初恋の人を思い出して辛いから、俺の前で声を出すなと言われました

柚木ゆず

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第4話 大事件 エタン視点(1)

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「なっ、なんだ!? なんだこの音は!? ミーア姉さん来ておく――俺は何を言っているんだ……! ミーア姉さんはいないだろうが……」

 ミーア姉さんの夢を見ていたせいで、幼い頃の常套句が口をついてしまった。

「エタン様! お目覚めになられましたか!」

 何とも言えない気分になっていると、続きの部屋から従者ロランドが飛び出してきた。

「ああ、起こされたさ! なにがどうなっている!」
「ノックが行われている模様でございます。何者かが――少々お待ちを。……ノックの主は、学院長のザード様のようです」
「ザード校長!? 馬鹿な――いや……。そうらしいな……」

『エタン・レロッズくん、学院長のザードだ! 速やかにこの扉を開けて欲しい!』。慌ててドアに近づいてみると、扉の向こうからはそんな声が聞こえてきた。

「学校長がこんな朝早くに……しかも、こんな風にするだなんて……。なにがあったんだ……?」
『エタン・レロッズくんっ、学院長のザードだ! 速やかにこの扉を開けて欲しい!』
「本人に聞くのが一番、か。は、はいっ、ただいま!」

 叩き起こされて発生している大きな苛立ちは優等生の皮の下に仕舞い、姿勢を正して扉を開けた。

「校長先生、おはようござ――え!? なっ!?」

 廊下にいる校長先生の周りには、白い制服を纏った男達が――治安機関に属する者達が5人もいた。
 コイツらが現れるのは、事件が発生した時のみ。どうやら、寄宿舎内で何かが起きたらしい。

「学院長先生の動揺、腑に落ちました。僕に何のご用でしょうか? 僕にできることがありましたら、なんでも仰ってください」
「……………………」
「学院長先生?」

 さっきまであんなに俺の名前を呼んでいたというのに。なぜ急に黙る?

「ザード校長……?」
「……………………エタンくん」
「は、はい……?」
「これから、君の部屋を調べさせてもらう」
「……は? ど、どうして……?」

 おもわず、間抜けな声が出てしまった。
 俺の部屋を調べるって。そんなことをして、何になるというんだ……?

「…………思い当たる節が、あるはずだ。違うかな?」
「へ? い、いえ、ありませんよ。ないです」
「…………そうか……。わたしとしては、調べる前に自白して欲しかったのだが……。その様子では無理だな……」

 学院長は悲しげに俯き、はあと嘆息。「ならば仕方がない。わたしが言及しようではないか」と嘆き――…………。信じられないことを、言い出したのだった。


「なぜ君の部屋を調べるのか? それは…………君がこの部屋に、密輸入計画の証拠を隠し持っているからだよ」


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