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18 あたし達のこれから。 (2)
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(姉さんっ、突然何を言い出すのっ!? 私にお願いなんてないわよっ?)
(いやいやぁ、あるでしょ。陽上ちゃんとのパートナー、ホントに終わっていいの?)
2人は、小さな声でヒソヒソ話をはじめた。
??? なにを言ってるの、かな?
(紅葉さんは、日記に書いておられましたよね~? 『できるなら今後も陽上さんとパートナーでいたい』、『まだまだ学びたい部分があるし、その……。憧れの人と公私を共にしたいという身勝手な想いが、私の中にはある』って~)
(っ! 姉さんっ、貴方はそんなところまで……っっ)
(妹に、異変が起きてたんだもん。そりゃあ隅々まで読みますさ~)
モミジちゃんは少しお顔が赤くなって、ナツキちゃんさんはまたニヤッとする。
んや? んやや?
(紅葉さんはずっとそう思っていて、なんとその相手とは相思相愛だった。ならばその気持ちはますます強くなっていて、実はパートナーを解消したくないんだよねぇ~?)
(そ、それは……。そう、だけれど……)
(だったら、『これからも私と仕事をしてください』ってお願いするしかないよねぇ? この機会に、もっと自分を表に出しな~?)
(け、けれど……。アコヘンは失敗が許されない仕事で、もしも失敗したら陽上さんが責任を感じてしまう……。勿論、純粋に勉強したいという気持ちはあるのだけれど……。そういった個人的な理由での提案は、よくないと思うわ……)
今度は、モミジちゃんがショボンとなった。
(失敗した時の心の傷は、きっと一生消えない。やはりこういう理由では、お誘いできないわ)
(……ふむ、確かにそうだね。でもさ、紅葉。お姉ちゃんは、不要な心配だと思うな)
(ね、姉さん……?)
(紅葉はもともと親身になって動ける人で、今回自分でアコヘンを経験した。悩んで苦しんでアコヘンの気持ちがしっかり分かってる人と、太陽みたいに温かい人がペアになるんだもん。どんなアコヘンが相手でも、失敗するコトなんてないよ)
ナツキちゃんさんは優しいお目目であたしを少しだけ見て、そのお目目のままモミジちゃんを見た。
(だから、失敗を考える必要はない。父さん母さんも――30年以上アコヘンに関わってきた人達も、そう言ってたよ)
(姉さん……。父さん達に、相談を……)
(ウチの妹は、そう言うだろうと思ってたからね。紅葉が納得できる材料を用意しておいたのさ)
ナツキちゃんさんはモミジちゃんの頭をポンっと軽く叩いて、ふにゃ? もう1回、あたしの方を見た。
(さあ、もう迷いはなくなったでしょ? ほらお願いしちゃいなっ)
(………………。そ、その……。少しだけ、時間が欲しいのだけど……)
(へ? なんで?)
(……あんな事があったその日に伝えるのは、恥ずかしいのよ……。この場にいるのだって、実は相当照れくさいのだから……)
(うん、知ってる。だから今日、パーティーを企画しました)
(姉さん貴方という人はっっ! 今、ようやくわかったわ……っ)
??? モミジちゃんがすごい勢いでナツキちゃんさんを見て、小さく肩を震わせた。
(公園で口にしていた『仕返し』。これが、それなのね……っっ)
(すっごく心配したんだから、ちょっとは楽しませてもらわないとね~。…………あっ、そーだそーだーっ。この場で言わないならアタシが頼んで、アタシのパートナーになってもらおっかな~?)
(なっ!?)
(アタシだって、陽上ちゃんを見習いたい部分はあるもん。一緒に組んでもらって、一緒に活躍しよっかな~?)
(わ、わかったわよっ。わかりました! 言えばいいんでしょうっ)
とつぜん。モジモジしていたモミジちゃんが、決意をしたようなお顔であたしを見た。
(いやいやぁ、あるでしょ。陽上ちゃんとのパートナー、ホントに終わっていいの?)
2人は、小さな声でヒソヒソ話をはじめた。
??? なにを言ってるの、かな?
(紅葉さんは、日記に書いておられましたよね~? 『できるなら今後も陽上さんとパートナーでいたい』、『まだまだ学びたい部分があるし、その……。憧れの人と公私を共にしたいという身勝手な想いが、私の中にはある』って~)
(っ! 姉さんっ、貴方はそんなところまで……っっ)
(妹に、異変が起きてたんだもん。そりゃあ隅々まで読みますさ~)
モミジちゃんは少しお顔が赤くなって、ナツキちゃんさんはまたニヤッとする。
んや? んやや?
(紅葉さんはずっとそう思っていて、なんとその相手とは相思相愛だった。ならばその気持ちはますます強くなっていて、実はパートナーを解消したくないんだよねぇ~?)
(そ、それは……。そう、だけれど……)
(だったら、『これからも私と仕事をしてください』ってお願いするしかないよねぇ? この機会に、もっと自分を表に出しな~?)
(け、けれど……。アコヘンは失敗が許されない仕事で、もしも失敗したら陽上さんが責任を感じてしまう……。勿論、純粋に勉強したいという気持ちはあるのだけれど……。そういった個人的な理由での提案は、よくないと思うわ……)
今度は、モミジちゃんがショボンとなった。
(失敗した時の心の傷は、きっと一生消えない。やはりこういう理由では、お誘いできないわ)
(……ふむ、確かにそうだね。でもさ、紅葉。お姉ちゃんは、不要な心配だと思うな)
(ね、姉さん……?)
(紅葉はもともと親身になって動ける人で、今回自分でアコヘンを経験した。悩んで苦しんでアコヘンの気持ちがしっかり分かってる人と、太陽みたいに温かい人がペアになるんだもん。どんなアコヘンが相手でも、失敗するコトなんてないよ)
ナツキちゃんさんは優しいお目目であたしを少しだけ見て、そのお目目のままモミジちゃんを見た。
(だから、失敗を考える必要はない。父さん母さんも――30年以上アコヘンに関わってきた人達も、そう言ってたよ)
(姉さん……。父さん達に、相談を……)
(ウチの妹は、そう言うだろうと思ってたからね。紅葉が納得できる材料を用意しておいたのさ)
ナツキちゃんさんはモミジちゃんの頭をポンっと軽く叩いて、ふにゃ? もう1回、あたしの方を見た。
(さあ、もう迷いはなくなったでしょ? ほらお願いしちゃいなっ)
(………………。そ、その……。少しだけ、時間が欲しいのだけど……)
(へ? なんで?)
(……あんな事があったその日に伝えるのは、恥ずかしいのよ……。この場にいるのだって、実は相当照れくさいのだから……)
(うん、知ってる。だから今日、パーティーを企画しました)
(姉さん貴方という人はっっ! 今、ようやくわかったわ……っ)
??? モミジちゃんがすごい勢いでナツキちゃんさんを見て、小さく肩を震わせた。
(公園で口にしていた『仕返し』。これが、それなのね……っっ)
(すっごく心配したんだから、ちょっとは楽しませてもらわないとね~。…………あっ、そーだそーだーっ。この場で言わないならアタシが頼んで、アタシのパートナーになってもらおっかな~?)
(なっ!?)
(アタシだって、陽上ちゃんを見習いたい部分はあるもん。一緒に組んでもらって、一緒に活躍しよっかな~?)
(わ、わかったわよっ。わかりました! 言えばいいんでしょうっ)
とつぜん。モジモジしていたモミジちゃんが、決意をしたようなお顔であたしを見た。
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