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番外編 学院時代の出来事~唯一の味方だった人~ シャルル視点(2)
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「男爵家だってれっきとした貴族で、立派なお家です。そして、貴族だから潔白? 真っすぐ? それは大きな間違いです! 貴族も平民もおなじ人間で、性質に違いはありませんよ!」
声を上げてくださったのは、ケティリア家のアニエス様。このクラスで唯一僕を『人』として扱ってくれる、お優しい御方。
そんなアニエス様は僕の隣へと移動してくださり、教室内をぐるりと見回した。
「『いいや違う!』『バカなことを言うな!』。そんなお声が沢山聞こえてきましたので、そちらを否定する証拠をお出しします」
「「「「「………………」」」」」
「皆様は『本物の貴族は決して罪を犯さない』、そう仰いましたよね? でしたらなぜ、貴族籍を剥奪される方がいらっしゃるのですか?」
家督継承などを理由として、暗殺を試みる。もっと富を得ようと汚職に手を染める。などなど。アニエス様は複数個の例を挙げられ、それによって室内には沈黙が訪れた。
「貴族としての誇りを持つことは、とても大事で大切なものだと思います。ですが今の皆様の言動は、その逆、とても酷いものです。……どうしてそちらが分からないのですか?」
「うっ、五月蠅いぞ! 伯爵家如きが意見するなっ!! 生意気だぞ!!」
「そうだそうだっ! 格下は大人しく上の言葉に頷いておけばいいんだよ!!」
ノーゼル侯爵家の3男・ミゲル様と、リンダーズ侯爵家の4男・レイン様。このクラスのツートップ――最も高い地位を持つ2人が声を荒らげ、しかしながらアニエス様の態度は不変。引き続き凛とした雰囲気を纏われ、
「こちらはデレアス様の将来に関わる、唯々諾々と同意できる問題ではありません。承服しかねるものでして、ローエンス様、ノーゼル様、リンダーズ様、皆様。このままでは膠着状態となってしまいますので、私が犯人探しを行います」
呆れの息を吐きながら、こう仰られたのだった。
声を上げてくださったのは、ケティリア家のアニエス様。このクラスで唯一僕を『人』として扱ってくれる、お優しい御方。
そんなアニエス様は僕の隣へと移動してくださり、教室内をぐるりと見回した。
「『いいや違う!』『バカなことを言うな!』。そんなお声が沢山聞こえてきましたので、そちらを否定する証拠をお出しします」
「「「「「………………」」」」」
「皆様は『本物の貴族は決して罪を犯さない』、そう仰いましたよね? でしたらなぜ、貴族籍を剥奪される方がいらっしゃるのですか?」
家督継承などを理由として、暗殺を試みる。もっと富を得ようと汚職に手を染める。などなど。アニエス様は複数個の例を挙げられ、それによって室内には沈黙が訪れた。
「貴族としての誇りを持つことは、とても大事で大切なものだと思います。ですが今の皆様の言動は、その逆、とても酷いものです。……どうしてそちらが分からないのですか?」
「うっ、五月蠅いぞ! 伯爵家如きが意見するなっ!! 生意気だぞ!!」
「そうだそうだっ! 格下は大人しく上の言葉に頷いておけばいいんだよ!!」
ノーゼル侯爵家の3男・ミゲル様と、リンダーズ侯爵家の4男・レイン様。このクラスのツートップ――最も高い地位を持つ2人が声を荒らげ、しかしながらアニエス様の態度は不変。引き続き凛とした雰囲気を纏われ、
「こちらはデレアス様の将来に関わる、唯々諾々と同意できる問題ではありません。承服しかねるものでして、ローエンス様、ノーゼル様、リンダーズ様、皆様。このままでは膠着状態となってしまいますので、私が犯人探しを行います」
呆れの息を吐きながら、こう仰られたのだった。
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