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第7話 ミーア姉さん エタン視点(3)
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これまで残飯を漁っていた場所が使えなくなり、新たな場所を求めて『ランドラール』という街に移動してきて1時間ほどが経った時だった。路地を歩いていると遠くの方から、聞き覚えのある心地よい声が聞こえてきた気がしたのだった。
「……姉さんは、隣国にいるはず。この街にいるわけがない――が、だ。俺が姉さんの声を聞き逃すわけがない」
そして、聞き間違えるわけがない。
「理由は分からないが、偶然この街にいるんだ! やっぱり俺達は深い部分で結ばれているんだね姉さん!」
奇跡的な一致に感動しながら、瞑目。集中しながら、さっきの出来事を振り返る。
「ミーア姉さんの声は、どこから聞こえてきた? 姉さんの声は…………………………こっちだ! こっちから聞こえてきた!」
7時の方向から聞こえてきた。そう判断するや身を翻し、力強く地面を蹴った。
「どこだ……!? どこにいるんだ……!?」
10年経っていても、俺ならすぐに気付ける。懐かしい――もう会えないと思っていた最愛の人の姿を思い浮かべながら疾走。茜色の染まり始めた空の下を駆け、まずは大通りへと出る。
「声の大きさを考えると、もうそろそろなはずで…………この辺り、だな。ここで間違いないと思う…………が……」
周囲にいる人間全員を確認するも、発見できない。恐らく、ここに来るまでの間に移動してしまったんだ。
「どっちに行ったんだ……?」
姉さんが動いたと推測される方向は、前か後ろ。どっちだ……?
「……………………前だ」
姉さんの姿を思い浮かべていたら、ピンと閃いた。あの人はこっちに進んでいる。
「…………すぐに追いつくからね、姉さん」
こんな表情を浮かべたのは、何年ぶりになるだろう。自然と微笑みが浮かび、その表情を携えながら再び走り出した。
((姉さん。姉さん。姉さん。姉さん))
また会える喜びを胸に抱きながら大通りを進み――
「あのお店は、ええと…………あっ、ありました。ここですね」
――!!!!!!!!!! 走っていると、今度はハッキリと声が聞こえてきた。
この角を曲がった先に、ミーア姉さんがいる!
「やっと、会えるんだね……。姉さん!!」
ドクン。ドクンドクンドクンドクンドクン! 興奮により激しく脈打つ心臓の音を感じながら駆け足で角を左へと曲がり――
「久しぶりミーア姉さん! 俺だよっ、エタンだよ! 会えて嬉しい――ぁ……。ぁぁぁぁ……!!」
――満面の笑みを浮かべていた俺の顔は、一瞬にして凍り付いてしまう。
なぜ、ならば――
「お、お前はっ、シャルリー!!」
――そこにいたのは姉さんではなく、忌々しいあの女だったのだから。
「……姉さんは、隣国にいるはず。この街にいるわけがない――が、だ。俺が姉さんの声を聞き逃すわけがない」
そして、聞き間違えるわけがない。
「理由は分からないが、偶然この街にいるんだ! やっぱり俺達は深い部分で結ばれているんだね姉さん!」
奇跡的な一致に感動しながら、瞑目。集中しながら、さっきの出来事を振り返る。
「ミーア姉さんの声は、どこから聞こえてきた? 姉さんの声は…………………………こっちだ! こっちから聞こえてきた!」
7時の方向から聞こえてきた。そう判断するや身を翻し、力強く地面を蹴った。
「どこだ……!? どこにいるんだ……!?」
10年経っていても、俺ならすぐに気付ける。懐かしい――もう会えないと思っていた最愛の人の姿を思い浮かべながら疾走。茜色の染まり始めた空の下を駆け、まずは大通りへと出る。
「声の大きさを考えると、もうそろそろなはずで…………この辺り、だな。ここで間違いないと思う…………が……」
周囲にいる人間全員を確認するも、発見できない。恐らく、ここに来るまでの間に移動してしまったんだ。
「どっちに行ったんだ……?」
姉さんが動いたと推測される方向は、前か後ろ。どっちだ……?
「……………………前だ」
姉さんの姿を思い浮かべていたら、ピンと閃いた。あの人はこっちに進んでいる。
「…………すぐに追いつくからね、姉さん」
こんな表情を浮かべたのは、何年ぶりになるだろう。自然と微笑みが浮かび、その表情を携えながら再び走り出した。
((姉さん。姉さん。姉さん。姉さん))
また会える喜びを胸に抱きながら大通りを進み――
「あのお店は、ええと…………あっ、ありました。ここですね」
――!!!!!!!!!! 走っていると、今度はハッキリと声が聞こえてきた。
この角を曲がった先に、ミーア姉さんがいる!
「やっと、会えるんだね……。姉さん!!」
ドクン。ドクンドクンドクンドクンドクン! 興奮により激しく脈打つ心臓の音を感じながら駆け足で角を左へと曲がり――
「久しぶりミーア姉さん! 俺だよっ、エタンだよ! 会えて嬉しい――ぁ……。ぁぁぁぁ……!!」
――満面の笑みを浮かべていた俺の顔は、一瞬にして凍り付いてしまう。
なぜ、ならば――
「お、お前はっ、シャルリー!!」
――そこにいたのは姉さんではなく、忌々しいあの女だったのだから。
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