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第2章この度、学生になりました。
30*一生の汚点なのです。
しおりを挟む「リリ!!ディナン!!」
ジンと一緒に急いで学校に戻って来て保健室に勢いよく飛び込みました。
「「チャコ!」」
リリの側に行き、リリを抱きしめました。
「ご、ごめんね。本当に、ゴメン!!!」
「え、チャコ?どうし‥‥」
「あたし、フィン様の様子がおかしいって‥‥分かってたのに明日でいいか‥‥って‥‥後回しにして、リリにあの時、連絡してたら‥‥ほんとう、ごめんっ!!!」
「ふふ‥‥大丈夫よ、そんなに難しい薬では無いらしいから‥‥それに、チャコもある意味では被害者でしょう?気にしないで‥‥」
「‥‥リリ。ごめん、フィン様がこんなに苦しんでるのに、私‥‥」
「リリの言う通りだ。チャコは被害者側なんだから。そんなに思い詰めるな。」
ディナンがあたしの背中をポンっと叩きました。
涙目でディナンを見ると、こんな時なのにさっき見た、ディナンとハンナ様が抱き合っている場面を思い出して胸が苦しくなります。
「う、うん‥‥。ありがと‥‥」
ディナンをちゃんと見れなくて視線を逸らしてしまいました。
そんな私を不思議そうにリリが見つめて来ます。
視線に気がついた私は、後で話すと、小さくリリに伝えました。
「お嬢、先生がお呼びです。」
「あ、うん。」
ジンに促されて保健室の隅で調合している担任の先生に近づきます。
「エヴァンスさん、あなたの体液を少しもらいたいのですが‥‥」
「た、体液‥‥ですか?」
「唾とか‥‥あ、いま泣いてるんなら涙でもいい。」
「えと、どちらでも‥‥」
「ちょっと失礼するよ。」
先生はそう言うと頬を伝っていた涙を一滴、試験管に掬いました。
「うん。これでイルハウェル君はちゃんと助かるから。」
「はい‥‥!ありがとうございます‥‥!」
滅多に笑わない担任の先生がニッコリと笑ってくれてそれだけで少し安心しました。
その後、着々と解毒薬は調合されて無事完成しました。
寝ていたフィン様を抱き起こして飲ませると見る見るうちに首の痣がなくなって行きます。
「すごい‥‥」
これが魔法薬‥‥!
ファンタジーみたい!!
「‥‥ん。」
「お兄ちゃん!!!」
「り、りあ?」
「そうだよ、大丈夫?息苦しさはない?」
「あぁ、大丈夫、だ。‥‥俺は‥‥」
「なんか、薬を盛られたらしいの。何か覚えてない?」
フィン様はボンヤリしているのかすこし考える素振りをして首を横に振りました。
「いや、桜ちゃんと話してて‥‥急に桜ちゃんが欲しくなって‥‥でも、ダメだって‥‥そしたら息苦しさが強くなって‥‥」
「桜ちゃん‥‥?」
聞きなれない名前を言われて周りにいる人達は、みんなハテナの顔をしています。
「フィン‥‥その、桜って誰だ?」
思わずと言うようにディナンがフィン様に聞きます。
「あ‥‥そうか、えと‥‥チャコちゃんだよ。ね。」
「え、あ、はい‥‥。」
急に話を振られてしどろもどろになってしまいました。
少し、驚いた顔でディナンやリリに見られて少し居た堪れないです。
でも、誰の仕業かはわかりませんが、親友の家族を危険に晒すなんて許せません。
「あ、あの、フィン様と私が話している時に、フィン様が何かに刺されたのか首をさすっている時があったんです。その後くらいから態度が変になって行ったんで、その時に薬を刺されたのか‥‥って思うんですけど‥‥」
「その時に、人影とかなにか見たりしなかった?」
「いえ‥‥特には‥‥虫が飛んでいた様子もありませんでしたし‥‥」
「そうか‥‥遠くから飛ばして刺した‥‥と考えるのが妥当か。」
「そうですねぇ。でも、それにはある程度の技術が必要ですよ?」
「技術‥‥ですか。」
「えぇ。まず、薬を凝縮させることができる事、そして、狙って飛ばして確実に当てることができる事。」
先生たちの議論を聞きながら色々と考えます。
この世界には鉄砲や拳銃というものはありませんし‥‥
飛ばす道具で考えれるのは弓矢や投げ槍‥‥あとは、吹き矢?
この中なら吹き矢が一番現実的。でも、吹き矢なんてこの世界にあるのかな?弓矢や槍は見たことあるけど‥‥
色々考えていると、先生方は仕事が残っているようなので一旦保留にして早く帰るように行って保健室を出て行きました。
リリとフィン様は迎えの従者を来るのを待って帰るそうなので、その場で別れを告げて今はディナンとジンと私の3人で廊下を歩いています。
「あの、さ。」
「うん。どうした?」
私が話しかけるとディナンは優しげな声で答えてくれます。
「えっと‥‥吹き矢って、言うものってある?」
「吹き矢?うーん‥‥王宮に行けばあるんじゃないか?」
「そっか!」
この世界にも吹き矢はあるのね!それなら、やっぱり吹き矢を使われた事が一番自然ですかね。
「吹き矢が使われたと思うのか?」
ディナンに聞かれて、私は頷きます。
「うん。だって、それが一番自然じゃない?弓矢とか槍だとそもそも大怪我するし‥‥」
「まぁ、な。それなら、打った玉か針が東屋らへんに落ちているかもしれないな。」
「確かに!」
「よし、ちょっと行って調べてみよう!」
「う、うん!!」
ディナンは私の手を引いて足早に東屋へ向かいました。
「おっと。ジン、お前はここで待っていてくれ。」
「な、なぜですか!」
「ここは生徒会専用だ。」
「なら、お嬢も駄目でしょう!」
「チャコは私といるからいいんだ。」
「なら俺だって殿下といます!」
「それは許可しない。さ、チャコ。行こうか。」
理不尽とも言える理由で一緒に行くことを許されなかったジンは凄い形相でディナンを睨んでいます。あはは‥‥
「ディナン、あんまりジンの事虐めないであげて?」
「む‥‥」
「ジンはああ見えて結構繊細なんだから。根に持つと、怖いわよ。あの子。」
「‥‥‥‥善処する。」
「ふふ。」
「だが‥‥」
「ん~?」
「こうやって二人きりなのも久々だったから‥‥つい、な。」
意外な言葉にディナンを見上げると耳が真っ赤に染まっているのが見えました。
「あたしも‥‥二人でいてれるのは、嬉しい‥‥よ?」
「っ!!」
ディナンも、私の言葉が意外だったのか驚いたように目を見開いて凝視してきました。
「‥‥そうか。」
「‥‥う、うん。」
少し気不味い空気が流れつつ、二人で歩みを進めると東屋が見えてきました。
フィン様が座っていたところを重点的に見て、ベンチの下や、フィン様が刺されていた首の角度から計算して飛ばしたであろう方向の花壇も隈なく何かないか探します。
「あの時‥‥」
「え?」
急にディナンに話しかけられました。
「あの時、フィンとは何を話していたんだ?」
「え?あー‥‥創作活動できな事?かな。ほら、よく私なにか描いてたりするじゃん。フィン様もそれ仲間って感じでさ。」
「そうか‥‥創作仲間か‥‥。」
ホッとしたような声色でディナンが呟きました。
「‥‥ディナンこそ、あの時、私見てたんだからね。」
「え?何を?」
「だから!その‥‥ディナンが‥‥ハンナ様のこと‥‥抱きしめてるの‥‥。」
「抱き‥‥?え!あ!!違うぞ!!!あれは、バートン嬢が転びそうになったのを支えただけで‥‥」
「でも!!抱き合ってるように見えたし、その時にハンナ様と目があった気がした時に、勝ち誇ったように笑われて!!!ムカついた!!」
「‥‥ムカ‥‥?」
「そもそも!なんで最近、ハンナ様と一緒にいるの?この前だって、二人で帰ってるの見たんだから!リリもその時一緒にいたんだから言い逃れはできないからね!!」
「それは、あの日、バートン嬢とぶつかってしまってな、怪我をさせてしまったようだったから車まで送っただけで‥‥」
「‥‥‥‥」
そんなの、怪我してるわけないじゃないですか!
なんなの、この鈍感男!!そんなに、よく転ぶわけないじゃないですか!!!
それで、不思議に思ってない意味がわかりません。
「ちゃ、チャコ?」
「ううん。私関係ないのに口出してごめんね。何でもない。」
「何でそんな怒ってるんだ?」
「怒ってなんか‥‥」
感情が溢れ出て、嫉妬したのが丸わかりすぎて恥ずかしくなってきます。
パタパタと熱を持った顔に風を送っていると‥‥
グイっと腕を引っ張られていつの間にかディナンに抱き締められる形になっていました。
「でぃ、なん?」
ぎゅっと抱き締められて、腕がゆるまったと思ったらコツンとおでこを合わされました。
「もしかして‥‥、ヤキモチ?」
頭一つ分大きいディナンが少し嬉しそうにハニカミながら聞いてきました。
その言葉に少し息を飲んで、一瞬視線を彷徨いながら頷きました。
「っ!チャコ!!!」
ギュウッと力一杯抱き締められて思わずディナンの背中をタップします。
「ディ、ディナン、く、苦しい!!」
「あ、っと!!ごめん、嬉しくて。」
ディナンは私の言葉に慌てて離れてしまいました。
私は、少し寂しくなってディナンの服の袖をツンツンと引っ張ります。
「チャコ?」
「‥‥や、優しくギュってして?」
「~~っ!!!あぁ!!」
ディナンに再度優しく抱き締めてもらうと、心臓がとても早くなっているのが分かりました。
「チャコ、私が抱き締めたいって思うのも、隣にいたいって思うのも、チャコだけだからな?」
「‥‥‥‥本当?」
「あぁ。昔からずっと。変わらない。チャコにだけ、特別だ。」
「‥‥うん。」
「チャコは‥‥」
「ん‥‥?」
「いや、えっと‥‥」
ディナンが顔を真っ赤にしながらなにか聞きたいのか、言おうか言わないか迷っている様子を見てとても可愛く感じてきます。
精一杯、ディナンが気持ちを伝えてくれているのが嬉しくて、私も素直な気持ちを伝えたくなってきました。
「....ディナン、好き。」
ぽろっと、溢れてしまった小さい声は密着している今の状態では聞こえてしまったようで目に見えてディナンが慌てだしました。
「っ!!チャコ、それは、えっと、どういう意味、で?だ?」
抱き締めているディナンの腕がプルプルと震えるのが分かりました。
嬉しいのか、困惑したのか、少し賭けではあるけれどさっきの言葉が聞けたなら大丈夫な気がします。私は勇気をだしてディナンに気持ちを伝えることにしました。
「ふは。だよね、そうなると思ったよ。」
私はディナンの腕から抜け出してディナンの瞳をじっと見つめました。
「私、ティナ・エヴァンスは、ディナン殿下の事をお慕い申し上げております。」
ここまで言えば、ちゃんと男の子として好きだって伝わるはずです。
「わ、私も、チャコの事をずっと好きだ‥‥。え、ほ、本当に、夢、じゃないよな?」
震える声で、ディナンは自分の頬っぺたを抓りました。
「‥‥痛い。」
「当たり前でしょ。くふふ。」
泣きそうになってるディナンの胸にギュウっと飛び込むと、ディナンは優しく、でも力強く抱き締めてくれました。
「チャコ、絶対に離さないからな。」
「うん。離さないでね。大好きだよ、ディナン。」
「あぁ、私も、大好きだ。」
キャッキャっウフフと笑いあっていると、後ろから咳払いする声が聞こえました。
「ゴホン。あ”~あ"~ゲホゲホ。ゴホン」
「‥‥ジン!!」
東屋の入り口に立っていたのは待機を言い渡されたはずのジンでした。
「お嬢、いくら何でも遅すぎだったので来てみれば‥‥。」
ディナンは見られて恥ずかしかったのかこれでもかと首まで赤くなってしまっています。可愛い。
「お、おまえ!!待機してろと言っただろう!!」
ディナンに怒鳴られても動じず、ジンは逆にディナンを少し睨みつけました。
「遅すぎて主人の事が心配になったんですよ。わかってますか?今の時間。とっくに日も暮れてますよ。いい加減にしないと、旦那様がココに飛んで来ますよ。」
ジンの言葉にハッとして辺りを見渡すといつの間にか空は日が暮れて真っ暗です。
中庭がライトアップされているのでそんなに気にならなかったけれど、これは帰ったらみんなに怒られるやつです!!
「確かに‥‥!帰らないと!!」
「‥‥じゃあ、送っていくよ。」
ディナンはそう言うと、当たり前のように手を繋いで歩き始めました。
なにこれ!!カップルみたい!!きゃーーっ!!!
「ん?これって、何ですかね?‥‥いたっ!」
内心浮かれてはしゃいでいるとジンの声が小さく聞こえました。
「どうかしたのか?」
「ジン、大丈夫?」
二人でジンの方へ振り向くと、ジンの手には5mmにも満たない小さい画鋲のような形の物を握っていました。
なんか嫌な予感がしつつ、ジンを見るとポーーっとした瞳でディナンを見つめています。
「え、もしかして‥‥?」
「うそだろ、おい‥‥」
「ディナン様‥‥‥‥!」
「やめろ、こっちに来るな!!こっちに来るなーーーーっ!!!」
「ディナン様、待って下さい!!俺と、いい事しましょう!!!」
「嫌だ!!!」
ディナンは暫くジンから逃げ惑い、ジンはとてつもなく恥ずかしい思いを味わうことになりました。
あ、ちゃんと先生を呼んで事情を説明して余ってた解毒薬でジンは無事でした。
しかし、まぁ、、この最高シチュに一人身悶えたのは言うまでもありません。
うん。次のリリへの小説のネタゲットです。
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