隣にある古い空き家に引っ越してきた人達は、10年前に縁を切った家族でした

柚木ゆず

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エピローグ~ジュリエットの場合~ ジュリエット視点

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「ガスパール君。今日ありがとう」

 わたし達の家に戻ったあと、寝る直前。わたしは大切な人に、改めて感謝の気持ちを伝えました。

((わたしが――わたしとニコがこんな風に過ごせるのは、貴方のおかげです))

 絶対に護ると誓ってくれて。
 自分の武器を懸命に探して。
 歩き回って職場を見つけて。
 目をつけてもらえるように必死に腕を磨いて。
 ステップアップしても満足せず前を向き続けて。
 新メニューの提案やスキルアップで忙しいのに、その合間をぬって経営術を学んで。
 ただでさえ多忙な状況なのに、コネクション作りに励んで。
 あちこちから注目と信頼を得て。
 独立して。
 新進気鋭のオーナーシェフになる。

 ずっと隣で見ていたから、よく分かります。
 貴方はいつも『運が良かった』と繰り返しているけれど、そうじゃない。そんなはずがない。
 今の状況があるのは、血のにじむような努力があったから。

((いつも、頑張ってくれてありがとう。いつも、第一に考えてくれてありがとう))

 わたしは第二の人生を歩み始めてから、ずっと、ずっと幸せです。
 だから、ね。

 ――少し休んで――。

 そう伝えたくなる。けど、それは失礼なことになってしまうから。
 この先も、心の中に留めておくわ。

((だから、だからね、ガスパールくん。わたしはわたしのやり方で、応援させてもらうね))

 この子がもっと大きくなったら、貴族時代に身に着けたスキルを使ってやろうと思っていることがあるの。

 ――わたし達は、夫婦だから――。

 お気持ちは有難くもらっておくけど、こっちの気持ちも少しはもらってもらうね。

 これまでも。
 これからも。

 一緒に、歩いていこうね。
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