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第8話 ランチの準備 俯瞰視点

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「さて。始めるか」

 ショッピングと逃走があった日から、2日後の早朝。ロザス家のキッチンには、アルフレッドの姿がありました。
 彼がこれから行うことは、調理。今日の午後、リルと食べる食事を作るのです。

「まずは、メインメニュー。チーズオムレツサンドだな」

 アルフレッドはテキパキと材料を揃え、まずは玉ねぎをみじん切り。トントンというテンポの良い音が響き、全て終わったら次は卵。細かくしたタマネギを入れたボウルへ6つ割り入れ、空気を含ませながらさっくりと混ぜ合わせ、熱々のフライパンへと流し込みます。

「ここからは……」

 適度にフライパンを動かしながら形成してゆき、ここでチーズを投入。ここからは手首のスナップを使って卵を操り、上手にくるんだらオムレツの出来上がり。
 あとはバターを薄く塗った食パンに新鮮なレタスを少し多めに敷き、その上に4分の1にカットしたオムレツとケチャップを適量乗せると完了。
 小さな頃からのリルの大好物、チーズオムレツサンドが完成しました。

「今度は、サイド。今日の一つ目は、ミートボールのトマト煮でいこう」

 先の作業を4回繰り返したあと手やまな板を洗い、再びテキパキと準備。豚ひき肉やタマネギ、パン粉やトマトを用意して、慣れた手つきで調理していきます。

 アルフレッド・ロザスの趣味の一つ。それは、料理。

 元々は『ちょっと好き』程度だったのですが、初めて作った料理を『美味しいっ!』とリルが大絶賛したことが没頭の切っ掛け。自分が作ったもので喜んでもらえることが嬉しく、そこからはみるみる上達。その日からピクニックの際は必ず彼が食事担当となり、今ではシェフも認める腕の持ち主となっているのです。

「肉を一口大に丸めたら……。焼き色がつくまで焼いて…………ここで、潰したトマトを投入する」

 ここからは中火で煮込み始め、煮立ったら蓋をして弱火で7~8分。汁気が半分くらいになったら火を止めて、完成となりました。

「うっし。次で、最後だ。ラストは、ポテトサラダにしよう」

 こちらも、リルが大好きなメニュー。ジャガイモやベーコン、多めのマヨネーズと、ちょっぴりのマスタードと、そして少量のチェダーチーズなどなど。
 リルから一番高い評価を得たレシピでポテトサラダを作り、こちらもつつがなく進行して完成。出来上がった料理達を丁寧にバスケットに詰め、余った分で御者達の分も用意し、ランチセットの準備が全て整いました。

「坊ちゃま、お疲れ様です。出発のお時間が迫っておりますので、片付けはわたくしにお任せください」
「…………急いでやれば、ロスはそんなにない。俺がやりますよ」

 最初から最後まで自分で。それがアルフレッドの、料理の流儀。
 そのため彼は猛スピードで片づけを行い、大急ぎで着替えて出発。彼は見事無事に、早朝の『任務』を達成したのでした。

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