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第4話 4日後 証拠その2を得るための接触と、抱いた違和感(2)
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「カーラ。今日はね、カーラに手伝って欲しいことがあるの」
部屋に戻ると、持参していたバッグから日記帳を取り出す。これは私の生活などを記録するものではなくって、エドゥアルと交際するようになってから付け始めたもの。
偽りの日々を大喜びで記してしまっていた、とても悲しくて辛い、でも今は私の武器となってくれる一冊なのだ。
「幼馴染の頼みなんですもの、出来る限り力を貸すわ。わたくしは何をすればいいの?」
「ゆうべ追記していたらインクをどっさり撒いちゃって、何ページも1から書き直さなくちゃいけなくなっちゃったの。それで私がエドゥアルさんを婚約者として紹介した日のことが幾つかハッキリしてなくって、カーラに確認しつつ書きたかったの」
復讐に必要なものその2、『浮気相手が婚約を知っていて、その上で交際していた』という証拠。の、収集の始まりです。
「…………いいわよ。何を確認したいの?」
「まずは、カーラが私の家に来てくれた時間。『婚約者を紹介したいから来て欲しい』ってお願いしたのは、午後3時で合ってたっけ?」
相手の本性を熟知した上で接すると、これまで見えてなかったトコが見えてくる。カーラが一瞬イラっとしたのが分かったけど、知らないフリをして首を傾けた。
「ええ、午後の3時で合ってるわね。前の日に『明日カーラに、大事な話があります』ってやけに改まった連絡があったから、気になっててよく覚えてるわ」
「あはは、ごめんなさい。ほんとはね、『この人と婚約しましたっ!』って早く先に伝えたかったの。でもその日が幼馴染に紹介するのに適してるらしくって、1日の差だったからそうさせてもらいました」
その日は、大事な人に幸せのおすそ分けが出来ると言われている日。カーラ、そして『ハトの知人』さんにも幸せになってもらいたくって、私も1日間我慢したんだよね。
……あの時は……。この人は、とても大切な幼馴染だったから。
「あとはね、2つ。エドゥアルさんを紹介して、3人でお菓子を食べながらお喋りをしたよね? その時って、何を食べたんだっけ?」
「クラフティよ。あの日は、とても大事な日だもの。忘れはしないわ」
ニヤリ。
『だってその日は、わたくしとエドゥが出逢えた日なんですもの』。そう言わんばかりの微笑が一瞬だけ作られて、私はもう一度気付かないフリ。騙されているお芝居をしつつ最後の質問をして、以上でお仕舞い。
((……家で何十回も確かめているから、音はちゃんと拾えてる))
なので確実に、証拠その2は確保できた。これで、今日の目的は達成で――
「そうそう。ソフィーが席を外している時にお父様が来ていて、貴方に話があると仰ってたの。お父様はもうじき外出の予定があるから、下の書斎に顔を出してあげて頂戴」
――お代わりの紅茶が届いたタイミングで、カーラの両目が怪しく光った。
((……だとしたら……。恐らくは……っ))
オープンカフェで2人の悪口をたっぷり聞いた私には、閃くものがあった。だから、
「うん、分かったよ。ちょっと待っててね」
そっちがその気なら、それも利用させてもらう。道中でもう1度トイレを借りて録音機に『あること』を吹き込んでから、指示された場所へと向かったのでした。
部屋に戻ると、持参していたバッグから日記帳を取り出す。これは私の生活などを記録するものではなくって、エドゥアルと交際するようになってから付け始めたもの。
偽りの日々を大喜びで記してしまっていた、とても悲しくて辛い、でも今は私の武器となってくれる一冊なのだ。
「幼馴染の頼みなんですもの、出来る限り力を貸すわ。わたくしは何をすればいいの?」
「ゆうべ追記していたらインクをどっさり撒いちゃって、何ページも1から書き直さなくちゃいけなくなっちゃったの。それで私がエドゥアルさんを婚約者として紹介した日のことが幾つかハッキリしてなくって、カーラに確認しつつ書きたかったの」
復讐に必要なものその2、『浮気相手が婚約を知っていて、その上で交際していた』という証拠。の、収集の始まりです。
「…………いいわよ。何を確認したいの?」
「まずは、カーラが私の家に来てくれた時間。『婚約者を紹介したいから来て欲しい』ってお願いしたのは、午後3時で合ってたっけ?」
相手の本性を熟知した上で接すると、これまで見えてなかったトコが見えてくる。カーラが一瞬イラっとしたのが分かったけど、知らないフリをして首を傾けた。
「ええ、午後の3時で合ってるわね。前の日に『明日カーラに、大事な話があります』ってやけに改まった連絡があったから、気になっててよく覚えてるわ」
「あはは、ごめんなさい。ほんとはね、『この人と婚約しましたっ!』って早く先に伝えたかったの。でもその日が幼馴染に紹介するのに適してるらしくって、1日の差だったからそうさせてもらいました」
その日は、大事な人に幸せのおすそ分けが出来ると言われている日。カーラ、そして『ハトの知人』さんにも幸せになってもらいたくって、私も1日間我慢したんだよね。
……あの時は……。この人は、とても大切な幼馴染だったから。
「あとはね、2つ。エドゥアルさんを紹介して、3人でお菓子を食べながらお喋りをしたよね? その時って、何を食べたんだっけ?」
「クラフティよ。あの日は、とても大事な日だもの。忘れはしないわ」
ニヤリ。
『だってその日は、わたくしとエドゥが出逢えた日なんですもの』。そう言わんばかりの微笑が一瞬だけ作られて、私はもう一度気付かないフリ。騙されているお芝居をしつつ最後の質問をして、以上でお仕舞い。
((……家で何十回も確かめているから、音はちゃんと拾えてる))
なので確実に、証拠その2は確保できた。これで、今日の目的は達成で――
「そうそう。ソフィーが席を外している時にお父様が来ていて、貴方に話があると仰ってたの。お父様はもうじき外出の予定があるから、下の書斎に顔を出してあげて頂戴」
――お代わりの紅茶が届いたタイミングで、カーラの両目が怪しく光った。
((……だとしたら……。恐らくは……っ))
オープンカフェで2人の悪口をたっぷり聞いた私には、閃くものがあった。だから、
「うん、分かったよ。ちょっと待っててね」
そっちがその気なら、それも利用させてもらう。道中でもう1度トイレを借りて録音機に『あること』を吹き込んでから、指示された場所へと向かったのでした。
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