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第三十一話 正輝と岡山ダンジョンの十六階層から二十階層を攻略、そして買取り

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 階段を降りてまずは正輝が転移の柱に登録した。その後セーフティーゾーンで十六階層からの打ち合わせをする。

「僕が実際に攻略しているのはここまでなんだ。だからここからは他から取ってきた情報だからね。基本はさっきのボス部屋と同じで、パーティの構成がその都度変わっているらしい。でも魔法を使うゴブリンは二十階層のボス部屋までは出ないらしいから、今までと同じ方法で問題ないと思う。魔力は大丈夫かな。かなり魔法を使ってきたけれども」
「多分大丈夫だけど、念のため今日ドロップした初級の魔力ポーションを飲んでおこうかな。一本取ってくれ」

 ダンジョンでの拾得物は一度買取り受付に提出しなくてはならないが、消耗品に関しては探索時に使用して良い事になっている。収納からポーションを出して渡す。

「やっぱり麟瞳の収納って普通じゃあないよな」
「それは後で話すよ。とりあえず飲んで攻略をしていこう」

 この階層まで来ると探索している人とは会わない。最短の経路で二十階層を目指す。エンカウントするゴブリンパーティには正輝のアーチャーへの火魔法と僕のソードマンへの投擲してからの切り上げ攻撃がうまくはまった。危なげなく二十階層のボス部屋前まで到達した。水分補給しながら作戦を練る。

「ここはちょっと広いボス部屋で、十五から二十匹のゴブリンパーティだ。魔法を使うゴブリンメイジが居るのが特徴で逆に普通のゴブリンは出て来ない。ゴブリンアーチャーも複数いることがあるらしい」
「まず俺が後衛のゴブリンを全部倒せばいいな」
「魔法を使っている間は守りを固めた方がいいか?」
「いや、動きながら魔法を撃つから、守りは気にしなくて良い。複数いると討伐するのに時間が掛かるかも知れないから、麟瞳も攻撃が来てもいいように準備しながら前衛を倒していってくれ」

 作戦は決まった。一つ深呼吸をして部屋に入る。扉がしまって動き出す。まず正輝の一撃、メイジを狙っての攻撃だろう。こちらもソードマン目掛けて仕掛ける。近付きながらの棍棒の投擲、こちらも複数いるので投擲を繰り返す。これが結構効率が良い。武器を落としたゴブリンから切り捨てていく。回収できる武器は全部収納だ。遠距離攻撃を受けることもなく二十匹程のゴブリンはすべていなくなった。

 優秀な後衛がいると効率良く討伐できるね。まあ正輝は優秀な後衛であり、しかも最強クラスの前衛だけどね。

 ドロップアイテムの回収も大変だ。魔石だけでなくポーションや武器がかなりの数落ちている。必死に拾っていると何と金色の宝箱が出現した。しかもでかい。

「今度は金色かよ、マジで凄いな。麟瞳、今度もお前が宝箱を開けてくれ」

 ご指名が入ったので気合いを入れて宝箱を開けた。気合いは関係ないだろうけど気持ちの問題だよ。

 中にはお約束のポーションが五本ずつとウエストポーチと刀が入っていた。ウエストポーチは二度目である。前の綾芽にあげたポーチは緑色で今回は黒色だ。刀と合わせて鑑定行き決定だ。

 とりあえず二十一階層まで階段を降りて転移の柱で登録した。

「僕の収納なんだけどこの腕輪が収納道具になっているんだ。触っていれば収納できるし、思い浮かべれば出すことも出来る。ここの三階層の通路の行き当たりにあった銀色の宝箱から出てきたんだ。凄く役立っているよ」
「だよなー!棍棒をいつの間にか持ってるし、ドロップアイテムも簡単に収納してるもんな。それに時間経過もゆっくりなんだろ?弁当熱々で美味かったもんなー」
「時間経過は無いんだ」

 今日の探索はここまでということでダンジョンを出ることにする。
 
 外に出ると五時を過ぎていた。弁当の時間も入れて約八時間で二十階層を攻略できた。全て戦闘力の高い正輝のおかげである。分かっていた事だが、僕との圧倒的な差を痛感した一日になったな。

 受付に行こうとすると正輝から声が掛かる。

「買取りの受付はそっちにないぞ」
「僕は部屋での買取りになるんだ。だから受付は最初の入場受付でしてもらうようになっているんだ」

 ということで部屋まで常盤さんに案内してもらった。

「昨日はドロップアイテムが少なくて申し訳ありませんでした。今日は期待して下さい、強力な助っ人のおかげで過去最高です。中里さんも呼んでください」
「あのー、別にドロップアイテムが少なくても気にすることは無いですよ。それに凄い自信ですね、怖くなりますね。ではカゴの中にお願いします」

 カゴの中にどんどん入れていく。魔石も数がハンパない、ポーションも宝箱以外からもドロップしたからなー。棍棒、剣、弓そして杖もドロップした武器類、最後にスキルオーブとウエストポーチと刀を出すと常盤さんの顔が引き攣っている。変顔じゃあないんですか?

「しばらく時間が掛かると思います。飲み物をお持ちしますので何がいいでしょうか?」

 僕たちは二人ともアイスコーヒーを注文して待つ事にした。先にアイスコーヒーだけが届けられた。

「麟瞳はいつもここに来るのか」
「僕の収納道具って凄い特殊でしょ、だからあまり他の人に見せたくないんだよ。僕のその気持ちとドロップアイテムの多さから優遇してもらえるようになったんだ」
「確かに凄いよな。《百花繚乱》にいたときよりドロップアイテムの質が上がってるだろう」
「確かにここのところビックリするほどの運の良さだよ」

 常盤さんと中里さんが部屋に入ってきた。まず正輝と挨拶を交わして本題に入る。

「マジックアイテムは何処から入手したかお伺いしてもいいですか?」
「十五階層のボス部屋の銀色の宝箱からスキルオーブが出て来て、二十階層の金色の宝箱からウエストポーチと刀が出て来ました。」
「今回魔力ポーションがかなりの数あったんですけど、どうして入手できたのか分かりますか?」
「多分ですけど、正輝のおかげです。魔法で攻撃をするとドロップするようです。今まで僕だけだとドロップしたことがないんで、おそらくあっていると思います」
「魔法での攻撃ですか。確かにそうですね」
 
 今回はマジックアイテム以外は最初から内訳票を渡された。魔石が全部で577個で80,800円、棍棒が93本、弓が14張、使い込まれた剣が71本で綺麗な剣が23本そして杖が一本で武器の買取り金額が923,300円。初級体力ポーションが53本、初級魔力ポーションが20本、中級体力ポーションが20本で中級魔力ポーションが15本だった。合計で496,000円だった。因みに魔力ポーションは体力ポーションより3,000円ずつ高かった。中古の棍棒は買取り出来ませんという事だった。
 
「マジックアイテムの鑑定ですが、スキルオーブは火魔法です。買取り価格が二千五百万円になります。次に刀ですが、自動修復と斬撃を飛ばすことが出来る効果が付いています。こちらの買取り価格が三千万円になります。最後にマジックポーチですが、容量が二十五メートルプールぐらいの広さがあります。そして時間経過がありません。こちらの買取り価格が一億円になります」
「前にも言いましたが、この金額はあくまでもここで買い取る値段です。マジックポーチはオークションだと、どのくらいの金額になるか想像できないです」

 正輝が固まっている。とりあえず相談して何を買い取ってもらうかを決める。マジックアイテム全部と魔力ポーションを初級と中級を十本ずつ残して、他を全部買取りでお願いした。常盤さんが手続きで部屋を出て行った。

「いやー、今回の買取りは凄まじいですね。間違いなく過去最高です。それに魔力ポーションがドロップしたことも宣伝に使えます。まあ必要な人はほとんどいないでしょうが、インパクトが絶大ですね。ありがとうございました」
「僕ということがばれないようにお願いします。求人はどんな感じですか?」
「ええ、今一人の申し込みがありました。面接はお盆前には行うと言っておきましたので、都合の良い日を決めてください。こちらから申込者に連絡を入れます。それにまだ増えそうですしね」

 常盤さんが戻ってきた。

「合計1,350,100円の買取り金額から税金分の15パーセントを引いて1,147,585円になります。こちらが買取りの内訳になります。よろしければサインをお願いします」
「いつも通りカードに入金して下さい。二等分でお願いします。割れない一円は正輝にお願いします」

 ということで常盤さんが手続きをしてくれている間にマジックアイテムの所有者登録をしておこう。

 今回のマジックアイテムは正輝にマジックポーチ、僕が刀とスキルオーブを貰った。値段が釣り合っていないと言ってきたが、僕にはマジックポーチよりも刀とスキルオーブの方が魅力的で値段に関係なく欲しいと言って納得してもらった。

 スキルオーブは綾芽に見せる約束をしているので、僕の刀と正輝のマジックポーチの登録をした。

 更に新しく武器ケースを買って登録し、マジックアイテムの刀の封印をしてもらった。

 さて、晩御飯に間に合うように急いで帰ろうか。
 
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