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第3話 気が置けない友 エタン視点(1)
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「やあエタン。お邪魔するよ」
「ようこそ。歓迎するよ」
休日の午後3時過ぎ。自室で窓を眺めているとノックがあり、俺は来客者を笑顔で出迎えた。
彼は、ザサレフォ伯爵家の嫡男ヴァードン。この学院に入学してから出来た友人で、今ではすっかり唯一無二の親友となっている存在だ。
「予定が決まってからずっと、今日という日を楽しみにしていたよ。例のアレは間に合ったのかい?」
「ああ、ギリギリ間に合った。正午前に届いたよ」
俺とヴァードンには『コイン収集』という共通の趣味があり、定期的に互いを自室に招いてコレクションを披露し合っている。今回は俺が見せる番で、とっておきのヤツを実家から送ってもらっていたのだ。
「すぐにチェックを頼んで、ついさっきクリアして部屋に届いたんだよ。並べてあるから来てくれ」
「オーケー。どんなコインが出てくるか楽しみだ」
身分に関係なく、生徒宛に学院外から届いたものは安全のためのチェックが行われる。休日は順番待ちが多く平均して4時間ほどかかるから間に合わないかと冷や冷やしたが、こっちも良い具合に間に合ってくれた。
「きっと驚くはずだ。……これだよ。分かるかな?」
「! 分かるに決まっているさ。こいつは、『ランドレスの建国1000年記念コイン』じゃないか!」
さすがヴァードン、一目で気が付いた。テーブルの上に置かれてある銀貨は、隣国ランドレスのメモリアルを記念して発行されたもの。
今から252年前に作られた非常に希少価値の高い一枚で、現在は300万前後の価値がある。
「まさかこいつを生でお目にかかれるだなんて……! 予想以上だよ」
「俺の自慢の一つさ。これは特に入手するのに苦労したよ」
「元々数が少ないのに、ここまで状態が良いんだ。本当によく手に入ったな」
「父上の旧友が代々受け継いでいて、大切に保管していたらしいんだ。その人が俺の趣味を知り、『好きな人が持っていた方がコインも喜ぶだろう』と手放してくれたんだよ」
色々圧力をかけたが、最終的には本人がそう言ったんだ。嘘はついていない。
「なるほど……! ううん……! 良い紅茶が飲めそうだ」
「君のために最高級の茶葉を用意させた。さあ鑑賞会を始めよう」
披露した後はコインを囲み、紅茶を嗜みながら感想を語り合うのが定番。俺達はいつものようにソファーに腰をかけて目の前にある『至宝』を愛でながら、至福の時間を過ごし――
「ん? 今……?」
――過ごしていた、時だった。不意に、ヴァードンが眉をひそめたのだった。
「ようこそ。歓迎するよ」
休日の午後3時過ぎ。自室で窓を眺めているとノックがあり、俺は来客者を笑顔で出迎えた。
彼は、ザサレフォ伯爵家の嫡男ヴァードン。この学院に入学してから出来た友人で、今ではすっかり唯一無二の親友となっている存在だ。
「予定が決まってからずっと、今日という日を楽しみにしていたよ。例のアレは間に合ったのかい?」
「ああ、ギリギリ間に合った。正午前に届いたよ」
俺とヴァードンには『コイン収集』という共通の趣味があり、定期的に互いを自室に招いてコレクションを披露し合っている。今回は俺が見せる番で、とっておきのヤツを実家から送ってもらっていたのだ。
「すぐにチェックを頼んで、ついさっきクリアして部屋に届いたんだよ。並べてあるから来てくれ」
「オーケー。どんなコインが出てくるか楽しみだ」
身分に関係なく、生徒宛に学院外から届いたものは安全のためのチェックが行われる。休日は順番待ちが多く平均して4時間ほどかかるから間に合わないかと冷や冷やしたが、こっちも良い具合に間に合ってくれた。
「きっと驚くはずだ。……これだよ。分かるかな?」
「! 分かるに決まっているさ。こいつは、『ランドレスの建国1000年記念コイン』じゃないか!」
さすがヴァードン、一目で気が付いた。テーブルの上に置かれてある銀貨は、隣国ランドレスのメモリアルを記念して発行されたもの。
今から252年前に作られた非常に希少価値の高い一枚で、現在は300万前後の価値がある。
「まさかこいつを生でお目にかかれるだなんて……! 予想以上だよ」
「俺の自慢の一つさ。これは特に入手するのに苦労したよ」
「元々数が少ないのに、ここまで状態が良いんだ。本当によく手に入ったな」
「父上の旧友が代々受け継いでいて、大切に保管していたらしいんだ。その人が俺の趣味を知り、『好きな人が持っていた方がコインも喜ぶだろう』と手放してくれたんだよ」
色々圧力をかけたが、最終的には本人がそう言ったんだ。嘘はついていない。
「なるほど……! ううん……! 良い紅茶が飲めそうだ」
「君のために最高級の茶葉を用意させた。さあ鑑賞会を始めよう」
披露した後はコインを囲み、紅茶を嗜みながら感想を語り合うのが定番。俺達はいつものようにソファーに腰をかけて目の前にある『至宝』を愛でながら、至福の時間を過ごし――
「ん? 今……?」
――過ごしていた、時だった。不意に、ヴァードンが眉をひそめたのだった。
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