姉のものを欲しがる性悪な妹に、墓穴を掘らせてみることにした

柚木ゆず

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第9話 どうしよう どう、しよう アメリ視点

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「……………………」
「……………………」

 わたしとベルお母様はお母様の自室で脱力していて、くっきりとクマが浮かんだ目で見つめ合っていた。
 どうして、こんな風になっているのかというと……。それは…………2日経っても何も浮かばないからっ!!

 あれからわたし達は死に物狂いでっ、ずっと徹夜で考えてるのっ! 学院も休んで食事も毎回5分以内に済ませて、どんな時でも考えてるの!!

 だけど、見つからないの……。
 こんな状況下じゃ、お姉様の評判を落としてわたしの評判を上げる方法が、思い浮かばなくって……。もう、妥協も仕方ないってなって……。

『アメリ……。とりあえず、ロゼの評判を下げることだけを考えましょ……』
『うん……。そうしよ……』

 そっちに切り替えるようにして、でも、それでも見つからなくって……。お父様に協力してもらっても、やっぱり出そうな気配さえもなくって……。期限はいよいよ、明日に迫っていて……。
 午後5時をさしてる掛け時計に『時間止まれ!』って祈っても、止まってくれなくって……。
 わたし達は、絶望しているの…………。

「添削は明日のお昼休みで、あと20時間しかない……。どうしよう……。どうしよう…………」
「分からない、わ……。分からないわ……。どうしましょう……。どうしましょう……」

 嘆いても、頭を抱えても、床に蹲っても、仰け反っても出てこない。
 あの様子なら、絶対に延期はしてくれなくって……。このままだったら、お仕置きされてしまう……。最悪、消されてしまうかもしれない……。

「嫌っ、そんなのいやぁぁぁ!! どうしよう!? どうしよう!?」
「わたくしだって嫌よぉぉぉ!! どっ、どうしましょう!? どうしましょう!?」

 わたし達はパニックになって抱き合い、うめき声を上げる。
 だけどやっぱり、何も変わらなくって……。頭の中が、グルグルと回転を始めて……。

 ――もう駄目――。

 ぽきんと、心が折れる。その、直前だった。

「ベルっ、アメリっ! 大急ぎで来てくれ!! たった今マエル様がいらっしゃってなっ、お前達に提案があるそうだ!!」

 お父様がノックなしでやって来て、下――応接室がある方向を、狼狽えながら指さしたのだった。
 ……ぇ……? マエル、様……?

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