午前中の授業が終わり、食堂に行くと途中ディナンに呼び止められた
「ん?あぁ。チャコ、リリ。先に行ってて。」
「わかったー。」
二人に見送られてディナンについて行くといつもの空き教室に連れてこられた。
「お前、今日どうしたんだ?」
「え?」
「今日のジョー、明らかにおかしいだろ。チャコと何かあったのか?チャコもなんだか元気ないし‥‥喧嘩したんなら二人でちゃんと話し合って仲直りしろよ?」
お前がそれを言うか。っても。たしかに朝からあからさま過ぎたか?でも、今まで通りなんてチャコにとっちゃ迷惑以外の何者でもないしな‥‥どう接していいのかわからないんだから仕方がないじゃないか。
「ジョー?」
「え?あぁ。いや、喧嘩なんかしてないよ。ごめん、気を使わせて。」
「それは別にいいんだが‥‥。本当に、何かあったんじゃないのか?」
「‥‥‥‥ふられた。」
「え?」
「だから、振られたの!だから今まで通りなんて無理なの!」
「え?でも、昔から好きだった人がいるって‥‥」
「でも、それは俺じゃない。俺は昨日、はっきりと振られたからな。」
何回も言わすなよ。とちょっとイラっとしながらもディナンには伝える。
こいつ、チャコにそこまで言わせておいてまだ気付かないとか鈍感すぎねーか?
「そ、そうか‥‥‥‥でも。」
「ん?」
「友達は、友達なんだろう?」
「あぁ。もちろん。でも今は‥‥友達の距離感がわからないから‥‥ちょっとギクシャクしちゃうかも。」
「そうなのか‥‥。」
「だから、もう少し慣れるまで我慢してくれ。」
「あぁ。」
「あと‥‥チャコにそこまでヒント出されてるんなら、もっと真剣に考えろよ。少なくとも、チャコの好きなやつは俺じゃないから。」
「あ、あぁ‥‥そうなると‥‥他の候補はだれだ?‥‥うーーん。」
あ、こいつ本当に、自分の事は数に入れねぇんだな。
まぁ、これ以上俺も協力する気もないけど。
「話がこれだけなら、食堂行こう?俺は腹が減った。」
「そうだな。」
そうして俺たちは空き教室から出て食堂へ向かった。
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