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第7話 おねだりは予想外? エメリック視点(3)
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「無茶を言うな、エメリック。それは無理だ」
「少しならともかく、更に70万だなんて。そのお願いは聞けないわ」
王の間で直談判をしたら、予想通りの返事が返ってきた。
父さんも母さんも、×。僕の要望は、すぐに却下された。
「王族といえ、無限に金がありはしない。……お前は20年間も、王族として生きているのだ。それは分かっているだろう?」
「分かってるよっ、分かってるさ! だけど今回ばかりは退けないんだよ!」
二人の目を見つめて、先ほど起きた嬉しい出来事を説明した。
サーフィナは、あの指輪を僕に重ねてくれている。縁が切れてしまう事を、あんなにも不安視してくれている。
ならば! 応えるしかないじゃないか!!
「…………エメリックよ。それは……。サーフィナくんの、方便ではないのか……?」
「ほう、べん? どういう……?」
突然出てきた単語に、おもわずキョトンとなってしまう。
まったく、意味が理解できない。父さんは、何を言っているんだ?
「あの者は、エメラルドよりルビーの指輪が欲しかった。それ故に、ああ言っているのではないのか?」
「その指輪は、一番高いものなんでしょ? 貴方を重ねているのなら、もう少し値を抑えたものでもいい。そうは思わない?」
ああ、そういうことか。ようやく理解できた
……………………はぁ。この人達は、実に残念な人達だ。
「彼女は大きなルビーを、いつも頼もしい僕としているんだよ。他の物だったら、このエメリック・ライズナを連想できなくなってしまう。それが、ソレを求める理由なんだ」
「「………………」」
「父さん、母さん。言っておくけど、サーフィナはそんな心の持ち主じゃない。彼女の口から出るものは、いつでも真実のみ。そこに打算や悪心は、微塵もありはしない」
容姿は心を表す――。どこかの本に載っていたが、まさにその通り。
彼女の内側は外側と同じで、純白。サーフィナ・コアナほど、純真な人間は他にはいない。
「父さん母さん、適当な事を言わないでくれ。次に似たような侮辱があったら、その時は本気で怒る。いいね?」
「わっ、分かった分かった! お前の言葉を信じようっ。……お前の愛する者を、疑ったお詫びだ。足りない分は特別に出してやるから、機嫌を直しなさい」
軽く睨むと父さんは玉座から立ち上がり、パンパンと手を鳴らす。そうすれば側近の1人がやって来て、やがて70万が用意された。
「ありがとう、父さん母さんっ。この借りは公務でしっかり返すよ!」
「お前の働き、期待しているぞ。あとで俺達も、件の指輪を見に行くとしよう――そういえば。このあとサーフィナくんは、レッスンがあるのだったな」
「そうだね。今日はダンスのレッスンが2時間で、それが終わるとマナーのレッスンが3時間あるよ」
サーフィナは、もうすぐ正式に王太子妃となる。次期王妃になる存在だ。
伯爵家生まれとはいえ、王家のルールは複雑。更に、色々なものを吸収してもらわないといけないからね。今日からは、毎日レッスンに励んでもらうようになる。
「では夜、夕食が終わったあとにでも見るとしようか。今夜は、晩餐会だ。きちんと準備をしておくのだぞ?」
「勿論だよ。……特別に、サーフィナの同席を……」
「エメリック、調子に乗らないの。どんなにお願いをされても、今は無理よ」
サーフィナと僕の関係は、まだ表ざたにはなっていない。やはりそれは不可能か。
「ごめんごめん、冗談だよ。父さん母さん、感謝しますっ」
そうして足早に戻って、お目当てのリングを購入。彼女は僕の分身が手に入って、僕は彼女の笑顔を見る事ができて――。今日はお互いにとって、非常にいい買い物ができたのだった。
「少しならともかく、更に70万だなんて。そのお願いは聞けないわ」
王の間で直談判をしたら、予想通りの返事が返ってきた。
父さんも母さんも、×。僕の要望は、すぐに却下された。
「王族といえ、無限に金がありはしない。……お前は20年間も、王族として生きているのだ。それは分かっているだろう?」
「分かってるよっ、分かってるさ! だけど今回ばかりは退けないんだよ!」
二人の目を見つめて、先ほど起きた嬉しい出来事を説明した。
サーフィナは、あの指輪を僕に重ねてくれている。縁が切れてしまう事を、あんなにも不安視してくれている。
ならば! 応えるしかないじゃないか!!
「…………エメリックよ。それは……。サーフィナくんの、方便ではないのか……?」
「ほう、べん? どういう……?」
突然出てきた単語に、おもわずキョトンとなってしまう。
まったく、意味が理解できない。父さんは、何を言っているんだ?
「あの者は、エメラルドよりルビーの指輪が欲しかった。それ故に、ああ言っているのではないのか?」
「その指輪は、一番高いものなんでしょ? 貴方を重ねているのなら、もう少し値を抑えたものでもいい。そうは思わない?」
ああ、そういうことか。ようやく理解できた
……………………はぁ。この人達は、実に残念な人達だ。
「彼女は大きなルビーを、いつも頼もしい僕としているんだよ。他の物だったら、このエメリック・ライズナを連想できなくなってしまう。それが、ソレを求める理由なんだ」
「「………………」」
「父さん、母さん。言っておくけど、サーフィナはそんな心の持ち主じゃない。彼女の口から出るものは、いつでも真実のみ。そこに打算や悪心は、微塵もありはしない」
容姿は心を表す――。どこかの本に載っていたが、まさにその通り。
彼女の内側は外側と同じで、純白。サーフィナ・コアナほど、純真な人間は他にはいない。
「父さん母さん、適当な事を言わないでくれ。次に似たような侮辱があったら、その時は本気で怒る。いいね?」
「わっ、分かった分かった! お前の言葉を信じようっ。……お前の愛する者を、疑ったお詫びだ。足りない分は特別に出してやるから、機嫌を直しなさい」
軽く睨むと父さんは玉座から立ち上がり、パンパンと手を鳴らす。そうすれば側近の1人がやって来て、やがて70万が用意された。
「ありがとう、父さん母さんっ。この借りは公務でしっかり返すよ!」
「お前の働き、期待しているぞ。あとで俺達も、件の指輪を見に行くとしよう――そういえば。このあとサーフィナくんは、レッスンがあるのだったな」
「そうだね。今日はダンスのレッスンが2時間で、それが終わるとマナーのレッスンが3時間あるよ」
サーフィナは、もうすぐ正式に王太子妃となる。次期王妃になる存在だ。
伯爵家生まれとはいえ、王家のルールは複雑。更に、色々なものを吸収してもらわないといけないからね。今日からは、毎日レッスンに励んでもらうようになる。
「では夜、夕食が終わったあとにでも見るとしようか。今夜は、晩餐会だ。きちんと準備をしておくのだぞ?」
「勿論だよ。……特別に、サーフィナの同席を……」
「エメリック、調子に乗らないの。どんなにお願いをされても、今は無理よ」
サーフィナと僕の関係は、まだ表ざたにはなっていない。やはりそれは不可能か。
「ごめんごめん、冗談だよ。父さん母さん、感謝しますっ」
そうして足早に戻って、お目当てのリングを購入。彼女は僕の分身が手に入って、僕は彼女の笑顔を見る事ができて――。今日はお互いにとって、非常にいい買い物ができたのだった。
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