殿下、妃殿下。貴方がたに言われた通り、前世の怨みを晴らしに来ましたよ

柚木ゆず

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「サーヤ~っ。ちょっと手伝って頂戴~」

 祝日の、お昼。自室で伸びをしていたら、お母様がやって来た。
 やっと学舎の宿題が終わって、これから休憩しようと思ってたのに……。はぁ。タイミングが悪いなぁ。

「お母様、なあに? 何をすればいいの?」
「一階の、物置部屋の整理を手伝って欲しいのよ~。今度『ハピネ院』に寄付をする事になって、その選別をしたいの~」

 ハピネ院は、この地域にある孤児院。
 身寄りのない子供達のためなら、断れない。私は「分かった」と返事をして、お母様と一緒に部屋を出た。

「助かるわ~。パパも使用人リンダちゃん達も手が塞がってて、困ってたのよ~」

 自分達で出来る事は、極力自分達でする。自分の面倒すらみれない者が、人の上に立てるはずがない。
 それがルリタ家ウチの家訓で、その影響で使用人の数はとても少ない。同じ伯爵家と比べると半分以下で、何かをする時はいっつもこんな感じになるんだよね。

「よさそうなのを10点選んだら、終わりだから~。一緒に頑張りましょうね~」
「うん、頑張る、けど……。私、寄付していい物といけない物が、分からないよ? 適当に探して、お母様に持って行けばいいの?」
「そうだね~。とりあえず、何でも持ってきて~」
「分かった。よさそうなものがあれば、持って行くね」

 そうやって喋ってる間に物置きについて、私達は手分けをして物色を始める。
 部屋は50平方メートル近くあって、しかもそこには棚がどっさり。候補を絞るだけでも大変そうだけど、ため息をついても状況は変わらない。前を向いて、頑張ろう。

「……………あ、この食器セットはよさそうかも。お母様っ、これってどうかな?」
「ん~、採用っ。全部で…………5セットあるから、全部寄付しよう~」

「…………………お母様、洋服を詰め込んでる箱があったよ。これも、いいんじゃないかな?」
「ん~、採用っ。これも、まとめて寄付しよっか~」

 こんな風に私はドンドン調べていって、次は目の前にある古い箱を開けてみる。
 古いものは使用できないけど、売れば値が付くものが多い。こういうものも、違う意味で役に立つよね。

「この中身は……。えーと…………………あー……。ロドリグ様とレーファ様の、コインか……」

 お二人は数代前の国王夫妻で、中に入っていたのは国王誕生を祝う記念コイン。
 自分でも理由が分からないんだけど、私はこの2人が昔から大嫌い。なので独りでに大きなため息が出て、早々に蓋をした。

「王族に関するものは手放しちゃ駄目で、これは用なし。次を確認しよう」

 今度は広めの箱で、開けてみると………………。そこに収まっていたのは、古い新聞だった。

「これ、150年以上前の新聞だ。そういえばお父様が、ご先祖様はスクラップが趣味だって言ってた気がする」

 よくよく見てると、そこにあるのは号外の新聞ばかり。良いニュースのものも悪いニュースのものも沢山あって、

「あれ? なんでなんだろ……?」

 私の手は何かに導かれるように、一枚の号外を掴んだ。

「んん? 『第2王子のヴィクトルとその婚約者ミリヤが処刑』……? 私、どうしてこんなものを手にしてるんだろ……?」

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