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第9話 2つの真実と、予期せぬ言葉 アリス視点
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「まず『縁が一切ない他人がなぜ、あそこまで詳しく知っていたのか?』。その理由は、エルナ・リーエンデルア様――君のお母上にあるみたいだね」
オーレリアン様による説明が始まってから、わずか6秒後のことでした。おもわずわたしは、驚きの声をあげてしまいます。
原因は、お母様……。
「僕が現れてから彼女とアルチュールは、何度も密かに視線を交わしていた。それに彼を何度も『王子様』と呼ぶなど、そちらが本物だと思うよう振る舞っていたからね。お母上が彼の味方、内通者なのだとすぐ分かったよ」
「……お父様とお母様には、あの日の出来事を細かく話しました。ですので情報があって、ですが……。お母様とアルチュール様は、一切接点がありません。どうやってお二人は結びついたのでしょう……?」
「利害の一致、なんだろうね。あの様子だと、お母上は『地位』が目的。筆頭公爵家とのパイプ、これが目当てで情報を流したんだと思う」
『駄目に決まっているでしょう! いいっ? 貴方は伯爵家の娘なのよ! そんないかにも怪しい人ではなくって、ちゃんとした地位を持った方と――』
そちらを聞いて、自然と10年前の大声を思い出しました。
「そしてアルチュールの狙いは、恐らくアリスの頭脳だ。……1日空いたから少し調べて見たのだけど、ちょっと動いただけで君の名声がすぐに聞こえてきた。あちらは優秀なブレインを、自らの商会に取り込もうとしていたのだろうね」
誰にも迷惑をかけることなく王子様と結婚できるよう、あらゆる場所で一目を置かれる存在を目指しました。我武者羅に走り続けて、そういった評判を得ることができました。
あの御方はわたしではなく、わたしの頭が狙い……。
「あの様子だと『見た目』にも興味があったようだけど、一番の理由はソレ。とてもシンプルで、とても恐ろしいこと。人は富や地位を得れば得るほど新たなものが欲しくなる、際限ない欲深い化け物だからね。彼は現状に満足できないようになっていて、更なる『上』を目指そうとしたんだよ」
「……そう、だったのですね。だからお母様に接触して、協力関係が出来上がった……」
「そう、なるね。そのため必死になって王子様に成りすまし、金に物を言わせて証拠を捏造しようとした。けれどそれは、失敗に終わる。なぜならば――」
呆れと息を吐かれ、ご自身の体を一瞥されたオーレリアン様。そんなお姿を見つめていたわたしは、再度、おもわず驚きの声をあげてしまったのでした。
「なぜならば本物は、公爵の力が通用しない相手だったのだから。人ではなく、精霊の王だったのだからね」
オーレリアン様による説明が始まってから、わずか6秒後のことでした。おもわずわたしは、驚きの声をあげてしまいます。
原因は、お母様……。
「僕が現れてから彼女とアルチュールは、何度も密かに視線を交わしていた。それに彼を何度も『王子様』と呼ぶなど、そちらが本物だと思うよう振る舞っていたからね。お母上が彼の味方、内通者なのだとすぐ分かったよ」
「……お父様とお母様には、あの日の出来事を細かく話しました。ですので情報があって、ですが……。お母様とアルチュール様は、一切接点がありません。どうやってお二人は結びついたのでしょう……?」
「利害の一致、なんだろうね。あの様子だと、お母上は『地位』が目的。筆頭公爵家とのパイプ、これが目当てで情報を流したんだと思う」
『駄目に決まっているでしょう! いいっ? 貴方は伯爵家の娘なのよ! そんないかにも怪しい人ではなくって、ちゃんとした地位を持った方と――』
そちらを聞いて、自然と10年前の大声を思い出しました。
「そしてアルチュールの狙いは、恐らくアリスの頭脳だ。……1日空いたから少し調べて見たのだけど、ちょっと動いただけで君の名声がすぐに聞こえてきた。あちらは優秀なブレインを、自らの商会に取り込もうとしていたのだろうね」
誰にも迷惑をかけることなく王子様と結婚できるよう、あらゆる場所で一目を置かれる存在を目指しました。我武者羅に走り続けて、そういった評判を得ることができました。
あの御方はわたしではなく、わたしの頭が狙い……。
「あの様子だと『見た目』にも興味があったようだけど、一番の理由はソレ。とてもシンプルで、とても恐ろしいこと。人は富や地位を得れば得るほど新たなものが欲しくなる、際限ない欲深い化け物だからね。彼は現状に満足できないようになっていて、更なる『上』を目指そうとしたんだよ」
「……そう、だったのですね。だからお母様に接触して、協力関係が出来上がった……」
「そう、なるね。そのため必死になって王子様に成りすまし、金に物を言わせて証拠を捏造しようとした。けれどそれは、失敗に終わる。なぜならば――」
呆れと息を吐かれ、ご自身の体を一瞥されたオーレリアン様。そんなお姿を見つめていたわたしは、再度、おもわず驚きの声をあげてしまったのでした。
「なぜならば本物は、公爵の力が通用しない相手だったのだから。人ではなく、精霊の王だったのだからね」
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