初恋の人を思い出して辛いから、俺の前で声を出すなと言われました

柚木ゆず

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第6話 エタンは 俯瞰視点

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「うああああああああああああああああああ!! だせぇええええええ!! だせぇええええええええええええええええええ!!」

 あれから半年後。薄暗く狭い牢屋の中で、今日もエタンは絶叫していました。

 ――主犯・当主、懲役30年――。
 ――協力者・息子、懲役10年――。

 裁判によって、27歳になるまで外に出られなくなってしまった。しかしながらこの件・・・に関しては冤罪のため到底納得できず、毎日毎日朝から晩まで冤罪を訴えていたのでした。

「俺は――俺達は何もやっていない!! やり直せ!! 裁判をやり直せ!! 俺達を元に戻せ!! 学院にっ、貴族にっ、もどせぇえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」

 罪人となった者は、有無を言わさず貴族籍を剥奪されてしまう。刑が確定したその時から、エタンも父もは元嫡男であり元当主の平民となっていたのです。

「俺達は嵌められたんだああああああああああああああああああ!! あの証拠は偽物なんだぁああああああああああああああああああああああああ!! だせぇええええええええええええええええ!! だせぇええええええええええええええええええええええええええええええ!! だせぇええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」

 捏造されたとはいえ証拠は完璧に作られており、判決が覆る日は訪れません。
 いくら叫んでも、無駄。
 1年、2年、3年、4年、5年――諦めずに訴え続けても聞く耳を持つ者はおらず、6年目が過ぎ7年目になる頃――。ついに、エタンの心は折れてしまいました。

「…………早く、出たい……。早く、時間よ過ぎてくれ……」

 再審ではなく刑期の満了を待つようになり、牢屋の外に見える時計に祈り続けるようになった状態で8年目を迎え、

「……あと、すこし……。あとすこし……」

 まるで抜け殻のように時計を見つめながら9年目を迎え、

「や、やった……! やったぞ……! 終わった……!!」

 ついに季節が10回巡り、10年ぶりに外の大地に降り立ったのでした。

「地獄のような日々は、もう来ない……。俺はもう、自由だ……。これから、幸せになってやる……! 俺を陥れたヤツ以上に、幸せになってやる……!!」

 すっかり痩せてしまった五指を手のひらに食い込ませ、叫びすぎてガサガサになった声で天に向かって絶叫。理不尽に・・・・失った10年間を取り戻すべく、瞳の奥に怒りの炎を燃やして歩き出したエタンでしたが――




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