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第2章この度、学生になりました。
31*【ディナン目線】
しおりを挟む・・・チャコと、両想いになった。
「信じられないな‥‥まさか、チャコも私の事を‥‥」
夜、自室のベッドの上で今日あった事を思い返す。
いつも通りの日になるはずだった。
「‥‥だめだ、顔がにやけてしまう。」
チャコの事を家まで送って別れた後から顔が緩みっぱなしだ。思い出すとすぐに頬が上がってしまう。そんな私をアルバートは、生暖かい目で見てくれているので何があったかは何処かで見ていたんだと思う。
「あぁ‥‥明日にならなければチャコに会えないのか‥‥」
たったの数時間というのにとても長く感じてしまう。
連絡石で連絡してしまおうか、いや、また母上にバレたらまためんどくさい事になるかもしれない。そう思うと安易に連絡を取る事が出来なくなってしまった。幼少の頃は何も考えず、寝る時間ギリギリまで話していたり、一緒に寝落ちてしまったりしたものだが‥‥
あの頃に戻りたいな‥‥。
歳を重ねるごとに嫌な柵が増えて行く。
今日は辞めておくか‥‥?いや、でも少しでもチャコの声を聞きたいな‥‥。
そうチャコ用の連絡石を見つめて数十分。
連絡石が光った。
「ちゃ、チャコ!?」
『あ、もしもし?ディナン?え、出るの早‥‥』
思わず連絡石に飛びついてすぐに出たものだからきっとチャコも驚いたのだろう。‥‥引かれてないか?大丈夫だよな?あぁーー失敗した‥‥もう少し余裕を持ちたいんだがな‥‥
「ちょ、ちょうど、私もチャコに連絡しようとしていた所だったから‥‥」
『そうなの?ふふ。すごい偶然だね。』
「そうだな、声が聞けて嬉しい。」
チャコの飾らない笑い声を聞いて胸が暖かくなる。
チャコの声は本当に落ち着かせてくれて薬のようだ。
『私も、ディナンの声が聞きたかっただけで‥‥用事とか特にないんだけど‥‥』
なんて可愛い事を言うんだろうか、私のチャコは‥‥!
「そうか!チャコも同じ事を思ってくれてたんだな。ならもっと早く、私からかければよかったな。」
『ふふ。』
「あの、さ。」
『なに?』
「すぐにでも、父上に謁見をしてチャコとの婚約を了承してもらいたいんだが、いいかな‥‥?」
『え、もう?』
「善は急げと言うし、私もいつまでも婚約者が居ないとなるとまた誰かを当てられてしまっては困るし、なにより‥‥」
『なにより?』
「正式にチャコの隣にいていいと言う『婚約者』の肩書きが欲しいんだ。もちろん、一番は『夫』になりたいけどな‥‥今はまだそこまでは時期尚早だからな‥‥それに、チャコはモテるから‥‥心配なんだ。」
『ふふ。私、モテないよ?それに、ディナン以外に興味ないよ?』
「何を言ってるんだ!?チャコはモテる!!チャコの事を影でいいなって言っている男どもが学園に何人いると思っているんだ。そこ話を聞くたびに私の腹の中がどんどん真っ黒くなって行っているんだぞ!?」
『あはは。おおげさだなぁ。でも、私も、ディナンに他の婚約者様が居るのなんて耐えれない。うん。明日、私もお父様にお話ししておくね。』
「あぁ。必ず、チャコとの結婚を認めさせてくる。」
『うん。お願いね。じゃあ、私、もう寝るね。また明日、学校でね。』
「あぁ。おやすみ。いい夢を。」
『ふふ。ディナンもね。おやすみなさい。』
連絡石を切った後、枕に顔を埋めて叫ぶ。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
なんだこれ、なんだこれ!なんなんだ、この甘い雰囲気は!!!
やばい、幸せすぎて死にそうだ。心臓が持つ気がしない。やばい、動悸が凄くて息がしづらいぞ。
「すーーーーーはーーーーーーすーーーーーーーーはーーーーーーー」
深呼吸を何度かしたら少しだけ、本当にすこーーしだけ落ち着いてきた。
一度、自分で頬をパチンと叩いて気合を入れた。
チリン
「ディナン様、お呼びでしょうか。」
アルバートが間をおかずに部屋に入ってくる。
「一番早い日程で父上に謁見を申し込みたい。連絡しておいてくれ。」
「畏まりました。」
「それだけだ。私はもう寝る。」
「はい。お休みなさいませ、ディナン様。」
「あぁ。」
◇◆◇◆◇◆
次の日の朝、アルバートの業務連絡を聞きながら学校へ向かう。
「‥‥本日のスケジュールは以上でございます。」
「わかった。‥‥で、いつになったら父上は会えると?」
「確認しました所、三日後の早朝でしたら大丈夫と言う事です。朝ごはんを共にしようと言う事ですが、如何でしょうか?」
「三日後‥‥学校は休みの日か‥‥。分かった。朝食を共にする形で構わない。それで進めてくれ。‥‥あ。」
「いかがいたしましたか?」
「‥‥いや、なんでもない。」
朝食ということは母上も一緒か?‥‥母上も一緒に聞いてもらったほうがスムーズか?いや、しかし母上が話しててこちらの話ができなくなってしまうこともあるからな‥‥。しかし、父上の時間をこれ以上取るのは無理そうだしな‥‥。なにか、対策を考えておかなければ。
そんな事を考えているとアルバートが声をかけてきた。
「ディナン様、お気を付けて行ってらっしゃいませ。」
「あぁ。行ってくる。」
車を降りて、アルバートに見送られながら校舎を目指して歩き始める。
チャコはもう、来ているのだろうか。
早く会いたくてついつい早歩きになってしまう。
「ディナン殿下!おはようございます。」
バートン嬢が声をかけて来た。
「‥‥あぁ、おはよう。」
「朝から殿下に会えるなんてとてもいい日ですわ。宜しければ、教室の近くまでご一緒なさってもよろしいですか?」
明らかに待っていただろうにキラキラ笑顔を浮かばせて問いかけられた。
「いや、私は急いでいるんだ。では、失礼するよ。」
早々に断ってチャコ会いたさに足を進めようと一歩踏み出そうとすると‥‥
「ま、待ってくださいませ!大切なお話があるんですの!」
私の腕にバートン嬢の豊満な胸を押しつけるように抱きつかれた。
「‥‥せ。」
「え?」
潤んだ瞳で上目使いをして、聞き返される。
「汚らしい。離せと言っているんだ!!」
「きゃっ!」
気持ちが悪くて思わず思いっきり腕を振りほどいてしまってバートン嬢は転んでしまった。
「バートン嬢、君に足を止めたのは親類になるという義理だけだ。私に好意を寄せてくれてるのはわかるが、私にはもう心に決めている人がいる。その人以外には絶対にときめかないし、本当はきゃんきゃんした声で話しかけられるのも、服の上からだとしても触られるのも気持ちが悪い。」
「っ!!」
「それに、非常識だと思わないのか?大事な話があるなら事前に話ができるように申し込んだりしておかなばいけないということくらいわかるだろう?そんな色仕掛けみたいな下劣な好意をするとは心底君にはがっかりしたよ。」
「そっ!‥‥れは‥‥申し訳ございませんでした‥‥」
「まぁ、今回は蚊にさされたと思って不問にするが、二度とこのような軽率な行動は取らないでくれ。」
「は‥‥い。お気遣い、感謝いたします‥‥‥‥。」
反省しているようだから今回はここまでにして、バートン嬢に背を向け急いで教室に向かう。
「くそ。くだらない事で時間がかかってしまった。」
だから私は気付かなかった。
バートン嬢の怒りと憎しみのこもった瞳を見もしなかったから。
「‥‥許さない。絶対に‥‥。」
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