殿下、妃殿下。貴方がたに言われた通り、前世の怨みを晴らしに来ましたよ

柚木ゆず

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???

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「そろそろ、ゴールか……? 終着点は、どこなんだ……?」

 あれからすでに、1時間半以上が経過。僕は引き続き夜空の下を駆けていたが、移動距離に比例して変化があった。
 目的地に近づくほどに胸の奥が熱くなっていって、今では魂が焼け付いてしまいそうな程。恐らくは、間もなく着くのだろう。

「ディフェール。あと少しだけ、頑張ってくれっっ」

 愛馬に頼み込み、直進、右折、直進、直進、左折と進行。静かな道を必死に進むと、やがて『進め』『急げ』という訴えがなくなって――。僕は、とある屋敷の前で停まった。

((ここは、ロッゾ家の邸宅だな。ここに、何があるのか……?))

 存在を悟られないよう馬を降り、歩いて門に接近。邸内を素早く見渡し、状況を確認してみる。

((到着したばかりの馬車が、あるな。他には………………変わった点は、特にないな))

 確か今夜は夜会に参加していて、時間を鑑みるに現況は何らおかしくない。なのに、本能が暴れ出す。
 そこに入って『救え』と、激しく訴えてくる。

((僕が探していたのは、人なのか……? その人を助ければ、救えるのか――と、悠長に考えている暇はなさそうだな))

 やんでいた『急げ』『間に合わせろ』が、現るようになった。しかもそれは、かつてない程に強い。
 どうやらこの停滞が、取り返しのつかない事態を招くらしい。

((…………公爵家には、簡単には立ち入れないから……。仕方ない。あの貸しを使おう))

 そう決めるや三角跳びの要領で3メートル超の門を飛び越え、敷地に降りて馬車へと疾走。広い敷地を縦断し、御者――を労っているロッゾ家の使用人に、首からかけているペンダントを見せながら近づいた。

「貴男様は……。カウスズ家の――」
「はい、そうです。現在僕は殿下の命を受けて動いておりまして、これよりとある理由で踏み込ませていただきます。家人への説明をお願い致します」

 有事の際は、自由に頼ってもいい――。その約束を使い、ロッゾ家に進入。本能のままに階段を駆け上がって、次は右。
 赤い絨毯が敷かれた廊下を走り、入る部屋は、ここだ……! 一際豪奢な扉にあるノブを――鍵がかかっているので蹴り開け、室内へと飛び込んだのだった。

「待てっ! 今すぐ止まるんだ!!」


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