あこがれチェンジ!

柚木ゆず

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8 あたし達のお電話 (1)

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『もしもし、こんばんは。お時間構わないかしら?』

 合格が決まった日から、3日後の夜。
 今日はユーカとユーナも一緒にうちでご飯を食べていたら、モミジちゃんからお電話がかかってきた。

「ん、いーよいーよっ。なにかなー?」
『パートナーについて、なのだけれど。明日からはゴールデンウィークで、もう4月は学校がないでしょう?』
「うん、そだね。ないねー」

 今年ははじまりが少し早くって、次にとーこー登校するのは5月。5月の6日、だったよね。

『そのため今月学校でアコヘンの仕事をする機会はなく、陽上さんとの約束は4月の間。期間内ではあるのだけれど学校で活動できないから、一応今日で終わりとなるの』
「ぁ、そなんだ。そーいえば、そーだよね」
『…………うっかり、伝えそびれてしまったの。ごめんなさい』

 5秒くらいしてからお返事があって、あたしはすぐに「んーん」って返す。
 あたしもよく、うっかりをしちゃうもん。お互い様、というものなのです。

『ありがとう、陽上さん。それで私は貴方に、これまで手伝ってもらったお礼をしたくて電話をしたの』
「んやや、そんなのいらないよー。あたしがやりますーって言ったんだし、ちゃんとお仕事をしたのは1回だけだし、モミジちゃんもみんなのために頑張ってるんだもん」

 リョーコちゃんやヨツバちゃんさんたちのために、やってるコト。そーゆーのは、ブブーなのです。

『いいえ。短い間だったけれど、貴方のおかげで貴重な時間を過ごせたの。お礼をしたいから、受け入れてくれないかしら?』
「にゅぅぅ。どーしても、なのかな?」
『ええ。どうしても、なの』
「…………そっかぁ。そしたら、わかりましただよ」

 それでモミジちゃんが喜んでくれるんだもんね。そーします。

『陽上さん、感謝するわ。それで、お礼なのだけれど。ショッピングモールにあるお店の限定のスイーツを考えていて、明日予定は空いているかしら?』
「……ぁやぁ、明日ショッピングモールかぁ……。明日はちょーど、ユーカとユーナとショッピングモールに行く約束をしてるんだよー……」

 みんなほしいものがあって、それを一緒に買いに行くの。
 今日のお昼休みに、約束しちゃったんだよね……。

『急に提案したのだから、気にしないで。また別の日に――』
「……ハナ、困り顔になってるね。モミジちゃんって言ってたから、月下ちゃんと約束が丸かぶりになった?」

 あたしの後ろにいるユーカが、身体をくるっとこっちに向けた。
 電話機とダイニングテーブルは、同じお部屋にあるからね。あたしのお話し声を聞いて、気になったみたい。


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