殿下、妃殿下。貴方がたに言われた通り、前世の怨みを晴らしに来ましたよ

柚木ゆず

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11(2) エリル・ハーマ視点

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「ライナス・カウスズ様、サーヤ・ルリタ様。お二人に対する毒殺未遂など4つ・・の罪で、貴方がたを逮捕致します」
「抵抗および逃走の意思がありますと、こちらも強硬手段に出ざるをえなくなってしまいます。賢明なご判断を、よろしくお願い致します」

 呆気に取られていたら、更に信じれない事を言い出した。
 わたくし達が、毒殺……!? カウスズ様と、サーヤ様を……!?

「なっ、何を仰ってますのっ!? そのような真似はしていませんわっ!!」
「一切身に覚えがないぞっ!! 一体いつっ、どこでっ、凶行に及んだと言うんだっ!?」
「……時期は、1週間前。場所は、カウスズ邸でございます」
「エサト様、ハーマ様。貴方がたは、その場にいらっしゃいましたよね?」
「……あ、ああ。居た」「……え、ええ。居ましたわ」

 その日はお二人の婚約発表があって、揃って招待されていました。わたくしはリブロン会のメンバーで、アルズ様は婚約者ですから。

「その際にカウスズ様が違和感を覚え、御自身のグラスや召し上がられていた軽食の確認を行われました。その結果毒物が検出され、捜査の結果エサト様とハーマ様の犯行が明るみとなったのです」
「…………あの時不自然に場を離れたのは、そういう事だったのか……。だっ、だが待ってくれ! 俺達はそんな真似はしていないっ! 俺もエリルも、純粋にお二人の婚約を祝っていただけだ!」

 友人を祝賦する為に、参加をしていました。他意は、微塵もありません。

「そもそもっ! わたくし達には動機がありませんわっ。なぜサーヤ様達を殺害する必要がありますのっ!?」
「そうだ!! 理由はなんだ!? なんだというのだ!?」
「あなた方が、殺害を目論んだ理由。それは、カウスズ様達が気付きかけてしまったからですよ」
「エサト家が最高責任者となっている、公共事業。本来公平でなければならないその問題で、貴方がたは『贔屓』をしてしまった」
「とある商人から希少な宝石など賄賂を受け取り、その関係者に多く仕事が回るようにしていた。しかしながらカウスズ様が怪しみ始め、ルリタ様も協力をされていた。リブロン会を利用して、探ろうとしていたのです」
「偶然にもそれを知った貴方がたは、隠蔽を図るものの困難と判断。元凶となるお二人を消すと決め、大勢が集まる――犯人の特定が困難なあの場で、仕掛けたのですよ」

 証拠は全て、揃っています――。言い逃れは不可能ですよ――。
 彼らは堂々と、訳の分からない事を言い放った。

「君達、それは何かの間違いっ! 大間違いだ!! 俺達は何一つやっていない!!」
「再調査を求めますわっ!! しっかりと確認作業を行えば、すぐに無実と――」
「お言葉ですが、この件に関して抜かりはございません。なぜならばこの案件は、陛下が指揮を執られておりますので」

 ……………。
 陛下、が……?

「貴族、それも侯爵家と公爵家が関わり、根底には公共事業――国が関係する問題が、ありますからね。陛下の指示のもと細心の注意を払い、犯人を間違いなく突き止めているのですよ」
「先程申し上げましたように、すでに言い逃れは不可能となっております。……アルズ・エサト様、エリル・ハーマ様。御同行をお願い致します」
「こっ、断る!! 陛下が指示だろうがそんなものは関係ないっ!! 俺達は無関係だ!! 理不尽な要請には応じられ――ぐあっ!?」

 詰め寄っていたアルズ様は腕をねじ上げられ、あっという間に拘束されてしまった。

「……どうやら従っていただけないようですので、仕方がありません。件の強硬手段、強制連行に移行致します」
「やっ、止めろ!! 離せっ!! はなせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「いやっ! いやぁぁぁっっ!! 誰かっ!! 誰か助けてっ!! 誰かわたくし達を信じてぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」

 必死に叫んでも、誰も手伸ばしてはくれない。
 やがてどちらも後ろ手に縛られ、それでも叫んでいたら猿ぐつわを嵌められて……。微塵も抵抗できないようにされて、放り込まれるように馬車に乗せられたのでした……。

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