婚約者と妹が運命的な恋をしたそうなので、お望み通り2人で過ごせるように別れることにしました

柚木ゆず

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第6話 新たなモヤモヤ(メリッサ編) メリッサ視点(2)

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((ん~、ま、いっかぁ。チェスはたのし~し、気にせずやろっと))

 すごい迫力とテキパキ準備について聞こうと思ったけど、ちょうどセッティングが終わったからストップ。そーゆーのは後回しにして、勝負を楽しむコトにしましたっ。

「メリッサ。よろしくお願いします」
「んっ。よろしくお願いしま~すっ」

 今回もあたしが白で、後攻。勝負中は、ええっと~。チェスの本に『初心者同士の戦いなら仕掛けるチャンスがある』ってあった『フォーク』っていう技を狙って、それはビシビシッと成功っ。だから今回もず~っとあたし優位で、

「チェックメイト~っ!」

 またまた大勝利っ。ヒヤヒヤな状況は一度もなくって、完勝でしたっ。

「ふぅ~。楽しかったね~、オスカー」
「………………………………」
「??? オスカー?」

 チェスボードを、じ~っと眺めてる。どーしたんだろ?

「…………そこで打ち間違えなければ、戦局は傾かなかった。ナイトの動きを、見落としてしまっていたんだな……っ」
「あ~、ナイトってヘンテコな動きをするから分かりにくいよね~。あたしもルールを覚えたばっかの時は、何回も間違ったり勘違いしちゃったりしたよ~」

 真っすぐ2マス進んで、その左右にあるマスまで動かせる。コレ、複雑だよね~。
 特に対戦してる時は余計に頭がワチャワチャ~ってなって、うっかりが多発しちゃうのです。

「ふわ~っ。チェスは頭を使っちゃうから、疲れちゃったね~」

 椅子に座ったまま、ぐ~っと伸び。背中をぐぐっと伸ばして大きく息を吐いて、向かいにいるオスカーに首を傾ける。

「1回、休憩しよっ。今日は天気がい~し、お庭でお花とかを一緒にみよ?」
「うん、そうだね、庭に出るのはいいね。でもその前に、メリッサ。もう一回、勝負をお願いします」

 オスカーは頷きながら素早く駒をセットして、ポーンを握った両手を差し出してきた。
 ぇ、ぇぇ~。まだやるのぉ?

「オスカ~、あたし疲れたぁ。あとにしよ~よ~」
「メリッサ、お願いだよ。もう一勝負、しよう」
「え~。疲れたって、言ったよ~? お外、行こ?」
「……メリッサ、お願いします。あと一回だけで、いいから。お願いします……っ!」
「わ、分かったよ。一回だけ、だよ?」

 またまたものすごい圧を感じたから、3回目の勝負をするコトにしました。
 ふぅ、ではではやりましょうっ。今回もパパパっと倒して、お外に行くぞ~っ。

 〇〇〇

 心の中では、そう思っていたメリッサでしたが――。彼女はまもなく、唖然とすることになるのでした。
 なぜなら――

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