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「サーヤからオレに話しかけてくるなんて、初めてだな。どうしたんだ?」
パーティー終了後。私は会場内にいた、やや目付きが悪くガタイの良い男性に声をかけた。
彼は東地区の貴族、アルマン・ロッゾ様。私より7歳年上の24歳で、父親の病死によって公爵家の当主を務めている男だ。
「ロッゾ様。あのお話は、今でも有効なのでしょうか?」
「あの話って……」(おいおい。まさか、あの日のアレか?)
(ええ、そうですよ。『オレと一晩付き合えよ』『そうしたら一つ、なんでも言う事を聞いてやるぞ』という、アレです)
彼は私の顔と身体をいたく気に入っていて、性欲が盛んな男。おまけに本性は厚顔無恥かつ非常識で、初対面時にいきなりこう言い出したのだ。
(伯爵家の娘とは結婚できないが、どうしてもお前とヤリたい。だから、いいだろ? 良い条件だろ? そう、仰ってましたよね)
(ああ、言った。そんでもって、ソイツは今でも有効だ。……まさか、呑む気になったのか?)
(答えは、イエスです。この身体を、好きにしていいですよ)
彼を見上げる私は、自分でも驚くくらいニッコリとしている。
これまでは絶対に嫌だったことも、今では何とも感じない。目的を果たせるのなら、なんだってやる。
(マジかっ!? そいつはラッキーだが、急にどうしたんだ? 何があったんだ?)
私は散々、嫌がっていたもんね。首を傾げるのは当然だ。
(どうしても叶えたいものが、出来たんです。自分の力ではどうにもならないから、言う事を聞いてもらいたいんですよ)
(あーね、そういう事か。ちなみにその願いってのは、なんなんだ?)
(……それに関しては、『一晩』が終わったあとにお伝えします。貴方なら可能な問題ですので、ご安心ください)
打ち明けるのは、関係を持ったあと。『私に手を出した』と瞭然な証拠を握ったあと――裏切りを防ぐ証拠を、確保したあと。
だってそうしないと、不安でたまらないんだもの。
(そか、なら交渉成立だ。ヤレるのはいつだ? 明日か? 次の週末か?)
(今夜、で構いませんよ。これから朝まで、いかがですか?)
一分一秒でも、早くアイツらを絶望に叩き落したい。早くしましょう?
(こっちの答えも、迷わずイエスだ。そうと決まれば、ウチの馬車に乗って家に行くぞっっ。お前の従者達には、オレが伝えておく。ちょっと待ってろ!)
彼は鼻息荒く嬉々として動き出し、5分ほどで戻ってきました。
なのでティリス様達にもお別れを告げて、他家の馬車に乗り込み出発。我が家のものとは大違いの豪奢な乗り物で、公爵家の豪邸を目指したのでした。
ヴィクトル様への罪悪感より、復讐への歓喜が上回ってしまっているだなんて。
身体だけではなく、心までもが……。もう……。貴方に、相応しくなくなってしまったようです……。
パーティー終了後。私は会場内にいた、やや目付きが悪くガタイの良い男性に声をかけた。
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「ロッゾ様。あのお話は、今でも有効なのでしょうか?」
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打ち明けるのは、関係を持ったあと。『私に手を出した』と瞭然な証拠を握ったあと――裏切りを防ぐ証拠を、確保したあと。
だってそうしないと、不安でたまらないんだもの。
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