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第13話 もう一つの本音 マリー視点
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家の更なる安定であり発展を望む。それは、私の本心。
領民の幸せの維持。それも、私の本心。
貴族として生まれてきたからには、それらのために尽くす義務がある。尽くすべきだ。それも、私の紛れもない本心。
だから政略結婚は願ってもないもので、とても幸せなものだった。
でも――。私にはもう一つ、一度も口にしたことのない本音がある。
それは、
私の中身を愛し想ってくださる、優しい人と結婚したい。
というもの。
ロドルフ様は私を気に入ってくださっていたけれど、その理由は『大きな商会の次期会頭だから』『学院時代の活動によって高い評価を得ているから』というもの。そんな人間を隣に置いて妻に出来る、そこにしか興味を持たれていなかった。
なので最後の一つだけは満たされることがなく、それは仕方ないことだと思っていた。全部が叶うなんて、虫のいい話があるはずはないと考えていた。
けれど――。
割り切っていても、時々心の中から顔を覗かせてきてしまう。
だから――
来世というものが、本当に存在しているのかは分からないけれど。生まれ変わることができたら、今度は最後の一つを叶えたい。そちらを最優先にして、『私』をきちんと見て想ってくれる温かい人と恋をしたい。
そう思うようになっていた。
だから。
『出してしまえば、余計な混乱を招いてしまいますので。できれば一生涯隠しておくつもりでした』
絵に関するやり取りで、私に好意を持ってくださったこと。私が自分に都合の良い解釈をしてしまうからと、打ち明けてくださったこと。
それは、言葉では言い表しきれない程に幸せで。
だから、だから――
領民の幸せの維持。それも、私の本心。
貴族として生まれてきたからには、それらのために尽くす義務がある。尽くすべきだ。それも、私の紛れもない本心。
だから政略結婚は願ってもないもので、とても幸せなものだった。
でも――。私にはもう一つ、一度も口にしたことのない本音がある。
それは、
私の中身を愛し想ってくださる、優しい人と結婚したい。
というもの。
ロドルフ様は私を気に入ってくださっていたけれど、その理由は『大きな商会の次期会頭だから』『学院時代の活動によって高い評価を得ているから』というもの。そんな人間を隣に置いて妻に出来る、そこにしか興味を持たれていなかった。
なので最後の一つだけは満たされることがなく、それは仕方ないことだと思っていた。全部が叶うなんて、虫のいい話があるはずはないと考えていた。
けれど――。
割り切っていても、時々心の中から顔を覗かせてきてしまう。
だから――
来世というものが、本当に存在しているのかは分からないけれど。生まれ変わることができたら、今度は最後の一つを叶えたい。そちらを最優先にして、『私』をきちんと見て想ってくれる温かい人と恋をしたい。
そう思うようになっていた。
だから。
『出してしまえば、余計な混乱を招いてしまいますので。できれば一生涯隠しておくつもりでした』
絵に関するやり取りで、私に好意を持ってくださったこと。私が自分に都合の良い解釈をしてしまうからと、打ち明けてくださったこと。
それは、言葉では言い表しきれない程に幸せで。
だから、だから――
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