9 / 37
第5話 嘘に満ちた言葉たち エステェ視点(1)
しおりを挟む
「実を言いますと……。私も、同じでした。サネベーク様は、憧れの方だったのですよ」
夜空の下にある、落ち着いた雰囲気を放つ中庭。私達しかいない場所に着くと、私はゆっくりと言葉を紡ぎ始める。
「……サネベーク様。貴方様は学舎時代、今とはお姿が違っていましたよね?」
「はい。背は低く体重は重く、おまけにあの頃は呑み込みも悪く、よく嗤われていました」
「でも貴方様は、決して腐らなかった。たとえ結果が出なくても懸命に前を向き、走り続けていた。……私は、そんな姿に人として惹かれていました」
あの頃はこの方とのことを、『豚男』としか思っていなかった。けれど我武者羅に努力する姿を何度か見ていたし、内心は相手には分からない。
なのでここを利用するようにして、さらに続ける。
「成績上位だったり生徒会長になれたりしたのは、貴方様をお手本にしていたから。お父様に勧められた留学を受けたのも、貴方様の姿勢を見続けていたからなんです」
本当の留学理由は『もっと一目置かれたい』と『もっと箔をつけたいから』で、ピエール様は一切関係ない。でもこれも、相手には分からないことだもの。
ここでも、利用させてもらった。
「留学中挫けそうになった時も、そう。そんな時はサネベーク様を思い出し、力を得て乗り越えました」
「……そう、だったのですね……」
「…………ですから、そうなるのは必然的でした。サネベーク様と困難を乗り越えるたびに、気持ちに変化が生じていって……。好きという感情が、もう一つの好きへと成長をしました」
人としての好きから、異性としての好きに変わった――。少し顎を引き、自慢の武器・ウルウル目で見上げる。
「いつかこの気持ちを伝えたいな。そう思っていて、今日こうして再び出会えて……。ああして、知らなかったお気持ちを知りました」
「……はい」
「そうしたらもう、居ても経ってもいられなくなってしまって。ですから……。私は、全てをお伝えすると決めたのです」
僅かに口をつぐんで、勇気を振り絞っているんだよ、とアピール。そうして自ら援護射撃を行った後、不安げにブルーの瞳を見つめる。
((アドン様、ごめんなさい。貴方様より素敵な人を見つけてしまったの))
だから――
「ピエール・サネベーク様。私は貴方様を愛しております。これからは一緒に、隣を歩いてはくださいませんか?」
今世界で一番大好きな人に、想いを告げる。
そうしたら――。うふふふふっ。
「……光栄でございます。是非、お隣を歩かせてください」
大成功!!
素敵なお顔が柔らかく緩み、穏やかな微笑みが返ってきたのでしたっ!
夜空の下にある、落ち着いた雰囲気を放つ中庭。私達しかいない場所に着くと、私はゆっくりと言葉を紡ぎ始める。
「……サネベーク様。貴方様は学舎時代、今とはお姿が違っていましたよね?」
「はい。背は低く体重は重く、おまけにあの頃は呑み込みも悪く、よく嗤われていました」
「でも貴方様は、決して腐らなかった。たとえ結果が出なくても懸命に前を向き、走り続けていた。……私は、そんな姿に人として惹かれていました」
あの頃はこの方とのことを、『豚男』としか思っていなかった。けれど我武者羅に努力する姿を何度か見ていたし、内心は相手には分からない。
なのでここを利用するようにして、さらに続ける。
「成績上位だったり生徒会長になれたりしたのは、貴方様をお手本にしていたから。お父様に勧められた留学を受けたのも、貴方様の姿勢を見続けていたからなんです」
本当の留学理由は『もっと一目置かれたい』と『もっと箔をつけたいから』で、ピエール様は一切関係ない。でもこれも、相手には分からないことだもの。
ここでも、利用させてもらった。
「留学中挫けそうになった時も、そう。そんな時はサネベーク様を思い出し、力を得て乗り越えました」
「……そう、だったのですね……」
「…………ですから、そうなるのは必然的でした。サネベーク様と困難を乗り越えるたびに、気持ちに変化が生じていって……。好きという感情が、もう一つの好きへと成長をしました」
人としての好きから、異性としての好きに変わった――。少し顎を引き、自慢の武器・ウルウル目で見上げる。
「いつかこの気持ちを伝えたいな。そう思っていて、今日こうして再び出会えて……。ああして、知らなかったお気持ちを知りました」
「……はい」
「そうしたらもう、居ても経ってもいられなくなってしまって。ですから……。私は、全てをお伝えすると決めたのです」
僅かに口をつぐんで、勇気を振り絞っているんだよ、とアピール。そうして自ら援護射撃を行った後、不安げにブルーの瞳を見つめる。
((アドン様、ごめんなさい。貴方様より素敵な人を見つけてしまったの))
だから――
「ピエール・サネベーク様。私は貴方様を愛しております。これからは一緒に、隣を歩いてはくださいませんか?」
今世界で一番大好きな人に、想いを告げる。
そうしたら――。うふふふふっ。
「……光栄でございます。是非、お隣を歩かせてください」
大成功!!
素敵なお顔が柔らかく緩み、穏やかな微笑みが返ってきたのでしたっ!
7
あなたにおすすめの小説
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
やめてくれないか?ですって?それは私のセリフです。
あおくん
恋愛
公爵令嬢のエリザベートはとても優秀な女性だった。
そして彼女の婚約者も真面目な性格の王子だった。だけど王子の初めての恋に2人の関係は崩れ去る。
貴族意識高めの主人公による、詰問ストーリーです。
設定に関しては、ゆるゆる設定でふわっと進みます。
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
夫に愛想が尽きたので離婚します
しゃーりん
恋愛
次期侯爵のエステルは、3年前に結婚した夫マークとの離婚を決意した。
マークは優しいがお人好しで、度々エステルを困らせたが我慢の限界となった。
このままマークがそばに居れば侯爵家が馬鹿にされる。
夫を捨ててスッキリしたお話です。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる