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第7話 ウィリアム編 5日目 王太子に呼ばれて、また異変 俯瞰視点(3)
しおりを挟む「??? 殿下? また、どうされたのですか?」
「ぁ、いや……。ええと、だな……。ウィリアム。今一度確認しておきたいのだが、くだんの婚約破棄はエルザ・セルメントの素行が原因だったな?」
「左様でございます。我が家の使用人達への暴言、暴行。それらが事由でございます」
急にどうしたんだ? そんな疑問を覚えましたが、相手は圧倒的に格上の王太子。ウィリアムは速やかに、相手の問いに回答しました。
「あ、ああ、そうだ。そうだったな。………………………………」
「??? バズド様?」
「で、では、更に2つ質問をする。1つ目だが……。僕と君は、どういった関係だったかな?」
「殿下とわたくし、ですか? 学舎時代からのライバルであり、親友でございます」
実際は違うがな――。お前は犬だがな――。内側ではあざ笑い、外側では光栄だと言わんばかりの微笑を携えます。
「そ、そうだな。そ、それでは最後の質問だ。5足す5は、なんだ?」
「5+5、ですか? 10でございます」
足し算だと? なんだ、この馬鹿にしたような質問は――。さっきからどうしたんだこの男は――。
理解に苦しむ言動が、多発。おもわず眉根を寄せていたウィリアムは、さすがに気になって尋ね――ようとしましたが、中断せざるを得ませんでした。なぜならばほぼ同時に部屋の扉が激しく開かれ、7人の男性が―――6人の衛兵を連れた国王・ロベルト・キテーラルがやって来たからです。
「へっ、陛下!? なっ、なぜこちらへ!?」
「………………。バズド、話がある」
国王ロベルトは、背筋を伸ばして立ち上がったウィリアムを無視。対面で同じく立ち上がっていた息子のもとへ行くと、耳打ちを行いました。
「………………………………で、間違いないな?」
「………………………………はい、父上。仰る通りです」
親子の密かな会話は、二十数秒で終了。静かに頷き合った2人は向き直り、揃ってウィリアムを見据えました。
「へ、陛下……。殿下も……。な、なぜ……。そんなにも恐ろしい顔をされているのですか……?」
「ウィリアム。僕らがこうなっている理由は、君だよ」
「数分前より突然、我々の――城内にいる者の頭に、貴様の心の声が響いてきていたのだ。……まさか貴様が、そんなにも腐った人間だったとはな」
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