16 / 22
第7話 ミーア姉さん エタン視点(2)
しおりを挟む
「偽者なんて要らない……! 姉さん……。本物の姉さんにまた会いたいよ……」
姉さんがいなくなって落ち込み、どうにか立ち直ったらまた俺を苦しめる不幸が押し寄せてくる。
あまりにも理不尽な仕打ちを受け、気が付くと俺は自室で涙を流しながら独り言を口にしていた。
「結婚したいなんて、もう言わない……。そんな贅沢は言わないさ……。せめて、会って話をさせてほしいんだ……!」
『エタン、大丈夫。お姉ちゃんが来たからにはもう安心よ』
『もう泣き止んじゃった。うふふ。エタンは強い子ね』
あの頃のようにそっと抱き締めて欲しい。あの頃のように優しく笑いかけて欲しい。あの頃のように耳を幸せにして欲しい。
その日からたまらず、そう願うようになった。
「……神様、お願いします。俺の、ささやかな願いを叶えてください……!」
血が出てしまうほどに両手を握り締め、夜のとばりが下りた空へと願う。
――ミーア姉さんに会いたい――。
今自分で言ったように、このお願いはささやかなもの。微笑ましいものだった。
なので神様はきっと、簡単に叶えてくれると思っていたのに――
「冤罪だ!! 俺も父上も冤罪だ!! 真犯人がいる!! 俺達は陥れられようとしているんだっ! だっ、だれかぁああ!! だれかぁ――むご!?」
俺を待っていたのは、更なる絶望。まったく身に覚えがない罪で拘束され、なんとそのまま懲役10年という罰を受ける羽目になったのだ。
「……どうなってるんだよ……! 辛いっ、滅茶苦茶だ…… ねっ、姉さん助けてくれぇえええええ!!」
地獄のような場所に落ちてしまっているから、地獄から引っ張りあげてくれないかとお願いをした。声がまた枯れてしまうまで、その日は叫び続けた。
しかしながら結果は引き続き変わってくれず、なんと結局10年間服役してしまったのだ。
「…………姉さん、会いたいよ……。会いに、来て欲しいよ……。もうね…………顔だけでも、声だけでも、いい……。頼む……今度こそ、願いを叶えてくれ……!」
10年も服役した人間は特にこの国では就職先が見つからなくて、すっかり家亡なき者の仲間となってしまった。まともな職場で働くことさえもできず、貴族として生まれたはずの俺が残飯を漁る生活を送らざるをえなくなってしまったのだった。
「……姉さん、俺は挫けないよ……! 姉さんと再会して、人生をもう一度一変させるんだ……! 絶対に……!!」
こんな状況下でも俺は気丈に振る舞い、そんな心持ちと言動が報われたのだろう。不意に、あまりにも予想外な出来事が発生するのだった。
「!! この声は、姉さん!?」
姉さんがいなくなって落ち込み、どうにか立ち直ったらまた俺を苦しめる不幸が押し寄せてくる。
あまりにも理不尽な仕打ちを受け、気が付くと俺は自室で涙を流しながら独り言を口にしていた。
「結婚したいなんて、もう言わない……。そんな贅沢は言わないさ……。せめて、会って話をさせてほしいんだ……!」
『エタン、大丈夫。お姉ちゃんが来たからにはもう安心よ』
『もう泣き止んじゃった。うふふ。エタンは強い子ね』
あの頃のようにそっと抱き締めて欲しい。あの頃のように優しく笑いかけて欲しい。あの頃のように耳を幸せにして欲しい。
その日からたまらず、そう願うようになった。
「……神様、お願いします。俺の、ささやかな願いを叶えてください……!」
血が出てしまうほどに両手を握り締め、夜のとばりが下りた空へと願う。
――ミーア姉さんに会いたい――。
今自分で言ったように、このお願いはささやかなもの。微笑ましいものだった。
なので神様はきっと、簡単に叶えてくれると思っていたのに――
「冤罪だ!! 俺も父上も冤罪だ!! 真犯人がいる!! 俺達は陥れられようとしているんだっ! だっ、だれかぁああ!! だれかぁ――むご!?」
俺を待っていたのは、更なる絶望。まったく身に覚えがない罪で拘束され、なんとそのまま懲役10年という罰を受ける羽目になったのだ。
「……どうなってるんだよ……! 辛いっ、滅茶苦茶だ…… ねっ、姉さん助けてくれぇえええええ!!」
地獄のような場所に落ちてしまっているから、地獄から引っ張りあげてくれないかとお願いをした。声がまた枯れてしまうまで、その日は叫び続けた。
しかしながら結果は引き続き変わってくれず、なんと結局10年間服役してしまったのだ。
「…………姉さん、会いたいよ……。会いに、来て欲しいよ……。もうね…………顔だけでも、声だけでも、いい……。頼む……今度こそ、願いを叶えてくれ……!」
10年も服役した人間は特にこの国では就職先が見つからなくて、すっかり家亡なき者の仲間となってしまった。まともな職場で働くことさえもできず、貴族として生まれたはずの俺が残飯を漁る生活を送らざるをえなくなってしまったのだった。
「……姉さん、俺は挫けないよ……! 姉さんと再会して、人生をもう一度一変させるんだ……! 絶対に……!!」
こんな状況下でも俺は気丈に振る舞い、そんな心持ちと言動が報われたのだろう。不意に、あまりにも予想外な出来事が発生するのだった。
「!! この声は、姉さん!?」
182
あなたにおすすめの小説
冷遇夫がお探しの私は、隣にいます
終日ひもの干す紐
恋愛
愛人がいるなら、さっさと言ってくれればいいのに!
妻に駆け落ちされた、傷心の辺境伯ロシェのもとへ嫁いでほしい。
シャノンが王命を受け、嫁いでから一年……とんでもない場面に立ち会ってしまう。
「サフィール……またそんなふうに僕を見つめて、かわいいね」
シャノンには冷たいの夫の、甘ったるい囁き。
扉の向こうの、不貞行為。
これまでの我慢も苦労も全て無駄になり、沸々と湧き上がる怒りを、ロシェの愛猫『アンブル』に愚痴った。
まさかそれが、こんなことになるなんて!
目が覚めると『アンブル』になっていたシャノン。
猫の姿に向けられる夫からの愛情。
夫ロシェの“本当の姿”を垣間見たシャノンは……?
* * *
他のサイトにも投稿しています。
花嫁に「君を愛することはできない」と伝えた結果
藍田ひびき
恋愛
「アンジェリカ、君を愛することはできない」
結婚式の後、侯爵家の騎士のレナード・フォーブズは妻へそう告げた。彼は主君の娘、キャロライン・リンスコット侯爵令嬢を愛していたのだ。
アンジェリカの言葉には耳を貸さず、キャロラインへの『真実の愛』を貫こうとするレナードだったが――。
※ 他サイトにも投稿しています。
俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?
格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう
柚木ゆず
恋愛
「アルマ・レンザ―、光栄に思え。次期侯爵様は、お前をいたく気に入っているんだ。大人しく僕のものになれ。いいな?」
最初は柔らかな物腰で交際を提案されていた、リエズン侯爵家の嫡男・バチスタ様。ですがご自身の思い通りにならないと分かるや、その態度は一変しました。
……そうなのですね。格下は格上の命令に従わないといけない、そんなルールがあると仰るのですね。
分かりました。
ではそのルールに則り、わたしの命令に従っていただきましょう。
旦那様から彼女が身籠る間の妻でいて欲しいと言われたのでそうします。
クロユキ
恋愛
「君には悪いけど、彼女が身籠る間の妻でいて欲しい」
平民育ちのセリーヌは母親と二人で住んでいた。
セリーヌは、毎日花売りをしていた…そんなセリーヌの前に毎日花を買う一人の貴族の男性がセリーヌに求婚した。
結婚後の初夜には夫は部屋には来なかった…屋敷内に夫はいるがセリーヌは会えないまま数日が経っていた。
夫から呼び出されたセリーヌは式を上げて久しぶりに夫の顔を見たが隣には知らない女性が一緒にいた。
セリーヌは、この時初めて夫から聞かされた。
夫には愛人がいた。
愛人が身籠ればセリーヌは離婚を言い渡される…
誤字脱字があります。更新が不定期ですが読んで貰えましたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
貴方が要らないと言ったのです
藍田ひびき
恋愛
「アイリス、お前はもう必要ない」
ケヴィン・サージェント伯爵から一方的に離縁を告げられたアイリス。
彼女の実家の資金援助を目当てにした結婚だったため、財政が立て直された今では結婚を続ける意味がなくなったとケヴィンは語る。
屈辱に怒りを覚えながらも、アイリスは離縁に同意した。
しかしアイリスが去った後、伯爵家は次々と困難に見舞われていく――。
※ 他サイトにも投稿しています。
お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?
サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。
「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」
リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。
「君の回復魔法は痛い」と追放されたので、国を浄化するのをやめました
希羽
恋愛
「君の回復魔法は痛いから」と婚約破棄され、国外追放された聖女エレナ。しかし彼女の魔法は、呪いを根こそぎ消滅させる最強の聖なる焼却だった。国を見限って辺境で薬草カフェを開くと、その技術に惚れ込んだ伝説の竜王やフェンリルが常連になり、悠々自適なスローライフが始まる。
一方、エレナを追放した王国はパニックに陥っていた。新しく迎えた聖女の魔法は、ただ痛みを麻痺させるだけの「痛み止め」に過ぎず、国中に蔓延する呪いを防ぐことができなかったのだ。
原因不明の奇病、腐り落ちる騎士の腕、そして復活する魔王の封印。
「頼む、戻ってきてくれ!」と泣きつかれても、もう遅い。
私の店は世界最強の竜王様が警備しているので、王家の使いだろうと門前払いです。
※本作は「小説家になろう」でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる