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第2話 はじまり アラン視点(1)
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「シャルロット。俺を受け入れてくれて――俺と同時に、『試練』なのだと気付いてくれてありがとう。嬉しくてたまらないよ」
最愛の婚約者であり、運命の人の部屋に入ってすぐだった。俺は紳士然とした美しい所作で片膝を付き、彼女に向けて爽やかに微笑んだ。
――『未来の義妹』から『婚約者』に――。
この変化は、俺だけの力では起こりえなかった。俺達の想いが一つになって、初めて発生できるものだった。
その事実に対して、改めて感謝をさせてもらった。
「気付いてからは、シャルロット以外あり得なかった。もし君が俺の想いにそっぽを向いてしまっていたら、あのままベアトリスなんかと結婚をしなくてはならなかった。……それは、とてつもなく辛いこと」
想像するだけで恐ろしい。
まるで、地獄のようだった。
「シャルロット。地上一の女神であり、俺の白百合。本当に、ありがとう」
「アラン様、わたくしも同じです。嬉しくてたまりませんわ」
「ふふ、ここでもお互いの気持ちは一致してるね。さすがは俺達だ」
もう一度爽やかな笑みを浮かべながら立ち上がり、俺たちは微笑み合いながら部屋の奥へと向かう。
センスの良いシャルロットが選んだ、シンプルでありながら品もある真白のテーブルとチェア。そこへに着いた俺達は揃って椅子に座り、早速本日1つめの『お楽しみ』が幕開けることとなった。
「アラン様、どうぞ。わたくしが淹れたお茶と、昨日焼いたクッキーですわ」
「俺のために、わざわざありがとう。実はずっと楽しみしていてね、どちらもじっくりと味わわせてもらうよ」
シャルロットは『茶』と『お菓子作り』に造詣が深く、どれもとても美味しいらしい。
これまで俺達は立場上秘密裏に会わざるを得なかったこともあって、逸品を味わう機会はなかった。早々に、夢の一つが叶ったな。
「では、いただくね。…………………………。うん、美味しいっ。どれも最高だ!」
アールグレイ。この一杯には、『技術』と『愛』がたっぷりと詰まっていた。
ベアトリスが淹れたものと同じ茶葉を使っているのに、まるで違う。香りと味が鼻孔と口内を巧みにくすぐってくれて、文句なしに今まで一番のアールグレイだった。
次に、クッキー。こちらも『技術』と『愛』が、俺に未知の感動を与えてくれた。
丁寧に作られたがゆえの滑らかな食感と、控えめに存在を主張する隠れた主役ことオレンジピールの相性が素晴らしい。同じく、こんなにも美味なクッキーを食べたことはない。
「アールグレイもクッキーもベアトリスが出してくれたけど、まるで別物。比べることがおこがましいほどに、こちらは美味しかったよ」
「ふふふ、そうなのですね。アラン様、アールグレイはあと2杯、クッキーはあと4枚まで食べても問題はありません。いかがでしょうか?」
「え? ああうん。もちろんいただくよ!」
2杯と4枚。具体的な数が決まっているのが少し気になったが、体内に満ちた『幸福』がそんな些細な疑問をすぐにかき消す。
俺はシャルロットに向けて即座に頷き、楽しくお喋りをしながら――さらにアールグレイを2杯飲み、お手製クッキーを4枚を食べたのだった。
最愛の婚約者であり、運命の人の部屋に入ってすぐだった。俺は紳士然とした美しい所作で片膝を付き、彼女に向けて爽やかに微笑んだ。
――『未来の義妹』から『婚約者』に――。
この変化は、俺だけの力では起こりえなかった。俺達の想いが一つになって、初めて発生できるものだった。
その事実に対して、改めて感謝をさせてもらった。
「気付いてからは、シャルロット以外あり得なかった。もし君が俺の想いにそっぽを向いてしまっていたら、あのままベアトリスなんかと結婚をしなくてはならなかった。……それは、とてつもなく辛いこと」
想像するだけで恐ろしい。
まるで、地獄のようだった。
「シャルロット。地上一の女神であり、俺の白百合。本当に、ありがとう」
「アラン様、わたくしも同じです。嬉しくてたまりませんわ」
「ふふ、ここでもお互いの気持ちは一致してるね。さすがは俺達だ」
もう一度爽やかな笑みを浮かべながら立ち上がり、俺たちは微笑み合いながら部屋の奥へと向かう。
センスの良いシャルロットが選んだ、シンプルでありながら品もある真白のテーブルとチェア。そこへに着いた俺達は揃って椅子に座り、早速本日1つめの『お楽しみ』が幕開けることとなった。
「アラン様、どうぞ。わたくしが淹れたお茶と、昨日焼いたクッキーですわ」
「俺のために、わざわざありがとう。実はずっと楽しみしていてね、どちらもじっくりと味わわせてもらうよ」
シャルロットは『茶』と『お菓子作り』に造詣が深く、どれもとても美味しいらしい。
これまで俺達は立場上秘密裏に会わざるを得なかったこともあって、逸品を味わう機会はなかった。早々に、夢の一つが叶ったな。
「では、いただくね。…………………………。うん、美味しいっ。どれも最高だ!」
アールグレイ。この一杯には、『技術』と『愛』がたっぷりと詰まっていた。
ベアトリスが淹れたものと同じ茶葉を使っているのに、まるで違う。香りと味が鼻孔と口内を巧みにくすぐってくれて、文句なしに今まで一番のアールグレイだった。
次に、クッキー。こちらも『技術』と『愛』が、俺に未知の感動を与えてくれた。
丁寧に作られたがゆえの滑らかな食感と、控えめに存在を主張する隠れた主役ことオレンジピールの相性が素晴らしい。同じく、こんなにも美味なクッキーを食べたことはない。
「アールグレイもクッキーもベアトリスが出してくれたけど、まるで別物。比べることがおこがましいほどに、こちらは美味しかったよ」
「ふふふ、そうなのですね。アラン様、アールグレイはあと2杯、クッキーはあと4枚まで食べても問題はありません。いかがでしょうか?」
「え? ああうん。もちろんいただくよ!」
2杯と4枚。具体的な数が決まっているのが少し気になったが、体内に満ちた『幸福』がそんな些細な疑問をすぐにかき消す。
俺はシャルロットに向けて即座に頷き、楽しくお喋りをしながら――さらにアールグレイを2杯飲み、お手製クッキーを4枚を食べたのだった。
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