25 / 33
第13話 知らせ、そして アニエス視点(2)
しおりを挟む
「今度はちゃんと、お守りできてよかったです」
尾行されていたこと。私が去ったあとに、ノズエルズ様が乗り込んできていたこと。企みを把握し、返り討ちにしたこと。それらを私達一家に説明してくださり、私がまずは謝罪を行おうとした時でした。それらを止めるように、対面にあるシャルル様の口元が緩みました。
「あの頃は家の問題に手一杯で、大切な人が苦労している際に何もできませんでした。アニエス様のお体、お心、その両方を守ることができて幸せです」
私の目を見つめながら言葉を紡いでくださり、すぐに、次の言葉が始まります。
「アニエス様。1か月前――。貴方が受け入れてくださった際にお伝えしたものを、覚えてくださっていますよね?」
「はい、もちろんです」
『……アニエス様、ありがとうございます。…………わたしシャルルは、貴方の心身を守護する騎士となります。アニエス様の人生を眩しいものとすると、お約束したします』
愛する人からの大切なお言葉を、忘れるはずがありません。生涯、忘れません。
「僕はアニエス様を守護できることが、幸せの一つなのです。そのため自らの意思で、ヒューゴ・ノズエルズの意識を向けました。全ては、僕が行いたくて行ったことなのですよ」
「シャルル様……」
「ですのでアニエス様が気に病まれることは、僅かもないのですよ。貴方様は被害者で、僕が問題に首を突っ込んだだけなのですからね」
だけ――。大したことではなかった――。
この方はこんな部分でも、私の心の中にあるものを薄めてくださります。
「感謝のお言葉は有難く頂戴しますが、以上の理由で謝罪のお言葉は受け取れません。むしろ謝罪は、こちらが行うべき行動です。事情があるとはいえ、隠し事をして申し訳ございませんでした」
シャルル様はわざわざ私、左右に座っているお父様とお母様にも腰を折り曲げられ、もちろん私達は即座に否定をします。そうすればシャルル様はホッとした表情を作られて、ここでようやく、お出ししていた紅茶を一口含まれました。
嘘を吐く事を、こんなにも大きな問題だと思ってくださっている。
そんなお姿を目にして、そうならないはずはありません。ますますこの方を好きになりました。
「……シャルル様。いつも想ってくださり、ありがとうございます」
「娘をこんなにも、想っていただける……っ」
「親として、これ以上の喜びはございません……っ」
「今回の行動を、こうしてこんな風に喜んでいただける。僕としても、これに勝る喜びはありませんよ。アニエス様、ケティリア卿、フラヴィ様。ありがとうございます」
姿勢を正して頭を下げると同様の動きが目の前で行われて、こうして5日前から始まった問題は――ノズエルズ様に関するお話は、お仕舞となりました。なのでここからは4人で色々な楽しいお喋りをして、それが終わると――。お父様とお母様が退室されて2人きりになると、シャルル様はテーブルに1枚の書類を載せたのでした。
「アニエス様。明後日の出来事、ケティリア卿とフラヴィ様へのサプライズについてなのですが――」
尾行されていたこと。私が去ったあとに、ノズエルズ様が乗り込んできていたこと。企みを把握し、返り討ちにしたこと。それらを私達一家に説明してくださり、私がまずは謝罪を行おうとした時でした。それらを止めるように、対面にあるシャルル様の口元が緩みました。
「あの頃は家の問題に手一杯で、大切な人が苦労している際に何もできませんでした。アニエス様のお体、お心、その両方を守ることができて幸せです」
私の目を見つめながら言葉を紡いでくださり、すぐに、次の言葉が始まります。
「アニエス様。1か月前――。貴方が受け入れてくださった際にお伝えしたものを、覚えてくださっていますよね?」
「はい、もちろんです」
『……アニエス様、ありがとうございます。…………わたしシャルルは、貴方の心身を守護する騎士となります。アニエス様の人生を眩しいものとすると、お約束したします』
愛する人からの大切なお言葉を、忘れるはずがありません。生涯、忘れません。
「僕はアニエス様を守護できることが、幸せの一つなのです。そのため自らの意思で、ヒューゴ・ノズエルズの意識を向けました。全ては、僕が行いたくて行ったことなのですよ」
「シャルル様……」
「ですのでアニエス様が気に病まれることは、僅かもないのですよ。貴方様は被害者で、僕が問題に首を突っ込んだだけなのですからね」
だけ――。大したことではなかった――。
この方はこんな部分でも、私の心の中にあるものを薄めてくださります。
「感謝のお言葉は有難く頂戴しますが、以上の理由で謝罪のお言葉は受け取れません。むしろ謝罪は、こちらが行うべき行動です。事情があるとはいえ、隠し事をして申し訳ございませんでした」
シャルル様はわざわざ私、左右に座っているお父様とお母様にも腰を折り曲げられ、もちろん私達は即座に否定をします。そうすればシャルル様はホッとした表情を作られて、ここでようやく、お出ししていた紅茶を一口含まれました。
嘘を吐く事を、こんなにも大きな問題だと思ってくださっている。
そんなお姿を目にして、そうならないはずはありません。ますますこの方を好きになりました。
「……シャルル様。いつも想ってくださり、ありがとうございます」
「娘をこんなにも、想っていただける……っ」
「親として、これ以上の喜びはございません……っ」
「今回の行動を、こうしてこんな風に喜んでいただける。僕としても、これに勝る喜びはありませんよ。アニエス様、ケティリア卿、フラヴィ様。ありがとうございます」
姿勢を正して頭を下げると同様の動きが目の前で行われて、こうして5日前から始まった問題は――ノズエルズ様に関するお話は、お仕舞となりました。なのでここからは4人で色々な楽しいお喋りをして、それが終わると――。お父様とお母様が退室されて2人きりになると、シャルル様はテーブルに1枚の書類を載せたのでした。
「アニエス様。明後日の出来事、ケティリア卿とフラヴィ様へのサプライズについてなのですが――」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,512
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる