婚約破棄ですか? ありがとうございます!

柚木ゆず

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第13話 シルフィ・ガーネ視点(1)

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「そっか、そうだったのね……。アルフレッド様は、洗脳されていたのではなかった……。あの御方は、壊滅的に見る目がなくなってしまっていた・・・・・・・・・・・のね……」

 馬車の中。ワタシはロザス邸のある方角を眺め、同情と憐憫、そして慈愛を含んだ眼差しを注ぐ。
 あんな女を、このシルフィ・ガーネより上と明言してしまうなんて……。可哀想……。幼い頃から低レベルな女といたせいで、価値観などがすっかり塗りつぶされてしまっていたのね……。

「大間違いを、堂々と真実と言ってしまう……。事実と事実と思えない、アルフレッド様……。本当に、可哀想。……………………でも、安心してください」

 すぐにワタシが、解放してあげますから。

「大丈夫ですよ、アルフレッド様。ゆっくりとリハビリをすれば、貴方は正常になります。余計なが居なくなって、その代わりにワタシが傍にいたら――。いずれはちゃんと、正しい判断をできるようになる。シルフィ・ガーネが遥かに上だと、気付けるようになりますよ」

 人としても女としても優れているのは、ワタシ。貴方に相応しいのだって、ワタシ。
 自信を持って、断言できるようになりますからね。正しい相手と、結ばれるようになりますからね。
 心配、しないでくださいね。

「…………これから考えるべきは、アルフレッド様の洗脳を解く方法じゃない。どうやって、リル・サートルを抹消するかよね」

 ワタシはか弱い可憐な乙女。荒々しい事はできない。かといって、誰かに依頼する――殺し屋を雇うのは、不可能。
 パパとママは他の当主とは違って、バカに真面目でお人好し。黒い繋がりを持っていないせいで、頼れる相手がいない。
 つまり結局は、自分でどうにかしないといけない。

「ワタシができるとしたら………………。毒殺。食べ物や飲み物に毒を入れて、あの女を殺す……」

 毒性の強い植物は山に生えているから、それを利用すれば毒薬は手に入る。『圧力』をかけるためにリルアイツの家に押しかけた事も何度もあって、同じようにしたらそこそこ自然な形で一緒に飲食もできるし。毒殺は、夢物語ではない。

「ただ……。その場合、バレずに、が難しくなる……」

 どんなに巧みに毒を盛っても、効果が出るのはワタシがいる時。運悪くアイツは使用人達に親切にしてて、絶対に恨まれはしないから……。そいつらの仕業にできなくって、簡単に犯人が特定されてしまう。

「殿下から婚約破棄をされた影響で、夜会やパーティーには参加できないから……。………………それが出来ないなら、どうやっても無理。他の手段を考えましょうか」

 残念だけどその案はボツにして、違う方法を模索してゆく。
 けれどワタシには『武器』が少ないから、ちっとも浮かばない。30分以上考えても、名案は一つも浮かんでこなかった。

「…………はしたなくイライラしていて、ドツボにはまりそう。こういう時は一度、気分転換をした方がいいわね」

 そこで従者に指示を出し、進路を変更。お気に入りのカフェでお茶とケーキを楽しむ事にした。

「こんな時こそ、落ち着いて。気持ちを切り替えればきっと、あっさりと活路を見出せる。世の中って、そういうものなのよね」

 これは昔からよく言われている言葉で、ずっと言い続けれられているという事は――。信憑性がある、という事。

 なので――。
 その言葉は、すぐに現実のものとなる。

 優雅にモンブランとベルガモットを楽しんだ、そのあと。ワタシに光が降り注いできたのだった。

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